2021年12月号 「純水素型燃料電池」と実証事業

パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
スマートエネルギーシステム事業部 水素事業推進室 事業企画課

パナソニックの家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」※1の商品化から約12年。
「純水素型燃料電池」の一般販売で、持続可能な社会を実現するための新たなステージへ。
水素事業推進室の取り組みと、商品の特長や市場の反応などについて紹介いたします。

家電レベルの手軽さで発電できる高効率の「純水素型燃料電池」

エレクトリックワークス社スマートエネルギーシステム事業部は、2009年に都市ガスから水素を取り出して電気とお湯をつくる家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」を実用化し、今や世界に向けて出荷しています。この「エネファーム」技術の延長線上に「純水素型燃料電池」があります。「エネファーム」にはガスから水素を取り出す燃料処理機が必要ですが、「純水素型燃料電池」はこの燃料処理機が不要で、直接水素を取り込んで発電できます。ただ、構造がシンプルになるので簡単に思えるかもしれませんが、センサーなどの部材が水素専用になることによる課題などをクリアするのに試行錯誤が必要でした。並行して「つかう」「つくる」「ためる」を実現するシステムの実証実験を続け、「純水素型燃料電池」を製品化しました。
「純水素型燃料電池」は、水素から直接電気を生み出せるので家電レベルの手軽さに加えて高効率で発電できる燃料電池です。また、水素は圧縮することで比較的大容量を「ためる」ことができるのが大きな価値。夏にためた水素を冬に使うなど蓄電池ではできないことも可能になるのも魅力です。
10月に発売された「純水素型燃料電池」は、小規模の商業施設にマッチする出力5kW。複数台を連結することで50kW程度の出力にも対応が可能で、業界最高※2の発電効率56%※3を実現しています。エレベーターに乗せることができるサイズなので設置の自由度が高いのも特長です。
また、「エネファーム」の技術活用だけでなく、部品も極力共有化することでコストダウンを図っており、皆さまに「純水素型燃料電池」を少しでも身近で活用していただけるようにしていることも、ぜひアピールしたいポイントです。

純水素型燃料電池 5kWタイプ
純水素型燃料電池 5kWタイプ

発売発表時点から数多くの問合せ。
「水素」への大きな期待を実感

10月に発売をリリースしてから予想以上の反応をいただき、すでに企業様や自治体様から多くの引き合いをいただいています。自社での活用を想定していた商品も、お客さまへの提供を考えているほどです。「純水素型燃料電池」は平置きや二階建て、屋上設置など、限られたスペースで無駄のないエネルギー生成が可能なため、皆さんの身近な場所で手軽に発電できるのが何よりの魅力。水素は今後さらに電気工事業に携わる方々のお仕事に関連するインフラになると思いますので、これからもぜひパナソニックの「純水素型燃料電池」に注目してください。

草津工場では、水素ステーション「H2 Kusatsu Farm」が稼働中

滋賀県草津市にあるくらし事業本部草津拠点構内では、2019年11月に水素ステーション「H2 Kusatsu Farm」を建設し、同ステーションから水素補給した燃料電池フォークリフトを構内で運用しています。太陽光パネルの電力で水素を製造する水電解水素製造装置により発生した水素をタンクに貯め、クリーンな水素を安定的に供給しています。
1日に燃料電池フォークリフト約2台分※4の水素を製造する能力を有し、約3分間※4でフル充填。長時間の充電が必要なバッテリー式フォークリフトに比べ、時間的なロスがなく効率的に稼働しています。フォークリフトは構内の「エネファーム」工場の完成品などの運搬に用い、水素エネルギーの安定運用や経済性などを検証しつつ、水素製造装置の技術開発をさらに加速させていきます。

草津拠点構内で稼働中の水素ステーション「H2 Kusatsu Farm」。左下は燃料電池フォークリフト
草津拠点構内で稼働中の水素ステーション「H2 Kusatsu Farm」。左下は燃料電池フォークリフト

「純水素型燃料電池」5kWタイプ 販売開始

「純水素型燃料電池」5kWタイプ 販売開始

詳しくは動画をご覧ください。
https://channel.panasonic.com/jp/contents/31156/

東京2020オリンピック・パラリンピック選手村跡地「HARUMI FLAG」に
パナソニックの「エネファーム」と「純水素型燃料電池」を導入予定

「HARUMI FLAG」には水素ステーションが整備され、パナソニックの「純水素型燃料電池」でつくられた電気が住宅街区の共用部で活用されます。一部の街区では発電時の熱を温水として利用します。水素エネルギーを活用した環境先進都市のモデルとして注目されています。

◎「純水素型燃料電池」6台連結を4カ所に設置。うち2カ所は排出される熱をお湯として再利用。
◎全分譲住戸4145戸に「エネファーム」も導入。

HARUMI FLAG外観完成予想CG
HARUMI FLAG外観完成予想CG
水素ステーション | 6台連結イメージ

商品の取り扱い先については、お問い合わせください。

お問い合わせ
水素事業推進室
【Email】
panasonic_hydrogen@ml.jp.panasonic.com
  • エネファームは、東京ガス株式会社、大阪ガス株式会社、ENEOS株式会社の登録商標です
  • 2021年10月1日現在、純水素型燃料電池における発電効率において パナソニック調べ
  • 効率は全てLHV基準で表しています(LHV=燃料ガスを完全に燃焼させた時に生成する水蒸気の凝縮潜熱を差し引いた発熱量)
  • 水素タンクを空の状態からフル充填した場合
  • H2 KIBOUおよびH2 KIBOUマークは、パナソニック株式会社の商標として申請中です

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