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照明設計資料:防災照明(誘導灯)の設置

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避難口、通路、客席などへの誘導灯の設置に関する注意事項や定格型誘導灯、点滅・音声付誘導灯の設置についてや誘導灯の消灯、誘導灯標識の設置に関する内容を説明しています。

避難口誘導灯の設置(消防法施行規則第28の3)

避難口誘導灯は、次の(イ)から(ニ)までに掲げる避難口の上部又はその直近の避難上有効な箇所に設けること

  • (イ)

    屋内から直接地上へ通じる出入口

    (附室が設けられている場合にあっては当該附室の出入口)

  • (ロ)

    直通階段の出入口

    (附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)

  • (ハ)

    (イ)、又は(ロ)に掲げる出入口に通じる廊下、又は通路に通じる出入口

  • (ニ)

    (イ)、又は(ロ)に掲げる出入口に通じる廊下、又は通路に設ける防火戸で直接手で開くことができるもの(くぐり戸付きの防火シャッターを含む)がある場所。

    但し、自動火災報知設備の感知器の作動と 連動して閉鎖する防火戸に誘導標識が設けられ、かつ、当該誘導標識を識別することができる照度が確保されるように非常用の照明装置が設けられている場合を除く

通路誘導灯の設置(消防法施行規則第28条の3、平成11年9月21日消防予第245号)

通路誘導灯は、廊下又は通路のうち次の(1)から(3)までに掲げる箇所に設けること

(1)曲がり角

(2)下図(イ)及び(ロ)に揚げる避難口に設置される避難口誘導灯の有効範囲の箇所

  • (イ)

    屋内から直接地上へ通じる出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)

  • (ロ)

    直通階段の出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)

避難口誘導灯の有効範囲下表の緑色のセルに定める距離以内

例)避難口にB級(矢印なし)を設置の場合は30m以内に一つめの通路誘導灯を設置

区分 距離
避難の方向を示す
シンボルのないもの
避難の方向を示す
シンボルのあるもの
避難口A級 60m 40m
避難口B級 30m 20m
避難口C級 15m -

(3)(イ)及び(ロ)のほか、廊下又は通路の各部分(避難口誘導灯の有効範囲内の部分を除く)を通路誘導灯の範囲内に包括するために必要な箇所

①下図の(ハ)及び(二)の避難口への通路誘導灯の配置

  • (ハ)

    (イ)、又は(ロ)に掲げる出入口に通じる廊下、又は通路に通じる出入口(その部分から容易に当該出入口に至ることができる居室の場合を除く)

  • (ニ)

    (イ)、又は(ロ)に掲げる出入口に通じる廊下、又は通路に設ける防火戸で直接手で開くことができるもの(くぐり戸付きの防火シャッターを含む)がある場所。

避難口誘導灯の有効範囲下表の緑色のセルに定める距離以内。通路誘導灯の有効範囲下表の青色のセルに定める距離以内

例)避難口にB級(矢印なし)、通路にC級を設置の場合は”30+10=40m”以内に一つめの通路誘導灯を設置

区分 距離
避難の方向を示す
シンボルのないもの
避難の方向を示す
シンボルのあるもの
避難口A級 60m 40m
避難口B級 30m 20m
避難口C級 15m -
通路A級 - 20m
通路B級 - 15m
通路C級 - 10m

②通路誘導灯間の配置

通路誘導灯1と通路誘導灯2の有効範囲は次の表に定める距離以内

例)通路にともにC級を設置の場合は”10+10=20m”以内の間隔で通路誘導灯を設置

区分距離
通路A級20m
通路B級15m
通路C級10m

■ブランクプレートの設置例

誘導灯設置の免除については、所轄消防署へご確認ください。

平成11年以前の設置基準は、歩行距離10m以内に誘導灯を設置(=20m間隔)。現在の設置基準は、設置する誘導灯の大きさで間隔は異なります。C級の場合は歩行距離10m(=20m間隔)、B級の場合は歩行距離15m(=30m間隔)、A級の場合は歩行距離20m(=40m間隔)。ブランクプレートは、既設器具跡を隠すためのプレートです。

