国内最高性能※1の省エネ住宅の提供を目指し、
独自の自動制御プログラムで電力自給に挑む
株式会社Haiot様[東京都港区]

ウェルネストホーム 東京花小金井モデルハウス 外観写真
ウェルネストホーム 東京花小金井モデルハウス 外観
ウェルネストホーム 東京花小金井モデルハウス 内観写真
ウェルネストホーム 東京花小金井モデルハウス 内観
  • ご担当者写真

    株式会社Haiot 代表取締役
    東京大学大学院工学系研究科
    建築学専攻学術専門
    職員 今泉 太爾 様

自動制御HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)である「Haiot System(ハイオシステム)」の開発者であり、
株式会社WELLNEST HOME(ウェルネストホーム)(本社:愛知県長久手市)の創業にも参画された今泉様。
カーボンニュートラルで持続可能な未来の実現に果敢に挑むその原動力や、思い描く未来、日本の住宅のあるべき姿について、
ウェルネストホーム様の東京花小金井モデルハウス(東京都小平市)において語っていただきました。
※1 ウェルネストホームの家の隙間面積を示すC値0.2cm2/m2は日本のハウスメーカーでトップクラス。ウェルネストホーム調べ(2021年3月)。

視察に訪れたドイツの省エネ住宅に衝撃。
人生を変えたドイツの工務店の言葉

次世代型HEMS「Haiot System(ハイオシステム)」の開発者である今泉様は、不動産会社と工務店を経営されていた2008年、後にWELLNEST HOME(ウェルネストホーム)の共同創業者となる早田宏徳様の家づくりに関するセミナーを受講。早田様に誘われて同年にドイツに視察に赴いた際、脱炭素を意識し、エネルギー効率を重視した高気密・高断熱の戸建住宅に触れ、衝撃を受けました。
「日本ではまだ当時、ほとんど意識されていなかった、環境負荷やエネルギーの持続可能性といった話をドイツの工務店から聞きました。断熱の考え方も、当時の日本は内断熱が主流でしたが、ドイツでは、内断熱と外断熱の併用で、日本の倍の量のグラスウールを使っていました」。

日本にないなら、と自ら工務店を立ち上げ。
そこで気付いたHEMSの重要性と課題

帰国後、今泉様はドイツで見てきた最先端の省エネ住宅を日本でも実現しようと決意。「ドイツからの輸入と日本にある材料で建てた省エネ住宅はコストがかかりすぎて、当初は赤字でした。試行錯誤しながら合理化を図り、プロトタイプが完成し、早田さんと共に2012年に立ち上げたのがWELLNEST HOMEです」。
高気密・高断熱とともに、同社が標準化しているのが、再生可能エネルギーの利用と、HEMSによる高度エネルギーマネジメントです。「エネルギーの高効率化には、HEMSが欠かせません。しかし、HEMSの使い方が施主様にうまく伝わっておらず、省エネ機能で操作しない限りモニターの電源がOFFになるため、HEMSモニターを全く見ない居住者が大半です。それは非常に残念なことです。
実はわが家もパナソニックのAiSEG2を導入しましたが、妻は一切モニターを見ないので・・・省エネに繋がらず。
AiSEG2は、どこにどれだけ電気が使われているか『見える化』してくれますが、そこからのアクションである『電気をこまめにONOFFする』『エアコンの温度を上げる・下げる』といった『行動変容』につなげないことには何の意味もありません。しかし施主様にとってはハードルが高いということがわかりました。もしもこれが自動化できれば、ラクに省エネができるようになるのに、と考えるようになりました。
そこで、2017年から自宅の家づくりを始め、センサーとAIを駆使して、電力使用状況をリアルタイムにモニタリングし、自動制御で最適なエネルギー消費を可能にするHEMSを自ら試作し、自宅で実験を行うことにしました」。

自宅をスマートハウスに。
スマートホームとの違いとは?

