リニューアルコンテスト2023 脱炭素貢献賞みんなで取り組むオール作新カーボンニュートラル

協新電工株式会社 代表取締役 宮﨑 和典様

東京ドーム4個分の敷地内に34棟の建物。
エネルギーの見える化で、膨大な数の電気設備を効率的に管理・運用

弊社は1949年に創業し、今年で創業75年を迎えました。社員数は18名で、営業専門部門がないユニークな会社です。得意先は官公庁と民間が半々で、約8割が元請です。庁舎、学校、事務所、工場、ホテルなどの屋内電気工事を得意としています。工事部全員が1級電気工事施工管理技士および管理技術者証を取得しているため、工事と管理を同時に行っています。
宇都宮まちづくり貢献企業認証やBCP(災害時の基礎的事業継続力)認定、ISO9001(品質)と14001(環境)も認証を取得しており、現在は、労働安全衛生管理のコンパクトコスモス認定に向けて取り組んでいます。
リニューアルコンテストには2005年から毎年参加させていただき、2009年と2016年には部門賞を受賞しました。毎回、金賞受賞会社様の発表事例を会社に持ち帰り、どうしたら自社で取り組めるのかを考えていました。
今回のリニューアル事例のお客様は、学校法人作新学院様です。作新学院高等学校は高校野球で甲子園出場の常連校ですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。来年で創立140年を迎える伝統校で、幼稚園から大学まであります。幼稚園、小学校、中学校、高等学校が同一キャンパス内にあり、東京ドーム4個分の敷地内に34棟もの建物があり、約5,000人の生徒と約400人の職員がいます。弊社の社員が40年以上前から常駐しており、電気設備の工事とメンテナンスを行っています。中でも照明器具の設置台数は1万灯にもおよび、毎日どこかでメンテナンスが発生している状態です。そんな中、水銀ランプが2020年に生産終了を迎え、蛍光ランプも2027年に生産終了するということで、「計画的なLED化対策」が必要となりました。加えて、「カーボンニュートラル」「電気代の高騰」への対応が求められるようになりました。
また、それらの課題に対して、弊社には、「膨大な数の電気設備の効率的な管理・運用」「設備のリニューアル提案」「信頼関係の強化」といった課題が見つかりました。 そこで弊社が最初に試みたのが、どこでどのくらい電気が使われているか、「エネルギーを見える化する」という独自提案でした。

エマネージの分析結果を基にロードマップを作成し、LED化プロジェクトを提案

まず2015年に、多回路エネルギーモニタ34台と計測用CTを173回路分に導入し、パナソニックの計測ツールエコサスで電力計測をスタートしました。ところが作新学院様のキャンパスには変電所が12か所もあるため、計測データの統合とデータ集計のタイムラグ、そして人的問題も重なり、見える化がうまく進みませんでした。
そこでより詳細な情報と分析の必要性を感じ、2017年にエマネージ34台とパナソニック統合管理ソフトαを導入しました。エマネージ導入でリアルタイムの計測が可能になり、また統合管理ソフトαで12か所の変電所のデータ統合が可能になり、どの建物の、どの設備からリニューアルするのが最も効果的かが見えてきました。
翌年の2018年にロードマップを作成し、LED化プロジェクトを提案し、本格的なLED化がスタートしました。

作新学院 一の沢キャンパス 東京ドーム4個分の敷地内にエマネージ・計34台を設置

■作新学院 一の沢キャンパス

ロードマップはエマネージの分析結果により、「省エネ」「創エネ」「燃料転換」の三つの柱で構成し、優先順位を決めて、建物ごとにLED化を進めた結果、現在LED化率55%、CO2 削減1,000tを達成しました。
こんなエピソードがあります。グラウンド照明の工事中のある日、部活中の生徒から「グラウンドの半分だけを照らしたり明るさを変えたりできませんか」と声をかけられました。そこで着工時の仕様にはなかったフル2線式リモコンスイッチと調光ユニットによるスイッチ盤に変更して、生徒が自ら操作できるようにしました。

納入事例 施工前・施工後
納入事例 施工前・施工後01
納入事例 施工前・施工後02
納入事例 施工前・施工後03
納入事例 施工前・施工後04

J-クレジットの活用をご提案することで、
生徒の自主的な地球環境保護活動を後押し

作新学院様は生徒が中心となり、「誰かの役に立つこと」をテーマに、「オール作新」で積極的に「国際貢献」「災害復興支援」「地球環境保護」に取り組んでいます。
そこで弊社は、「地球環境保護」とLED化を有効に進めるために、クラブ活動を通して生徒が中心となって運用していけるよう、J-クレジットの活用をご提案しました。国からも無事認証され、生徒たちの手でこれから運用されていく予定です。
さて、弊社の3つめの課題である「信頼関係の強化」については、なかなか良いアイデアが浮かびませんでした。
そこで、過去の事例発表を見返して、「あかりEサポート」で何かできないかを考えたところ、弊社が費用を全額負担し、作新学院様には分割で代金をお支払いいただくという、リース会社様等を使わない弊社独自の割賦サービスを思いつき、ご提案させていただきました。作新学院様には短期間に大規模な改修とそれによる省エネ効果が得られ、さらに費用が平準化できるメリットがありました。弊社にとっては利益が繰り延べでき、平準化できるという、最高のメリットとなりました。
これらの結果、大幅なCO2 削減ができたばかりではなく、より強固な信頼関係も構築できました。現在のLED化率はまだ55%ですが、残る建物のLED化工事の見積提出も終えており、計画的にLED化できる準備を整え、2030年までの100%達成が見えてきました。
さらに「創エネ」に対しては、太陽光発電設備導入に向け、準備・計画のお手伝いも実行中です。2050年のカーボンニュートラル実現を目指していきます。
またこうした経験により蓄積できたノウハウを地元の電気工事会社様と共有し、新たなビジネス展開を目指しています。昨年、栃木県庁舎10施設の照明器具26,600灯をすべてLED化する事業を県内の電気工事会社3社でJVを組み受注しました。費用はJV3社と地元電気工事会社25社で出資し、工事は46社の協力を得て4か月の短工期で無事完了しました。このような大規模工事も地元工事業者のみで受注することができ、地域経済の発展に貢献することができたと自負しております。今後もこのようなノウハウ・経験を活かし、脱炭素化に貢献していきたいと考えています。

■作新学院 カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ

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