点滅・誘導音付誘導灯の設置(消防法施行規則第28条の3、平成11年9月21日消防予第245号)

点滅機能又は音声誘導機能の付加は任意(点滅機能にあっては、規則第28条の3第4項第3号の規定に適合するための要件となっている場合を除く。)であるが、次に掲げる防火対象物又はその部分には、これらの機能を有する誘導灯を設置することが望ましい。

  • (ア)

    令別表第一(6)項ロ及びハに掲げる防火対象物のうち視力又は聴力の弱い者が出入りするものでこれらの者の避難経路となる部分

  • (イ)

    百貨店、旅館、病院、地下街その他不特定多数の者が出入りする防火対象物で雑踏、照明・看板等により誘導灯の視認性が低下するおそれのある部分

  • (ウ)

    その他これらの機能により積極的に避難誘導する必要性が高いと認められる部分

誘導灯に設ける点滅機能又は音声誘導機能は、次の1から4までに定めるところによること

  • 1)

    下図(イ)又は(ロ)に掲げる避難口に設置する避難口誘導灯以外の誘導灯に設けてはならないこと

  • (イ)

    屋内から直接地上へ通じる出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)

  • (ロ)

    直通階段の出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)

  • 2)

    自動火災報知設備の感知器の作動と連動して起動すること

  • 3)

    避難口から避難する方向に設けられている自動火災報知設備の感知器が作動したときは、当該避難口に設けられた誘導灯の点滅及び音声誘導が停止すること

  • 4)

    音声警報機能付の非常放送設備と併せて使用する際の誘導音装置付誘導灯の音圧レベルは、当該装置の中心から1m離れた位置で70dBに調整されていること(通達消防予第302号平成6年11月30日より)

解説

点滅形誘導灯、誘導音付点滅形誘導灯を使用する場合、誘導灯用信号装置が別途必要です。
当社誘導灯には一台につき一個の煙感知器を接続できる端子を有しています。

自動火災報知設備から誘導灯用信号装置に連動し、点滅機能または音声誘導機能のある誘導灯に連動。点滅・音声誘導機能停止用蓄積型煙感知器(階段室内に設置)

誘導音装置は全てボリューム付(70~90dBに調整可能)ですので調整してご使用ください。又、非常放送設備と連動して誘導音を停止させる場合には、誘導灯用信号装置に非常放送設備との連動端子をつけていますので接続してご使用ください。

長時間(60分間)定格型誘導灯の設置(消防法施行規則第28条の3、平成11年消防庁告示第2号)

防火対象物のうち1から4のいずれかに該当する場合で下図①及び②に掲げる避難口、避難階の①に通じる廊下及び通路並びに直通階段に設けるものにあっては非常電源の容量を60分間とすること(20分間を超える時間における作動に係る容量にあっては、自家発電設備によるものを含む)

  1. 延べ面積5万m2以上
  2. 地階を除く階数が15以上であり、かつ、延べ面積3万m2以上
  3. 地下街で延べ面積1000m2以上
  4. 地下駅舎(乗降場、階段、通路など)
    1. 屋内から直接地上へ通ずる出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)、
    2. 直通階段の出入口(附室が設けられている場合にあっては、当該附室の出入口)、
    3. 避難階の廊下及び通路(①の避難口に通ずるものに限る。)、
    4. 直通階段、

    5. 乗降場(地下にあるものに限る)、
    6. ⑤に通ずる階段、傾斜路及び通路。なお、③については、①と①を接続する部分としてさしつかえないこと。
1.大型商業施設など
2.高層ビルなど
3.地下街
4.地下駅舎

