2022年8月号 脱炭素社会を見据え、街全体でエネルギー利用の
最適化に取り組むエリアエネルギーマネジメントを実践。野村不動産株式会社様[東京都 新宿区]

  • 大槻 毅様

    住宅事業本部
    神奈川事業推進部 推進一課
    課長
    大槻 毅

パナソニックの工場跡地等を活用し、次世代都市型スマートシティを実現する「TSUNASHIMA サステナブル・スマートタウン(TSUNASHIMA SST)」。
そのパートナー企業のひとつである野村不動産株式会社様は、TSUNASHIMA SSTにほど近い横浜市港北区箕輪町に、エリア・エネルギー・マネジメント・システム(AEMS)による「都市型コンパクトタウン」を開発。
パナソニック製品を多数採用されています。

プラウドシティ日吉

[所在地]神奈川県横浜市港北区箕輪町二丁目707番29他
[総戸数]1,318戸
[構造・規模]鉄筋コンクリート造 地上20階(共用棟:鉄骨造2階建)
[敷地面積]41,818.81m2
[竣 工]レジデンスⅠ(A街区)2020年3月
     レジデンスⅡ(B街区)2021年3月
     レジデンスⅢ(C街区)2022年3月

自社ブランドマンションを核に環境負荷低減のまちづくりを。

―「横浜市港北区箕輪町開発計画」の概要について、お聞かせください。

大槻様:横浜市では、横浜市環境未来都市計画や横浜市エネルギーアクションプラン等の計画により、エネルギーマネジメントの推進・再生可能エネルギー等の導入促進・省エネルギー等の徹底が取組方針として掲げられています。当社の綱島・日吉のプロジェクトもそこにチャレンジし、エネルギーマネジメントシステムの最適化を模索し、地域全体として環境負荷低減に寄与するまちづくりを目指しました。
箕輪町開発計画ではA街区、B街区、C街区に分け、それぞれに当社の集合住宅「プラウドシティ日吉」のレジデンスⅠ・Ⅱ・Ⅲを配置。いずれも地上20階建で、総戸数が1,318戸に上る大規模免震分譲マンションで、2020年3月より順次入居を開始しています。敷地内には小学校、食品スーパー、保育園、サービス付き高齢者向け住宅などがあり、全世代型の住環境となっています。
本プロジェクトは約5.4haの土地に持続可能な「都市型コンパクトタウン」を実現したもので、当社でもこれほどの規模の開発計画はなかなかありません。しかも、地域貢献施設なども設置しているため、「販売して終わり」ではなく、今後もまちづくりに関わっていく必要があります。運営・管理業務は野村不動産パートナーズ株式会社が担当し、入居前の交流パーティを開催するなど、コミュニティ形成をスタートさせています。

3つの街区を電力ネットワークで結び、余剰電力を融通。

―街全体での省CO2の具体的な手法について、お聞かせいただけますか?

大槻様:「プラウドシティ日吉」のレジデンスⅠ・Ⅱの779戸ではエコキュート、Ⅲの539戸ではエネファームを標準採用。すべての街区を電力ネットワークで結び、エネファームの余剰電力を融通して大型蓄電池にも蓄電できるようにしました。通常、エコキュートやエネファームは各世帯の給湯使用状況などに合わせて最適運転がなされますが、本プロジェクトではエリア全体での電力消費の最適化を進めるため、例えば通常は深夜に行われるエコキュートの沸き上げを余剰電力が大量に発生しそうな日中にシフトするなど、世帯や住棟を超えた電力融通と機器制御を行っています。

―大規模なエリアエネルギーマネジメントですが、どんなご苦労がありましたか?

大槻様:街全体でのエネルギーマネジメントに取り組むにあたり、関西電力様・東京ガス様などにご協力をいただき、エコキュートとエネファームを採用しました。
本プロジェクトはサステナブル建築物等先導事業(省CO₂先導型)にも採択されたため、その補助金を活用し、最適なエネルギーマネジメントについて、フィージビリティスタディというかたちで事前に有識者を交えて検討会を実施。その中で電気が6割、ガスが4割というバランスが決まり、レジデンスⅠ・Ⅱがエコキュートを採用したオール電化物件、Ⅲがエネファームを採用した電気・ガス併用物件となりました。

―災害時の電気・熱・水の確保にも取り組まれていますね?

大槻様:地域の防災拠点機能も備えるため、各街区に太陽光発電+小型蓄電池のシステムに加えて、大型蓄電池を設置。これにより停電時の電力を確保しました。
また、災害時には街区内の地域貢献施設を帰宅困難者支援ステーションや一時滞在施設に転用。綱島街道を歩いて帰宅される人々を受け入れ、水やトイレをご提供する計画です。

エコキュート
エコキュート
床暖房・LED照明器具
床暖房・LED照明器具

省CO2環境性能を評価し、ヒートポンプ式温水床暖房を採用。

―パナソニック製品を多数ご採用いただいています。

大槻様:エコキュート、エネファーム、ヒートポンプ式温水床暖房システム、照明器具、配線設備、換気設備などを採用しました。オール電化に床暖房は珍しいですし、社内でも議論があったのですが、省CO2の環境性能が評価され、採用に至りました。
パナソニックには今後も高効率で環境性能が高く、高付加価値な住宅設備機器の開発や提案を期待したいです。

―電気工事会社様へのメッセージをお願いします。

大槻様:カーボンニュートラルは、今後ますます住宅開発における重要な要素になると思われます。特にマンション開発においては、環境特化機器が現在のトレンドです。電気工事会社の皆様には、今後も当社の目指す持続可能な街づくりにご協力いただければと思います。

床暖房・LED照明器具
左から パナソニック建設エンジニアリング 熊谷様、野村不動産 大槻様、当社営業 和田
左から パナソニック建設エンジニアリング 熊谷様、
野村不動産 大槻様、当社営業 和田

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