2022年12月号 マルチマネージャーExを駆使し、1万通りの組み合わせから最適な色温度と照度で作品や空間を照射。島根県立美術館様[島根県松江市]

  • 羽根田 安弘様

    島根県立美術館 支配人
    株式会社SPSしまね
    羽根田 安弘

宍道湖の湖畔に佇む、山陰地方最大の規模を誇る島根県立美術館様。
名建築としても名を馳せ、全国から来館者が訪れます。
このたび、天井耐震工事に伴い、照明のLED化工事を実施されました。

島根県立美術館 湖岸側
採用商品:軒下用LEDダウンライト(指定色塗装)

島根県立美術館 正面入口側
採用商品:軒下用LEDダウンライト(指定色塗装)

建築物との調和をはかり、照明器具の存在感を抑えるため、枠色を指定色に塗装

宍道湖畔に建つ島根県立美術館は、「水と調和する美術館」をテーマに菊竹清訓氏によって設計された名建築。ここから望む宍道湖は「日本の夕陽百選」に定められています。
1999年の設立から20年を経た2018年に行われた改修工事では、宍道湖を臨むロビーの照明をLED化。マルチマネージャーExで調光調色することで、時間帯に合わせてより宍道湖の眺めを楽しめるようリニューアルされました。
さらに今回、2021年より1年の歳月をかけて、同美術館のシンボルであるさざ波をイメージしたロビー天井の耐震化工事と、空調改修、照明改修を実施。軒下、展示室、ホール、バックヤード等にパナソニックのLED照明をご採用いただきました。
同美術館は2005年より指定管理者制度を導入。株式会社SPSしまね様が指定管理者となって管理されています。支配人である羽根田様は次のようにお話しくださいました。「照明器具が建築物と極力調和をはかるよう、軒下ダウンライトの枠を指定色で塗装しました。展示室内のダウンライトの枠も、器具の存在感を抑えるため、天井と同化する色にとことんこだわりました」。

天井の耐震化工事では、アルミ製からグラスファイバー製に軽量化。
改修前と意匠が極力変わらないよう製作。西側は全面ガラスで宍道湖が臨める。
LED照明はマルチマネージャーExで調光調色されています。

※指定管理者制度…2003年の地方自治法の改正により開始された、公の施設をノウハウのある民間事業者に管理してもらう制度のこと。

島根を代表する工芸品のコレクション展示室。今回のリニューアルで間接照明とダウンライトをLED化。
マルチマネージャーExを使用して、展示作品の一点一点に合わせた調光をしています。

左:マルチマネージャEx
右:設定操作用タブレットEx1万通りの調光調色の組み合わせが可能で、作品の微妙な色味を忠実に再現します。
作品ごとに最適な当て方を、学芸員の方々が自ら設定を行います。
操作方法は工事会社様や代理店である山陰パナソニック様がレクチャーされました。

LEDダウンライト(指定色塗装)照明器具の存在感を極力抑えるため、枠の色を天井と同化する色に特注で対応しました。

美術・芸術に関する発表の場として貸し出しているホール。
音響や映像設備も充実。客席ダウンライトをLED化。
使用頻度の低い舞台用スポットライトは継続使用することにしました。

調光装置の入った分電盤。舞台照明は既設のハロゲン照明を残し、客席照明をLED化。
将来すべてLED化したときにも対応できるようになっています。

記憶調光操作卓「パステルパレット」。
カラーLED照明器具のカラーコントロールが一般の方でも簡単に操作できるパレットタイプをご採用。

マルチマネージャーExにより最適な色温度と照度で作品を照射

展示室の照明は、学芸員の方々がマルチマネージャーExで1万通りの組み合わせの中から作品に最適な照度と色温度に1点1点設定されています。
「照明は、光輝いているにもかかわらず、美術館の展示室においては黒子の存在。ですが作品をどう見せるかは照明が命。照明の光はキーテクノロジーであり、パートナーなのです。電気工事会社の方々はそのことをご認識くださって、サポートしていただけたと感謝しています」と語られました。

左から山陰電材営業所佐藤、日新電工井上様、島根県立美術館山下様、羽根田様、
電設サービス豊田様、山陰パナソニック石川様、山陰電材営業所祖母谷

電気工事会社様

  • 株式会社日新電工
    工務課長
    井上 雅貴

  • 株式会社電設サービス
    工務課
    豊田 先

美術館の高度なご要望にも、パナソニックの協力でお応えすることができました。

美術館の照明工事ということで、学芸員の方の高度なご要望に対し、いかにお応えできるかが鍵でした。
展示室のダウンライトの枠の色は、現場の天井にカラーチップをあてて、その色に限りなく近付けてもらえるようにパナソニックに指定色塗装をお願いしました。また、限界までつやをなくしてもらえるよう、無理をお願いしました。軒下用ダウンライトは指定色に加え、リニューアルプレートのサイズが標準品になかったため、特注で作っていただきました。
ホールは、展示室と違って頻繁に使用される場所ではないため、予算の関係もあり、何パターンもの費用シミュレーションをパナソニックに作ってもらいました。その結果、舞台照明は既存のハロゲンをそのまま残し、客席ダウンライトのみをLED照明にリニューアルすることになりましたが、ハロゲン用とLED用の2つの盤が必要になり、パナソニックに苦労して作っていただきました。
おかげでお客様にはご満足いただけ、我々にとってもよい経験となりました。

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