上記4つの防火対象物においては、屋内のみならず屋外の階段も対象になります。

※階段誘導灯を非常用の照明設置で代替する場合も、 60分以上作動できる蓄電池電源容量が必要です。
(消防法施行規則第28条の2)

地下駅舎など

地下駅舎への誘導灯の設置イメージ図

大型商業施設・高層ビル・地下街

大型商業施設・高層ビル・地下街などへの誘導灯の設置イメージ図

客席誘導灯の設置(消防法施行令第26条)

照度基準

客席誘導灯は客席に総務省令で定めるところにより計った客席の照度が0.2ルクス(水平面照度)以上となるように設けること。

誘導標識の設置(消防法施行規則第28条の3)

  1. 避難口又は階段に設けるものを除き、各階ごとに、その廊下及び通路の各部分から一の誘導標識までの歩行距離が7.5m以下になる箇所及び曲り角に設けること。
  2. 多数の目に触れやすく、かつ、採光が識別上十分である箇所に設けること。
  3. 誘導標識の周囲には、誘導標識とまぎらわしいまたはこれをさえぎる広告物、掲示物等を設けないこと。
廊下および通路の誘導灯の設置イメージ図

避難口誘導灯及び通路誘導灯を設置する場合の手順 (平成11年9月21日消防予第245号より抜粋)

  1. 規則第28条の3第3項第1号イからニまでに掲げる避難口に、避難口誘導灯を設ける(A)。
  2. 曲り角に通路誘導灯を設ける(B)。
  3. 主要な避難口(規則第28条の3第3項第1号イ及びロに掲げる避難口)に設置される避難口誘導灯の有効範囲内の箇所に通路誘導灯を設ける(C)。
  4. 廊下又は通路の各部分について、A ~C の誘導灯の有効範囲外となる部分がある場合、当該部分をその有効範囲内に包含することができるよう通路誘導灯を設ける(D)。
  5. 以上のほか、防火対象物又はその部分の位置、構造及び設備の状況並びに使用状況から判断して、避難上の有効性や建築構造・日常の利用形態との調和を更に図るべく、設置位置、使用機器等を調整する。

設置例

居室から廊下および通路の誘導灯の設置イメージ図

誘導灯・誘導標識の具体的な設置例 (消防予第245号(平成11年9月21日)より抜粋)

建物の用途劇場(1)項イ
規模(床面積)2,070m2
避難階以外
記号摘要
BHB級BH形避難口・通路誘導灯
片面形(両矢、片矢印付)
両面形(両矢、片矢印付)
劇場での設置例のイメージ図
建物の用途店舗(4)項
規模(床面積)3,600m2
避難階以外

※店舗内の物品は、誘導灯の有効範囲を減しないものとする。

記号摘要
BHC級避難口・通路誘導灯
B級BH形避難口・通路誘導灯
A級避難口・通路誘導灯
片面形(両矢、片矢印付)
両面形(両矢、片矢印付)
店舗での設置例のイメージ図
建物の用途飲食店(3)項ロ
規模(床面積)220m2
避難階以外
  1. 飲食店舗内の設置例とする。
  2. フラワーボックス等の物品は、誘導灯の有効範囲を減しないものとする
記号摘要
BHC級避難口・通路誘導灯
両面形(両矢、片矢印付)
飲食店での設置例のイメージ図
建物の用途ホテル(5)項イ
規模(床面積)648m2
避難階以外
記号摘要
BHC級避難口・通路誘導灯
B級BL形避難口・通路誘導灯
片面形(両矢、片矢印付)
両面形(両矢、片矢印付)
ホテルでの設置例のイメージ図
建物の用途事務所ビル(15)項
規模(床面積)3,300m2
避難階以外
記号摘要
BHC級避難口・通路誘導灯
B級BL形避難口・通路誘導灯
片面形(両矢、片矢印付)
両面形(両矢、片矢印付)
事務所・オフィスでの設置例のイメージ図
建物の用途体育館(7)項
規模(床面積)8,400m2
避難階以外
記号摘要
B級BL形避難口・通路誘導灯
A級避難口・通路誘導灯
片面形(両矢、片矢印付)
両面形(両矢、片矢印付)
体育館での設置例のイメージ図

