2022年7月号 リニューアルフォーラム2022開催「リニューアルコンテスト2021」受賞事例発表

2022年6月2日と3日の二日間にわたり、横浜ベイホテル東急にて3年ぶりに「リニューアルフォーラム2022」が開催されました。
「リニューアルコンテスト2021」で優秀賞を受賞された約140社の電気工事会社様にご参加いただき、
大賞を受賞された角田電気工事株式会社様と金賞を受賞された有限会社増渕電気様による
お取り組み事例の発表が行われました。

「リニューアルコンテスト2021」大賞事例発表

  • 戸田 誠様

    群馬県吾妻郡東吾妻町
    角田電気工事株式会社
    営業部長
    戸田 誠

評価のポイント
  • 継続受注しているお客様との普段の会話からお困りごとを聞き出し、最適な補助金を提案して課題を解決。
  • 補助金の活用で、お客様の当初のご要望のさらに上を行くご提案を実現。
  • 周辺自治体にも水平展開し、地域の電気工事会社の仕事づくりに貢献。

補助金の活用で設備の更新と光熱費削減、
レジリエンス強化の3つを同時に解決

弊社は創業1970年。「地域貢献」と「業界発展」という理念を掲げて、群馬県北部を中心に事業を営んでまいりました。現在の従業員数は15名。取引先は、道路照明や交通信号機、スポーツ施設照明など官公庁から、工場、学校、商業施設、個人住宅まであり、幅広く手がけています。現在は、個人住宅を含む民間工事と、官公庁の工事の比率は、半々程度になりつつあります。新築だけでなくリニューアルを中心とした照明・空調の取り替えや、補助金を活用した大規模な工事などにも積極的に取り組んでいます。
当社の特長のひとつに、様々な資格を持っていることがあげられます。電気工事だけでなく、通信工事や土木工事に関する資格もたくさんあるため公共工事の仕事も受注できています。
今回のテーマである、高山村保健福祉センターの、補助金を活用した省エネ・レジリエンスリニューアルについてお話させていただきます。
高山村は群馬県の北西部に位置し、村内には山林が多く、緑豊かな村です。基幹産業は農業で、主に米、こんにゃく、そばや野菜などを栽培しています。雷が多く、落雷による停電も比較的多い地域です。
高山村とはこれまでも公共工事や施設の新築や改修、弊社が得意とする道路照明のLED化など、長いお付き合いがあり、信頼関係も築いてきました。また、そうしたお付き合いの中で、村のお困りごとなどをお聞きする機会もありました。
高山村の保健福祉センターは、平成12年(2000年)にできた建物です。電気設備の老朽化でメンテナンス費用がかかる上、エネルギーコストも高いのが懸案事項で、改修を検討されていました。また、近年の気候変動で自然災害も増えてきているので、災害時の避難所を強化することも急務でした。
そのようなお困りごとを聞いていたので、普段の世間話の中で、「このような補助金制度があるので、興味があればご連絡ください」と保健みらい課のご担当者にお話ししました。その補助金が、環境省の 『地域の防災・減災と低炭素化を同時実現する自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)・1号事業』です。ほどなくして先方からご連絡をいただくことができました。

高山村保健福祉センター
高山村保健福祉センター

補助金の活用で自治体の負担額は約4分の1に。

初回の提案は、パナソニック関東電材営業開発部の高巣部長と弊社社長の角田が、1年前に同補助金を活用した東吾妻町の事例についてご紹介しました。2回目の打合せ以降は、社長から私が担当を引き継ぎました。
お話を聞いていく中で、複数の課題が絡み合っていることに気付きました。そこでパナソニックと連携し、ひとつずつ紐解いていきながら、なるべくわかりやすい言葉で、ご提案していきました。
高山村にとって、採用の決め手はやはり補助率の高さでした。約3億円を越える費用のうち、実質的に自治体が負担するのは約4分の1です。これは、どの自治体にとっても非常に大きな魅力だと思います。
当初は、村役場を改修したいとお考えでしたが、今回の補助金は避難所としての役割が必須なため、建物の耐震性が条件に満たず、最終的に保健福祉センターの改修が決まりました。納入した設備機器は、太陽光発電システム、リチウムイオン蓄電システム、エマネージ、LPガスバルクタンク、業務用ヒートポンプ給湯機、EHPエアコン、GHPエアコン、LED照明器具、となりました。

