駅前の新たなシンボルとして未来への希望をつなぐ地域への思いをあかりで表現

閉じる

外観

フィン照明によりシームレスに光をつなげ、駅前のシンボルとなるよう美しくライトアップ

約100年にわたり広島駅前の郵便局として多くの方々に親しまれてきた旧広島東郵便局の跡地に、地上19階建の複合オフィスビルを建設。1階に郵便局、1階と2階にテナント、6階にテナント専用の食堂、7階~19階が賃貸オフィスとなっている(3階~5階は駐車場)。
外観は「水の都ひろしま」の市内を流れる河川の水面やその周辺に整備された美しい河岸緑地をイメージ。広島駅前のシンボルとして地域に親しまれるようにとの思いから、3000Kの暖かみのある色温度でライトアップ。低層部分には、旧広島東郵便局を想起させる建築意匠である水平方向に伸びる庇が採用されており、ライトアップすることで強調され、夜間景観を特徴づけることにもなっている。また、最上階のフィンにも横方向に照明器具を組み込み、動きのある照明演出で広島らしさを表現した。

「水の都」

「スポーツの賑わい」

「郵便」

外観とエントランスは防災センターからの一括管理で運用。照明制御システムによりプログラムされたシーンを演出。

■建築構造に寄り添った照明設計・開発

半円状パネル、器具間のつながりを最小限に抑えた器具構造設計、建築構造に合わせた細かい器具寸法の設計を行った。同じ器具構造で、単色とフルカラーの器具の使い分けを可能としている。

外装フィンへの器具配置
①基準階(コーナー) ②PH階(コーナー) ③PH階
建築化照明(アーキライン特注品:単色タイプ・フルカラータイプ)

建築寸法(外装フィン)に合わせて照明器具の全長を変更。
光源を変えるだけで単色・フルカラーの用途変更を可能にした。

半円状パネル
広範囲から光が見えるようにパネルを半円状に設計。

光のシームレス設計
パネル間は10mmとし、シームレスに美しく光をつなげるようにした。

モックアップにより検証を重ね、器具枠、モジュール間、パネル構造を検討した。

■上層階、下層階の建築構造に最適な光の検討

建築構造を効果的にライトアップするためにモックアップを使い、光方の検討および照明器具の検討を行った。
それぞれスポットライトとライン照明で比較実験を行った結果、下層階は庇を均一に照らすことができるスポットライト案とした。
上層階では、バックボードを均一に照らしあげることができるライン照明案とすることで、建築構造に最適なライトアップを行うことができた。

上層階・下層階のライトアップ

上層階の検討

スポットライト案
スポットの光のラインが目立ってしまった。

ライン照明案
バックボードを均一に照らすことができた。

下層階の検討

スポットライト案
庇を均一に照らすことができた。

ライン照明案
壁面を均一に照らすことができた。

■VRの活用で合意形成を促進し、最適な夜間景観を形成

計画初期段階からVRを活用し、照明設計や夜景景観を計画した。広島駅前整備の計画も見据えて、VR上で駅ビルとのつながりや駅ビルからの見え方を確認することで、より詳細で正確な照明検討を行った。

採用照明器具

エントランス

エントランスには下への配光でまぶしさを抑え、建築に溶け込むシンプルなデザインのSmartArchiシリーズのフットスタンドライトを採用。植栽をライトアップするスポットライトや階段を照らすフットライトもSmartArchiシリーズで統一している。

採用照明器具

テナントエントランス

内照式のクラフトウォールにより、訪れたお客様を広島ならではの壁面演出でおもてなし

2階のテナントエントランスでは、切手サイズの手漉き和紙を18万2千枚も貼り合わせ、瀬戸内海の多島美の風景を印象的に表現した内照式壁を配置。壁面内にダウンライトを連灯設置し、1灯ずつ細かく調光制御をかけることで、明暗を付け、光のゆらぎで瀬戸内の海や雲を表現。訪れたお客様を広島ならではの壁面演出でおもてなししている。

エレベーターホールは広島の戦国武将である毛利元就が提唱した「三本の矢」がモチーフに。建築化照明器具で照らすことで、三本のラインが浮かび上がり、美しい光を放つ演出をしている。天井にはSmartArchiのグレアレスダウンライトを採用し、器具の存在感を抑えている。

採用照明器具

6階テナント専用食堂

時間帯に応じた調光制御で快適に過ごせる空間に。

6Fのテナント様専用食堂では時間帯に応じて適切な調光制御を行い、テナント入居者が快適に過ごせる空間を提供している。食堂とつながる屋外カフェテリアは、夜間に落ち着いた雰囲気を醸すライトアップ演出を行い、屋内外の連続性を持たせた憩いのある空間を創造している。

