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不満がある人、なんと約7割!?コンセント計画の新定番。

2025.11.11

# 設計のヒント

家電が増えたり、家族がそれぞれスマホを使う令和の時代。
住宅設計の負担を減らし、満足度を高める「コンセント計画」とは!?

空間やくらし方が時代とともに大きく変わっていくなか、家を建ててから「こんなはずじゃなかった!」と後悔したという声も数多く聞かれます。

11月11日「配線器具の日」にお届けする今回は、生活する上で快適性を左右する「コンセント」の配線計画についてご紹介します。

意外と見落としがちなコンセントの計画。お施主様との打ち合わせや設計検討の場でも、すぐに役立てていただける「コンセント計画の新定番」について、解説していきます!

令和の「コンセント問題」って?

在宅ワークやオンライン授業の時に、リビングでお仕事をしたり、ちょっとした隙間のスペースにミニデスクを置いて学習コーナーを作ったり、ということが当たり前になってきました。

そんな時に近くにコンセントが無いと、配線タップで遠くの壁から電源を引っ張ってこなければなりません。しかし、伸びたコードにつまずいたり、何度も抜き挿しをしたり、煩わしさを感じることも多いですよね。「引っかかるわ…、からまるわ…、長さが足りないわ…」と、使うたびにちょっとしたストレスを感じてしまいます。

また、さらに問題なのが、配線タップで長さを延ばした先に、さらにタップを足したり、数々の家電をタップに挿すことで起こる「タコ足配線」。

タコ足配線の参考例

「とりあえず延長コードで…」は要注意。無理な配線やタコ足配線は発熱・発火の原因になることがあります。実際、令和5年には電気コードが原因の住宅火災が377件も発生。過去10年で最多です。

必要な場所にコンセントを計画しておくことは、快適さだけでなく安全性のためにも重要なのです。

住宅火災における電気コード火災等の火災件数の推移 (平成26年~令和5年)

コンセントが近くにない場合は要注意。プラグやコードに負担をかけると、火災の原因になることも。

出典:
東京消防庁

コンセントの不満は「位置」にあり

このような、令和時代の「コンセント問題」。

ルームクリップ株式会社が実施した「コンセントに関するアンケート」では、お施主様のなんと約7割がコンセントに関する不満を感じているという結果が出ています。

そして注目すべきは、その不満の多くがコンセントの「数」ではなく「位置」に関するものだということ。コンセントの位置は、設計段階でしっかりと検討しておきたい重要なポイントです。

コンセントに関する不満がある
75.4%
コンセントの位置に不満がある
68.2%
コンセントの数に不満がある
37.2%
出典:
「コンセントに関するアンケート」ルームクリップ株式会社(2025年4月15日~23日実施)n=1,167名(RoomClipユーザー)

コンセントの不満がある部屋は
「リビング、キッチン、寝室」

家族が集まってさまざまなことをしたり、使う家電の種類が多い部屋に、コンセントの不満が生まれることもわかりました。

特に、お悩みが出やすいのが「リビング、キッチン、寝室」。不満が出やすい空間こそ、満足度を高めるヒントが詰まっているとも言えます。実際にあがった「欲しいコンセント」の例をそれぞれ見ていきましょう。

コンセントの位置に関する不満がある場所

コンセントの悩みが多い部屋は、「ここに欲しい」という要望が高い部屋。

出典:
「コンセントに関するアンケート」ルームクリップ株式会社(2025年4月15日~23日実施)n=1,167名(RoomClipユーザー)

リビング・ダイニング

家族がスマートフォンを充電したり、デスクワークを行ったりする機会が増え、家具まわりでの電源ニーズが急増しているリビング。特に「ダイニングテーブルの横」や「足元」などがベストポジションのようです。

欲しいコンセント第4位:リビングのソファ周りに 欲しいコンセント第1位:ダイニングデーブルの横・下に
出典:
「コンセントに関するアンケート」ルームクリップ株式会社(2025年4月15日~23日実施)n=1,167名(RoomClipユーザー)

キッチン

魅力的な調理家電が多数ある昨今、さらに料理をしながら音楽を聴くといった「ながら」ニーズも増加しているキッチン。これまでの定番だった壁面ではなく、背面収納(カップボード)やキッチンカウンターへの設置が求められるケースが多くなっています。

欲しいコンセント第3位:キッチン背面側・カップボード・カウンターに
出典:
「コンセントに関するアンケート」ルームクリップ株式会社(2025年4月15日~23日実施)n=1,167名(RoomClipユーザー)

寝室

就寝前のくつろぎ時間に、スマートフォンの充電や美容家電の使用が当たり前になっている寝室。そのため、ベッドの頭上や脇など「手の届く場所」にコンセントが欲しいという声が多数上がっています。

欲しいコンセント第2位:ベッドの頭付近や脇に
出典:
「コンセントに関するアンケート」ルームクリップ株式会社(2025年4月15日~23日実施)n=1,167名(RoomClipユーザー)

これらの例は、従来の配置セオリーから外れる場所も多く、計画時の参考にしておきたい視点です。

くらしの変化と、
コンセントへの要望の変化

「コンセントに関するアンケート」調査から読み解ける「くらしの変化」をまとめてみました。

まずは、くらし空間・間取りの変化。家族いっしょに過ごす空間・個人で過ごす空間の分離が進んでいます。一方、同じ空間にいながら別々の行為をすることもあり、コンセント位置も柔軟な設計が必要になってきています。

