現場のお役立ちツール
リニューアルコンテスト2023 大賞お施主様に寄り添ったリニューアル
~カルテを用いた最適な電気設備改修のご提案~
- 評価のポイント
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- お客様の電力会社との契約内容や、設置されている電気設備の型式、製造年月日、耐用年数などすべての情報を
記載した「カルテ」を考案。 - カルテを基に、お客様へ電気設備のリニューアルをご提案。
- 全体会議で事例を共有し、他のお客様への水平展開や、社内での横展開にもお取り組み。
- お客様の電力会社との契約内容や、設置されている電気設備の型式、製造年月日、耐用年数などすべての情報を
カルテを基に、定期的にお客様の元へ訪問し、
電気設備のリニューアルを計画的にご提案
弊社は1975年に宮城県石巻市で創業し、来年で50周年を迎えます。石巻市は2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けましたが、13年が経過し、現在では復興を遂げています。2016年の熊本地震や今年の元旦の能登半島地震などで被害に遭われた方がいらっしゃいましたら、どうか希望を持って前に進んでいただきたいと思います。
弊社では全従業員44名のうち、女性従業員が18名を占め、女性の役員や管理職、技術者もおります。電気工事業界の現場で働く女性はまだまだ少ないですが、弊社では性別に関係なく優秀な人材が活躍できる、働きやすい職場環境づくりに努めています。
次に弊社の特長ですが、電気工事グループ、計装工事グループ、環境ソリューショングループと大きく3部門に分かれており、室内の温度ムラやカビを解消する「エアークロール」「エコシルフィ」といった製品の製造・販売も手掛けております。
また、震災を経験したことからBCP対策の重要性を感じ、災害時でも速やかに仕事を再開することができるように事業継続の策定に取り組み、SDGsにも力を入れ、「いしのまき圏域SDGsパートナー」として市から認定されております。
さて、今回のリニューアル事例のテーマ「お施主様に寄り添ったリニューアル~カルテを用いた最適な電気設備改修のご提案~」についてご紹介させていただきます。
お客様は、コマツカスタマーサポート株式会社石巻支店様です。20年前の新築時に下請けで電気工事をさせていただき、その後、元請けとなり、継続してメンテナンスをさせていただいて参りました。
2001年に工事を実施し、2021年に弊社で「カルテ」と呼んでいる電気設備台帳を作り、この「カルテ」を基に工場の照明器具のリニューアル提案を行いました。
「カルテ」は、全社をあげて2年がかりのプロジェクトで仕組み化したもので、目的は二つあります。
一つは、お客様側のご担当者様が変わっても、電気設備の状態を引き継げること、もう一つは、弊社の担当者が変わっても、お客様の電気設備の状態がわかること。
また、電気の専門的知識がない人でも、誰でも営業ができることです。これは、私が入社後10年間、総務や経理、人事の仕事をしており、震災の直後に社長が立ち上げた工事企画課に配属されたことがきっかけでした。
工事企画課というのは、社員が仕事を楽しみながらいきいきと働くためには、下請けではなく元請けにならなければならないと考え、社長が立ち上げた部署です。元請けになるということは、お客様に対して提案を行ったり、ご相談を受けるということが発生します。
ご担当者様が異動になってもカルテが
引き継がれることでスムーズに提案が継続
このカルテは、私が工事企画課に配属された頃、どうしたら私も提案営業ができるだろうかと検討した際に、保安協会の電気主任技術者の方々が作っていたカルテをヒントに、私が設計したものでした。カルテは二部作り弊社とお客様が一部ずつ持つようにしています。そして、今回のリニューアル事例も、このカルテを基にお客様にご提案した結果、成功した事例です。