2017年当時、日本で流行の兆しがあったのは、IoTとAIによって様々な家電をつなぎ、スマートスピーカーを使って音声で電源のONOFFを行ったり、スマートフォンを使って家の外から電源のONOFFを行ったりできる「スマートホーム」でした。スマートホームはIoT住宅とも呼ばれます。ですが、今泉様が試みようとされていたのは、スマートホームではなく、「スマートハウス」でした。その違いについて、今泉様は次のように説明されます。
「スマートホームは、スマートスピーカーで音楽を聴いたりこどもが遊んだりもできて、エンターテインメント的な要素も持ち合わせ、生活の質を上げるもので、必要な機器はECサイトで購入することができます。一方、スマートハウスは、家のエネルギーをコントロールするものであり、HEMSを使って、太陽光発電、蓄電池、エコキュート、エアコンなどを連携させる必要があり、高度な専門知識が必要で、施主様が自分で後付けするのは難しい。特にDIYの文化がある欧米とは違い、日本では難しいと感じました。そこで、住宅にあらかじめ標準仕様として備わっていることが必要であると考えました」。
今泉様が目指すHEMSは、エネルギー負荷をできるだけ下げると同時に、再エネの比率も高めていくというものです。また、温度と湿度をコントロールし、24時間365日、快適な環境をキープします。WELLNEST HOMEの東京花小金井モデルハウスで実証実験を始めました。

ウェルネストホーム東京花小金井モデルハウスでご採用いただいている主なパナソニック製品

ウェルネストホーム東京花小金井モデルハウスで採用されている主なパナソニック製品の写真

自動制御する次世代型HEMSを
モデルハウスで実証実験

東京花小金井モデルハウスは、木造2階建ての延べ面積255m2のオール電化住宅で、9kWの太陽光発電パネルと13.5kWhの蓄電池を2台を備えています。高気密・高断熱で、エアコン1台で家全体を冷暖房することができ、一年を通じて、室内の温度と湿度はほとんど変化せず、快適に過ごすことができます。このモデルハウスの2025年2月の電力自給率は89%でした。
各部屋に設置された温湿度センサーが室内環境を計測し、太陽光発電、蓄電池、給湯、換気、空調などの設備を自動で制御します。温湿度コントロールの仕組みは、全熱交換による換気とダクト式空調を組み合わせたものです。心臓部は約3m2の機械室にあり、市販のエアコン、ダクトシステム、換気システムが設置されています。この機械室をチャンバー室として利用し、エアコンで温度を調整し、空気を各室に届けます。
この自動制御プログラムを従来のHEMSと比較すると、その特長は次のように説明できます。「従来のHEMSは蓄電や売電の状況を見える化し、家電をアプリで操作することが主な機能です。しかし、このプログラムは、さまざまな設備機器をメーカーに制限されることなく、最適なエネルギー消費を実現できるよう自動制御します。つまりスマートホームとスマートハウスが融合した状態です。実際にはHEMSだけでは自動制御は不十分であり、HEMSで制御できるエコーネットライト重点8機器※2が必要です。これらの機器とつながって初めて電力のアグリゲーションが可能となります」。
エコーネットライト(ECHONET Lite)とは、どのメーカーの機器でも相互連携でき制御が可能な通信プロトコルです。スマートホームの普及を目指し、1997年に創設された団体「エコーネットコンソーシアム」が定めた通信規格であり、2012年に経済産業省が設置したスマートハウス標準化検討会においても、HEMSにおける標準インターフェースとして推奨されています。
今泉様は、このHEMSの製品化に専念するため、自身が経営する不動産会社と工務店をご兄弟に引き継ぎ、2023年に株式会社Haiotを設立。東京大学大学院でも研究をされています。
「HEMSの機能の進化をたどると、データの可視化が可能になったHEMS1.0、遠隔操作が可能になったのがHEMS2.0、そして弊社では、自動制御する次世代型HEMSをHEMS3.0と定義しています。パナソニックから新たに発売された『AiSEG3』も、AIソーラーチャージPlusなどの機能が加わり、AIを使って自家消費率や自給率がアップしており、我々と同じ方向を見ているなと感じています」。

※2 家庭部門の省エネルギーを推進するため、エネルギーに関連が深い家電や住宅設備機器の中から国が定めたもので、スマートメーター、エアコン、照明機器、蓄電池、太陽光発電、電気自動車充放電器、給湯器及び燃料電池が該当する。

