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店舗の照明は、機能的に必要な明るさや、空間として快適な視環境などの照明要件をエネルギー的合理性のある手段で提供するという、照明設備としての明視論的機能が基本的に重要です。
しかし、それ以上にお客さまの目を引き、来店者を増やし、主役である商品またはサービスを引き立て、購買意欲を盛り上げるように演出し、強いては商品やサービスの販売が促進され、わかりやすく言えばもうかる店を作ることが最大の目的となります。
ここで、店舗照明は照明による環境演出と商品演出の二つの面を考慮しておく必要があります。前者は人間的な面、つまりお客さまの心理的な部分に働きかけて店舗(もしくは売場)に呼び込むための演出方法(環境演出照明)であり、後者は物の面、つまり商品の特長を十分に発揮させることを主眼におく演出方法(商品演出照明)です。
さらに、これらの演出照明と深く関連するのがベース照明です。売場内全般の基本的な明るさを確保するベースになる照明は、商品や空間の基本となる見え方を決定する大切な要素です。このベース照明で設定した明かりが環境演出照明や商品演出照明に求められる明るさや機能を決定し、全体の照明効果やエネルギー計画、そしてトータルのコストへ影響を与えることになります。例えば、ベース照明が必要以上に明るければ、その空間で商品を際立たせるための演出照明はその数倍の明るさが必要になってきます。
そこで、Feuを指標として、空間を適切な明るさにすることで、過剰な明るさを無くして省エネルギーを図るとともに、演出照明による効果を向上させることが設計のポイントになります。参考として、店舗でのFeuの目安を図2.2-1に示します。
店舗において明るさ感を高める照明設計では、ベース照明のみでなく、先述した演出照明も重要な要素となり、これがFeuを高める役割を果たします。ここで簡単にベース照明と演出照明についてまとめておきます。