たとえば、LDKの一体化が進んだことで、家族それぞれが過ごす場所の近くにコンセントが欲しいという声が増えています。また、リモートワークの普及により、机の高さにコンセントを設けたり、ルーター用として収納内へコンセントを設置してスッキリ納めたいというニーズも生まれています。

LDKは一体化した空間に

家族それぞれの居場所の近くにコンセント設置

リモートワークスペースが必須に

机の高さにコンセント設置

効率的な収納へのニーズが増加

収納内へのコンセント設置

プライベート空間を重視したい

各空間での充電コーナー

次は、くらしと電化製品の変化。現代では、さまざまな新しい電気製品が登場し、スマートフォン・パソコン・ウェルネス機器など充電して使う機器も増えていますよね。

たとえば、ロボット掃除機の充電器が常に、出しっぱなしなのが気になります。洗面所では、美容と健康のために電動歯ブラシや、ドライヤーや美顔器など多数の家電を使いたいなど、求められるコンセントの数や場所も変わってきています。

不満に先回りする、
コンセント計画の新定番

このように、変化する家具の配置や増えていく家電に対して、コンセントの位置や数の計画が追いついていないことで、住まいの使い勝手に不満を感じるケースが少なくありません。

これまでの部屋の両側に1箇所ずつ配置する「2か所配置」では、くらし始めてから足りなくなることも。また、家具でふさがれてしまい使えないコンセントができたり、季節家電を置きたい場所に電源がなく延長コードで対応したりといった不便も見られます。タコ足配線にならざるを得ない原因がここにあります。

これまでは「2か所配置」

こうしたトラブルを未然に防ぎ、くらしの質を下げないためには、家具のレイアウトや季節家電の使用場所まで想定した「先回りの配線計画」が重要です。

コンセントの位置に関するお悩み

出典:
「コンセントに関するアンケート」ルームクリップ株式会社(2025年4月15日~23日実施)n=1,167名(RoomClipユーザー)

そこで、後悔を減らすために、これからの住まいにはコンセント計画の新定番として「四隅配置+アドオン」という考え方をご提案します。

リビングや寝室、子ども部屋といった居室では、部屋の四隅にコンセントを配置しておけば、たとえ一部が家具でふさがってしまっても、柔軟に対応が可能です。扇風機や加湿器などの季節家電も設置しやすくなります。

ベースの数にゆとりが生まれるので、四隅配置なら一部が隠れても残りで対応できます。

これからは「四隅配置 + アドオン」

さらに、日常の使用機器やライフスタイルに合わせて「アドオン(追加設置)」を取り入れることで、空間の快適性はぐっと高まります。

たとえば、季節家電やロボット掃除機の使用を見越して設置場所を検討しておくと、近くのコンセントで電源を確保できます。タコ足配線も回避でき、コードで動線を妨げないので、小さなお子様がいてもつまづくこともなく安心ですよね。

以前に「令和時代のコンセント問題をすっきり解決!」でご紹介したように、床用コンセントをアドオンをすることもおすすめです。

住宅設計の打合せの負担を減らし、
満足度も高める

住宅設計においては、決める内容も多く、打合せが何度か必要になりますが、忙しい現代では回数を重ねるのもなかなか難しいですよね。

今回、生活家電の数から、最適なコンセント口数の目安を確認できるプランニング用の「家電チェックリスト」をご用意しました。

今後、コンセント計画においては、事前に家電チェックリストで必要なコンセントの口数を把握いただき、「四隅配置」に対して足りない口数を「アドオン」していただくことで、打合せを増やさずに、ご要望をしっかり反映することができます。お施主様との打ち合わせやプラン提案にぜひご活用ください!

家電チェックリストを見る

建築家も共感する
「四隅配置+アドオン」の思想

さて、ご紹介したコンセントの「四隅配置+アドオン」の概念、現役の建築家はどう考えるのでしょうか。一級建築士として、住環境と商環境を主に手掛ける寳神尚史さんにお話しを伺いました。

四隅配置は「現代の家電の多さや必要なコンセント数が増えていることに改めて気づかせてくれた」納得感のあるレシピであり、思想と語られました。

「四隅配置+アドオンという足し算の概念は、我々設計者にとってもすごく記憶に残って使いやすいレシピだと思います。同時に、これから住まいを構えよう、新しいくらしを始めようとする住み手の方たちにとっても、記憶しやすい考え方だと思います。」と、設計者にとってもお施主様にとても実践しやすいと評価いただきました。

寳神 尚史 Hisashi Houjin

日吉坂事務所 : 1975年生まれ。1999年明治大学大学院修了。
青木淳建築計画事務所を経て、2005年日吉坂事務所設立。
「銀座 伊東屋」リニューアルなど多くの設計を手掛ける他、小規模複合ビル「KITAYON」(東京・西荻北)では、設計だけでなく、自身がオーナーとなり建物の運営も行っている。

パナソニックが提案する「コンセント計画の新定番」ご活用ください

これからのコンセント計画では、ぜひ「四隅配置+アドオン」の考えを「住宅設計のレシピ」として心に留めて、取り入れていただければと思います。

コンセント計画の新定番が、満足度の高い住まいづくりへの近道になることを願っています。

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