素材になじむ、陰影にとけこむ。
背景としての「黒」
安江怜史建築設計事務所さま 建築家自邸
(岐阜県・岐阜市)
依頼主の想いに丁寧に耳を傾け、多様な“居場所”のある住まいづくりを手掛けてきた建築家・安江さん。「シンプルで快適な、飽きの来ない家」をモットーに、素材にひときわこだわった空間を生み出してきました。今回、自宅をリノベーションするにあたり、「ブラックシリーズ」の配線器具・照明を採用。いかに設備類を“背景”としてなじませるかーーその工夫について安江さんにお話をお聞きしました。
過度な装飾は、できるだけなくしたい
空間になじむブラック色の魅力
今回のリノベーションは、「今までやってきたデザイン」を表現する場、そして同時に「今後やってみたいデザイン」の実験の場、二つの役割を融合した空間としてプランニング。
無垢の木材・石・タイル・塗り壁など素材感のあるものをバランスよくとり入れるという今までの手法は踏襲しつつ、無垢の木材にグレーの塗装を施した床や全体的にグレーにして明度を押さえた壁・天井など新しいデザインにも挑戦している。
新旧どちらの手法にも共通しているのが、「素材や色合いなどをできるだけ統一し、シンプルに仕上げる」という考え方。そこで自宅は木目とグレーをベースとし、配線器具や照明にはそれらになじむブラック色を、と採用を決めたそう。
木目、コンクリート、そして影
背景として空間に溶け込むデザイン
とくにスイッチやコンセントは「存在を消す」ことで、シンプルで美しい空間に仕上げることができる。例えば無垢材の壁に従来のホワイト色のコンセントなどを設置すると器具が際立ち“浮いて”見えてしまうが、ブラック色だと木目や節の色などとなじみ、存在感を抑えることができるのだ。
- スイッチ:
- WNSS51959B・
- WNS6001B ※
ブラック色がなじむのは、無垢材だけではない。寝室の天井は打ちっぱなしのコンクリートで仕上げているが、寝室に欠かせない住宅用火災警報器にもブラック色を採用。無機質なテイストにも違和感なく溶け込ませることができたと安江さんは話す。
- 住宅用火災警報器:
- SHK42422B ※
また素材の“色”だけでなく、“光”にも注目して器具を配置した点もポイント。例えば造作棚の下や太陽光が届きにくい廊下など、影になりやすい壁面にブラック色の器具を配することで、空間にしっくりとなじみやすくなるという。
- コンセント:
- WTL1502MB・
- WNS6003B ※
コンセントには直線で構成された「SO-STYLE」を採用。余計な装飾を省くため、角が丸い一般的なコンセントカバーではなく、シンプルなデザインの「SO-STYLE」を選んだ。さらに表面はマット仕上げを選び、照明や太陽光の反射をできるだけ減らす効果を狙った。器具の色、形状、質感……それら細部へのこだわりによって、器具を“背景”として周囲になじませている。
手に、耳に、心地よい
住み手にやさしく寄り添う機能性
住み手が快適に過ごせる空間をつくるには、配線器具などは「存在を消す」だけでなく「使い勝手の良さ」も大切だ。そういった観点から、「自分自身も住み手として感動した」と安江さんが話すのが、「SO-STYLE」のスイッチとコンセントの機能性だ。
- スイッチ:
- WNSS51959B・
- WNS6001B ※
- コンセント:
- WTL1502MB・
- WNS6003B ※
例えばスイッチは、レトロなデザインでありながらカチカチと尖った音・感触ではなく、ソフトな切り替え音とやわらかなクリック感で「気持ちよくて癖になる」操作の心地よさ。耳障りな印象や手触りの違和感を覚えさせない、やさしい配慮があるという。
- スイッチ:
- WTA1811BK・
- WTA8101B ※
また廊下に設置した人感センサー付きの照明には、機能が充実した「アドバンスシリーズ」の「かってにスイッチ」を採用したが、プレートを水平垂直で構成された「セレクトプレート」に変更。「組み合わせが自由にできて機能とデザインを両立しやすいのも、パナソニックの配線器具の特徴だと思います」。
ワークスペース
“魅せる”照明として
ペンダントライトをコーナーに設置
- ペンダント:
- XLGB1608 CE1 ※
丸みを帯びたペンダントライトは、LDKの一角に設けたワークスペースのコーナーに設置。天井に照明を設置せずに空間全体が美しく演出されるLDKに、あたたかな光を落とす存在に。ペンダントライトのコードをあえて長めにして灯りの重心を下げることで、団らん空間に落ち着いた印象をプラスしている。
寝室
グレーベースの寝室に
やさしく“光の演出”を
ブラケットは、直線で構成されたタイプを採用。何もない壁に設置することで絵画などを演出する照明としてプランニングした。
グレーの壁にブラケットがなじむ一方で、器具から投げかけられる光には存在感があり、ドライフラワーをドラマチックに浮き立たせている。
- ブラケット:
- LGB80625 LB1 ※
廊下
木材には“浮かない”ブラック色を。
存在を消すため、
ラインを揃えて雑音をなくす
- スイッチ:
- WNSS51959B・
- WNS6001B ※
- コンセント:
- WTL1502MB・
- WNS6003B ※
日常生活での使い勝手を考えると、廊下にもコンセントやスイッチが複数必要だった。
そのため木目に合うブラック色で揃えることに。
色としての統一感だけでなく配置にもひと工夫し、できるだけシンプルに仕上がるよう配慮。
縦・横のラインを揃えてコンセントやスイッチをレイアウトすることで、空間の”背景“としてなじむ効果を狙っている。
「ブラックシリーズ」モニター募集キャンペーンにてご提供した商品です
ブラックシリーズによる
“存在感を消す”デザインの可能性
「住まいは、完成時はまだスタート地点。住み手が時を重ねていくことで住まいも成長していくのだと思う」と語る安江さん。
住み手が心地よい時間を長く重ねていける空間を考える上で、主役として際立たせる器具、背景として存在感を抑える器具のバランスも大切だと話されます。
「ブラックシリーズは、“消える”力を持っている。空間デザインの幅を広げてくれる新たな可能性になると思う」と締めくくられました。
<物件情報>
- 所在地
- 岐阜県岐阜市
- 建物種別
- 自邸
- 間取り
- 1LDK
- 土地面積
- 148.89㎡
- 設計
- 安江怜史建築設計事務所