カルテには、お客様の電力会社との契約内容や設置されている電気設備の型式、製造年月日などすべての情報を記載しています。耐用年数なども記載し、どのタイミングでどの品番に置き換え、誰に提案をすればよいのかをこのカルテから割り出すことができ、いわば「最強の囲い込みツール」といえます。単に施工管理のためだけではなく、お客様に対して、経済的、長期的な視点から、最適化を提案するファシリティマネジメントをめざして、このカルテを作ったのです。今後、このカルテの付加価値を高めるためにさらにブラッシュアップし、囲い込み顧客数や提案営業先を増やすことは弊社にとって財産となります。
コマツカスタマーサポート様には、2019年に最初の照明リニューアル提案を行いましたが、予算の関係から、消費電力が高く、ランプも近いうちに生産終了されることがわかっていた水銀灯が多く使われている工場の方だけを、2021年にリニューアルすることになりました。その後も、予算策定時期の半年ぐらい前から提案内容をブラッシュアップしながら、事務所のリニューアル提案を毎年続けていました。提案を行っていた所長様が異動されましたが、新しく赴任されてきた方にも台帳が引き継がれていたため、話はスムーズでした。
昨年のリニューアルフォーラムで知った
メリハリ照明をご提案。お客様にもご好評
はじめはWiLIA(ウィリア)をご提案していたのですが、ちょうど昨年のリニューアルフォーラムの際に「メリハリ照明」について知り、「これはぜひ提案してみたい!」と思いました。
そこでメリハリ照明にプランを変えてご提案したところ認めていただき、納入することができました。全体の受注額は約700万円。約230台の照明器具をLED化しました。
応接室にはベースライトが設置されていましたので、既設の器具穴を活かせるイージーアップ配線ダクトでスポットライトを取り付け、メリハリ照明にしました。ここはあえてアクセントとして、黒色をご提案しました。スポットライトにすることで、ベースライトで全体を明るくするのとは異なり、壁面やテーブル面を明るくし、省エネしながら雰囲気を出すことができました。お客様もメリハリ照明の雰囲気をとても気に入ってくださり、照明に合ったインテリアに変えていくことも検討されているそうです。面接にも使われる部屋なので、雰囲気がよくなって人材確保につながるのではないかと期待されています。
元々ショールームとして使用されていたスペースは、ガラス張りで日中は光が入って明るいため、外光を利用して省エネできると考えベースライトを減らしました。天井が高いため足場を組んで天井材を張り替えるなど施工の際に一番苦労しましたが、働く環境に適した照明を設置することができました。
執務室では、照明器具が設置されていなかった部分に配線ダクトを取り付け、sBシリーズとスポットライトで明るくし、真下で作業ができるようにしました。
会議室はウィズリモを採用し、プロジェクターを使うときには前列だけをリモコンで照度を落として見やすくできるようご提案し、お客様から大変便利だと好評価をいただいております。廊下はセンサ付ダウンライトにして、人がいなくなると3分後に自動で消灯するよう設定して省エネしています。
結果、消費電力を約71%も削減でき、電気代が高騰する中、とてもご満足いただきました。
現在は、屋外照明のリニューアル提案を継続して行っているところです。そしてメリハリ照明は、他のお客様にもご提案したいと考えています。弊社では、グループ全体で毎月全体会議を行っており、この事例も共有しました。他の担当者がメリハリ照明を提案することに期待しています。
いま、弊社で課題となっているのは、DX化です。少子高齢化で今後ますます人材不足が予想されており、限られた人員で仕事をこなすには効率化と生産性の向上が欠かせません。そのためにはDXを活用し、タブレットひとつで現場調査に赴き、その場でタブレット上で入力を完了したり、お客様のサインもタブレット上でいただけると、何度も足を運んだり、事務所に帰ってからインプットをし直したりする手間が省けます。さらにペーパーレス化にもつながります。
人手不足や働き方改革は、皆様にとっても共通のお悩みかと思います。ともに頑張って参りましょう。
北上電設工業株式会社様のお取り組みについて、リニューアルフォーラムでの発表のご様子を交えながら、動画でご紹介しています。
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