© 株式会社川澄・小林研二写真事務所

天井のライン照明がリズミカルに連続し躍動感を感じさせ、同時に奥へと誘導する動線の役割にもなっている。

足元の間接照明と樹木のライトアップにより心地良い空間を演出している。

  • 床面照度

  • 机上面照度

【水平面照度分布図】

採用照明器具

オフィスフロア

ベースライトとダウンライトの併用で明るさを確保しながら落ち着いた雰囲気を醸成。

オフィスフロアにはシステム天井用照明器具を採用。床面照度と机上面照度のシミュレーションを提出し、ご検討いただいた。
昼間は昼光利用で照度を70%に抑え、省エネ化を図っている。壁際はTOLSOのコンフォートタイプのダウンライトで照らすことで反射光で輝度をアップし、落ち着いた雰囲気を演出するとともに明るさを補っている。

採用照明器具

廊下

空間の明るさ感Feuを用いた数値化による検証で快適性と省エネを両立

廊下は壁面の照明のみで最低限の照度と空間の明るさ感を担保している。C -Slimを採用。空間の明るさ感指標Feuを用いた輝度設計を行うことで快適性と省エネを両立した。

  • 竣工後

  • 設計段階

【水平面照度分布図 計算面高さ0m 反射率 天井70% 壁50% 床10%】

お客様の声

●日本郵政株式会社一級建築士事務所 武田雅志 様
VRによるシミュレーションや原寸大のモックアップを使って検証を重ねることで、色温度、光の当たり方、影の出方、器具の形状などを確認することができ、精度の高い照明設計が実現できました。外観のライトアップに関しても、最終的にイメージ通りに実現できたと考えています。
ビル低層部に整備した広場(公開空地)では、市民や広島を訪れる方々がくつろげる空間を目指して設計しており、夜間でも広場全体を演出する照明を配置し、雰囲気のあるランドスケープデザインとしました。今回、輝度を抑えつつ照度を確保でき、かつシャープなデザインとなっているスマートアーキを採用することで意匠性と安全性を両立することができました。

●株式会社久米設計 設計本部 第4建築設計室 部長 藤森慶弘 様
ファサードの照明に関して、モックアップの段階では点線のように見えていた光が、完成したものは見事に一直線の美しいラインを実現できていました。これはまさしくパナソニックさんの技術力と発想力を生かした形だと思います。軒裏も均一に照らされており、そういったディテールに大変満足しました。
低層部は庇による横基調、高層部はPC外壁と建物角部を隅切りしたガラスカーテンウォールで特徴付けた縦基調とした外観デザインのため、夜間もそのデザインと関連し、活かした照明計画によるアクセントをつけることができれば、と考えていました。それがパナソニックさんの協力で照明デザインに昇華され、ライトアップすることでより強調することができ、ありがたかったです。

●UDS株式会社 プロジェクトデザイン事業部 マネージャー 荒川佳大 様
2階のロビーは約30ⅿの壁に切手サイズの和紙を使うことで広島らしさ、郵政らしさを表現したわけですが、和紙の背面から光を当てて透け感を出す際に、単に光らせるだけではなく、ゆらぎのようなものを表現したいと考えました。そこで裏側にダウンライトを仕込んで1灯ずつ照度を変えて明暗をつけることで、ゆらぎを表現しました。将来的にペデストリアンデッキとつながって人が駅の方からやって来た時に、外からも目立つように、と考えております。
6階の食堂はライブキッチンの躍動感を天井にライン照明を連続して配置することで表現しました。座席側の天井には間接照明を使って奥への誘導の役割も持たせました。照明によって空間演出と機能の両立がうまくできたと思っています。

●株式会社HIBIKI Lighting Designer 樋引良太 様
2階エントランスの照明器具は、和紙による光壁を際立たせ、空間に溶け込む意匠であること、長いスパンでの取付ピッチでエントランスとしての明るさを確保する必要がありました。それらを叶える照明器具として、必要照度を確保しながら空間における存在感がミニマルであるスマートアーキのグレアレスダウンライトが最も適していると判断し、選定しました。
「建築とひとつになること」をコンセプトとして体系化されたスマートアーキの商品群は、建築、内装、外構に溶け込むミニマルなデザインの高い意匠性と、それぞれの演出に必要な照度を有しており、ライティングデザインをする上でとても提案のしやすいラインナップであると感じました。

物件情報

所在地 広島県広島市南区松原町
事業主 日本郵便株式会社
設計監理 日本郵政株式会社一級建築士事務所
実施設計・監理協力 株式会社久米設計
デザイン協力 UDS株式会社・株式会社HIBIKI(エントランス・食堂)
施工 鹿島建設株式会社 中国支店
竣工 2022年8月

約100年にわたり広島駅前の郵便局として多くの方々に親しまれてきた旧広島東郵便局の跡地に、2022年に開業された複合オフィスビル。広島駅南口広場と一体的な景観を目指して計画された。外観は「水の都ひろしま」をイメージ。同時に旧広島東郵便局のフォルムを継承する庇のデザインと融合させた大規模な壁面緑化を採用し、都市に潤いとやすらぎを提供。計画初期段階からVRを活用し、照明設計や夜間景観を計画。駅前整備の計画も見据えた正確な照明検討を行っている。

採用照明器具

パナソニックの電気設備のSNSアカウント