通路誘導灯の床面照度 (消防法施行規則第28条の3、平成11年9月21日消防予第245号)

階段又は傾斜路に設ける通路誘導灯にあっては、踏面又は踊場の中心線の照度が1ルクス以上となるように設けること。

中心線上で1ルクス以上

誘導灯の届出(消防法施行規則第31条の3)

誘導灯及び誘導標識は、工事完了後4日以内に、その建物の関係者(所有者・管理者・占有者)が所轄の消防長又は消防署長に消防用設置届出書を提出することが義務付けられています。その時には試験結果報告書も添付しなければなりません。

誘導灯の消灯(消防法施行規則第28条の3、平成11年9月21日消防予第245号)

次の 1)から 4)まで挙げる場所に設置する場合であって、自動火災報知設備の作動と連動して誘導灯が点灯し、かつ、当該場所の利用形態に応じて誘導灯が点灯するように措置されているときは消灯可能となりました。

(1)防火対象物が無人である場合

  1. a.ここでいう「無人」とは、当該防火対象物全体について、休業、休日、夜間などにおいて定期的に人が存在しない状態が繰り返し継続されることをいうこと。この場合において、防災センター要員、警備員などによって管理を行っている場合も「無人」とみなすこと。
  2. b.したがって、無人でない状態では、消灯対象とはならないこと。

(2)外光により避難口又は避難の方向が識別できる場所に設置する場合

  1. a.ここでいう「外光」とは、自然光のことであり、当該場所には採光のための十分な開口部が存する必要があること。
  2. b.また、消灯対象となるのは外光により避難口等を識別できる間に限られること。

(3)利用形態により特に暗さが必要である場所に設置する場合

通常予想される使用状態において、映像などによる視覚効果、演出効果上、特に暗さが必要な右表の左欄に掲げる用途に供される場所であり、消灯対象となるのは右表の右欄に掲げる使用状態にある場合であること。

(4)主として当該防火対象物の関係者及び関係者に雇用されている者の使用に供する場所に設置する場合

  1. a.ここでいう「当該防火対象物の関係者及び関係者に雇用されている者」とは、当該防火対象物(特に避難経路)について熟知している者であり、通常出入りしていないなどの内部の状態に疎い者は含まれないこと。
  2. b.また、当該規定においては、令別表第1(5)項口(7)項、(8)項、(9)項口、及び(10)項~(15)項までに掲げる防火対象物の用途に供される部分に限るものであること。

解説

誘導灯の消灯には誘導灯用信号装置が別途必要です。

誘導灯用信号装置の設置例のイメージ図
  • 消灯の方法には手動による方法のほか、自動点滅器・施錠連動・照明連動による方法があります。※詳しくは誘導灯用信号装置の欄をご覧ください。

利用形態により特に暗さが必要である場所の使用条件

用途使用状態
遊園地のアトラクションなどのように供される部分(酒類、飲 食の提 供を伴うものを除くなど常時暗さが必要とされる場所。 当該部分における消灯は、営業時間中に限り行うことができるものであること。したがって、清掃、点検などのため人が存在する場合には消灯できないものであること。
劇場、映画館、プラネタリウム、映画スタジオなどの用途に供される部分(酒類、飲食の提供を伴うものを除く)など一定時間継続して暗さが必要とされる場所。 当該部分における消灯は、映画館における上映時間中、劇場における上映中など当該部分が特に暗さが必要とされる状態で使用される時間内に限り行うことができるものであること。
集会場などのように供される部分など一時的に(数分程度)に暗さが必要とされる場所。 当該部分における消灯は、催し物全体の中で特に暗さが必要とされる状態で使用されている時間内に限り行うことができるものであること。

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