■室温を保ちながら換気する仕組み

ウェルネストホームで採用している空調換気システムの仕組みの図
ウェルネストホームで採用している空調換気システムの仕組み。室内の
空気を利用し、外から入ってくる空気を冷やしたり暖めたりして室温を
調整する。
空調換気システムの機械室内部の写真
左図の機械室内部。全熱交換による換気とダクト式の空調を組み合わせたもの。
温湿度センサーの写真
居室ごとに複数の温湿度センサーを設置して計測。

未来の住宅に求められる性能をいま取り入れて
居住者が快適に過ごせる環境を提供

今泉様の考える家づくりの原点は、冒頭でご紹介したドイツにあります。「日本では、キッチンや浴室などの水廻りに施主様が力を入れる傾向があるので、それ以外はなるべくコストをかけず、電気設備の仕様もオプションにするなど施主様に委ねる工務店様も多く、その結果、住宅のコストに電気設備が占める割合は4%程度と言われています。
一方、ドイツでは『100年もつ家』が当たり前で、電気設備にしっかりお金をかけると住宅の質が上がり快適性も向上し、さらには光熱費も下がるため、イニシャルコスト+ランニングコストというトータルコストで考えるという認識が双方に浸透しています。
また、親世代は老後に家を建て直すというのが一般的でしたが、今の世代にはその資金を用意するのが難しいだけでなく、スクラップアンドビルドは持続可能な社会の実現を目指す現代の考え方にも反しています。今から建てる家を、2050年のカーボンニュートラル社会を見据えた設計で、将来のライフスタイルや環境の変化にも柔軟に対応できるように設計された長寿命な家とするならば、2050年以降も安心して住み続けることができます。つまり、1回の家づくりで長期的な住まいを実現することが可能です。WELLNEST HOMEではまさにそういう家を標準化してつくっています」。

■WELLNEST HOMEの断熱性能

高性能の樹脂サッシとトリプルガラス断面写真
高性能の樹脂サッシとトリプルガラスを採用し、世界トップクラスの断熱性能を誇る窓を標準仕様※3
壁の断熱材の写真
壁はダブル断熱(充填断熱+外張り断熱)を採用し、断熱材だけで合計205mmの厚み(一般的な住宅の2倍以上の量)。断熱、調湿、防音、防火・耐火に優れている。
※3 ウェルネストホームの窓はU値0.78W/m2kと、国内で最も普及している窓の平均U値4.65W/m2kの6倍の性能。

電気工事会社様の役割とは?

今泉様は、電気工事会社様の役割を次のように話されます。「今まさに、スマートハウスとスマートホームが融合しようとしています。そうなると、電気工事だけでなく、通信工事の技術も不可欠になります。また、住宅に占める電気設備の重要性が上がります。電気工事会社様は工務店様と同等の立場で、工務店様に対し最善の電気設備を提案して標準化することを働きかけてほしいです。現状、日本では多くの電気設備は施主様に仕様決定が委ねられています。素人である施主様に専門知識を要する設備設計を丸投げしているとも言えます。本来ならプロとして設備についても最善のものを標準仕様とすることで、施主様にワンランクアップの暮らしをご提供できるのではないでしょうか。
住宅供給側も常に最先端の専門的知見を持っておくことが必要であると考えます。パナソニックをはじめとする電気設備メーカーには情報提供や勉強会などを積極的に行っていただくことで、住宅業界全体に建築における電気設備への見識が高まっていくのではないでしょうか。
その結果、標準化が進み、省エネ住宅が日本に普及していくと思います。施主様にはHEMSの役割をしっかり伝えていただき、行動変容へとつなげていただきたいです。
パナソニックをはじめとするメーカーには、もっとライトに、YouTubeやSNSなどで、施主様にわかりやすい情報提供を発信していただけるとよいですね。パナソニックのような住宅設備をトータルでつくっている企業は他にはありません。ぜひパナソニックにしかできない情報発信をしていただきたいですね」とお話しくださいました。

Haiot Systemの特長

次世代型HEMS「Haiot System」により、太陽光発電システムによって発電した電気をAI制御することで、エネルギー消費を抑えながら効率的に活用。これまで余剰電力として売電していた電気を効率よく自家消費できるようになる。

次世代型HEMS「Haiot System」の特長と仕組みの図

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