3か月という短工期で5系統の工事を進行。
各社の資料から課題を見出し解決に向けて調整。

実際に工事を進めていくうえで苦労したのは、こちらの保健福祉センターが平日の日中はデイサービスや保育所・学童保育などに利用されてれているため、工事ができるのが平日の夜間と土日に限られたことです。約3か月という短い工期しかなく、その間に、太陽光、給湯、ガス、照明、空調の工事を終わらせる必要がありました。
そこでこの5系統を担当する設備会社が全員参加する月1回の定例会を開催し、弊社はとりまとめ役として、私が座長を務めました。毎回各社から工事資料を事前に受け取り、進捗状況や確認事項をまとめて会議資料を作成していたのですが、この作業がとても大変で、資料の取りまとめに2週間を費やすこともありました。各社の資料から課題を見つけ、顕在化し、解決策を提示したり、各工事のスケジュール調整などを段取りよく進めることは至難の業でしたが、他にも案件を抱えていたのでスピーディに取り組んで何とか乗り切りました。この調整をうまく行えたことが工期内に工事を終わらせることができたポイントだと思っています。

高山村保健福祉センター

リニューアル後、年間エネルギーコストは約400万円削減。試算を上回る結果に。

高山村は令和元年度と2年度にわたる継続事業として取り組まれています。実際の成果を具体的な数値でご紹介しますと、年間のエネルギーコストは、試算では年間約360万円減でしたが、実際には400万円減と想定を10%上回る結果となりました。1年目より2年目がより光熱費を削減できているのは、エマネージによる効果です。見える化により、床暖房の使われ方の無駄を発見でき、運用方法を見直すことで、より効率的な電気の使い方ができるようになったからです。
高山村は、落雷による停電の多い地域であると冒頭で触れましたが、昨年のコロナワクチンがようやく普及し始めた頃、落雷により夜間1時間以上停電になったことがあります。ワクチンの保管は温度管理が重要です。1時間もフリーザーが機能しないとなれば、ワクチンが使えなくなってしまいます。蓄電池のおかげでそのような事態が見事に回避でき、事なきを得ました。

3か月という短工期で5系統の工事を進行
各社の資料から課題を顕在化し解決策を考え、各工事のスケジュールを調整するなどして、
工期内に5系統の工事を終わらせました。
納入商品

成功の秘訣は「提案力・工事力・地元愛」

て、今回の取り組みの成功の秘訣を、3つ取り上げるといたしますと、まず「提案力」。そして、その提案を実現する「工事力」。さらに地域に貢献したいという「地元愛」だと考えています。特に提案力については、「わかりやすさ」も評価のポイントだったと高山村の保健みらい課課長割田課長様からお言葉をいただいています。
今回の成果は高山村だけで終わらせず、電気工事組合でも報告して、周辺自治体への水平展開も行っております。西吾妻福祉病院でも同補助金を活用したリニューアルを行い、お喜びいただいています。高山村については、他の補助金制度を活用した村立施設のリニューアルを提案中です。
弊社は、補助金制度を活用したリニューアル事業で、電気工事に加え太陽光発電・蓄電池、空調、給湯などを新たに受注し、この4年間で売上が2.5倍になりました。これほどの売上を上げる大きな仕事を達成したというプライドを持ち、小さい仕事も手を抜かず、今後も補助金を活用した取り組みの新しい展開を考えています。
また、地域の発展という意味では、弊社だけが成長するのではなく、「地域の仕事づくり」という観点からも、例えば高山村の今後の管理においては、より地域に近い存在である村内の事業者に任せる仕組みづくりを作っています。
さらに、地域貢献という意味においては、近隣の清掃や、地域の道路照明の清掃活動にも積極的に取り組んでおります。これからも地域に役立つ会社を目指してまいります。

完工高が4年で2.5倍に。補助金の活用提案で太陽光発電・蓄電池等の設置工事などを新たに受注

お施主様の声

  • 割田 信一様

    高山村役場 保健みらい課
    課長
    割田 信一

角田電気工事さんは近隣の自治体での実績が、パナソニックさんは全国での実績があり、それらのノウハウを生かしてもらえるのがありがたかったです。補助金+地方財政措置の活用方法を教えていただいたおかげで、村の財政に貢献できたことに感謝しています。
当初見込んでいた削減額よりもさらに削減できたことにも大変満足しています。
提案書もとてもわかりやすく、村内の他の施設に対しても引き続き提案を行っていただきたいと思っています。
地元の工事店さんなので、何かあった際にすぐ駆けつけてくれるのも安心ですね。

  • 角田電気工事株式会社様ご紹介動画

  • 高山村保険福祉センター施設外観動画

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