ポカヨケとは?仕組みと導入メリット 製造業の活用事例を解説

製造業において、作業ミスの発生は避けられない課題の一つです。人為的なエラーが品質の低下やコストの増加、さらには事故につながるケースもあります。これらのリスクを軽減するために導入されるのが「ポカヨケ」です。

ポカヨケとは、作業ミスを未然に防ぐ仕組みや工夫のことを指します。日本の製造業で発祥・発展し※1、現在では世界中の工場で活用されています。では、ポカヨケの具体的な仕組みや種類、導入のメリットについて詳しく解説していきます。

ポカヨケとは?仕組みと種類を分かりやすく解説

ポカヨケとは、作業ミスやヒューマンエラーを未然に防ぐための仕組みや工夫のことです。※2※3「ポカ(うっかりミス)」を「ヨケ(防ぐ)」という意味があり、日本の製造業で発展しました。※2※3
ポカヨケは、作業者がミスしないように設計されたシステムやツールを活用して、品質や生産性を高めることを目指しています。※2※3

ポカヨケの種類には、「発生前ポカヨケ」「発生時ポカヨケ」「発生後ポカヨケ」の3つがあります。※4※5

発生前ポカヨケ

発生前ポカヨケとは、不良が発生する前にそもそも間違えようがない仕組みをつくることです。※4※5 人間がミスをしないように注意するのではなく、ミスができない構造や工程にすることが重視されます。
例えば、部品の取り付け方向が一方向にしかないように設計したり、作業手順を強制順序で行う仕組みを整えたりといったケースがあります。※6 この方法では、ヒューマンエラーそのものを発生させないほか、教育や習熟度に依存しない製品品質の安定を目指すことができます。

発生時ポカヨケ

発生時ポカヨケとは、不良が発生した瞬間にそれを検出して工程を停止したりアラートを出したりすることで、不良の流出や影響を最小限に抑えることです。※4※5
例えば、作業ミス時に機械が自動停止するよう設計したり、重量センサーを利用して過不足を自動判定できるようにしたりするケースがあります。※6 この方法では、不良の早期発見につながるほか、作業者へリアルタイムでフィードバックすることができます。

発生後ポカヨケ

発生後ポカヨケとは、不良が発生した後でもその影響を最小限に食い止める工夫のことです。※4※5 不良品の混入防止や再発防止策の内製化も発生後ポカヨケといえます。
この方法を導入することで、再発時の影響を局所的に抑えやすくなるほか、不良品の流出や事故の発生も防ぐことができます。

ポカヨケ導入のメリットとは?品質・コスト・生産性を向上させる仕組み

ポカヨケを導入することで、作業ミスを削減し、製造工程の品質向上やコスト削減につながります。具体的なメリットを見ていきましょう。

1.品質が向上する

作業ミスを未然に防ぐことで、不良品の発生を減らし、製造品質の安定化と製品品質の向上につながります。※3※7※8
特に、製造業では人為的なミスが品質問題につながります。ポカヨケを導入すれば製品が規定どおりに仕上がることに近づき、品質の向上・安定が確保されやすくなります。※3※7※8
また、締め忘れなどの重大な作業ミスを防止することで、製造品質の安定にも寄与します。

2.コストを削減できる

不良品が発生すると修正のための作業や部品の再調達が必要になり、それに伴う人件費や材料費が増大します。※3
ポカヨケを導入し、作業ミスや不良品の発生を未然に防ぐことで、手直しにかかる手間や人件費・材料費を削減することが可能です。

3.生産性が向上する

ミスや不良品の発生を未然に防ぐことで、手直しや再作業の時間を削減できるため、円滑な生産が可能になります。※3※7※8 また、連続したスムースな作業フローを保てることから、生産全体のスピード向上にもつながります。
ミスが減ればトラブル対応に費やす時間も削減できるため、結果として生産性の向上が期待できます。

4.安全性が向上する

作業ミスやヒューマンエラーを防ぐことで、事故やけがのリスクが低減し、作業者が安心して働ける環境を整えることができます。※3※7※8
例えば、誤った操作を防ぐためのセンサーや、適切な手順が守られないと機械が自動停止するシステムを導入することで、作業者の安全が守られます。これにより作業者は安心して業務に従事できるため、労働災害のリスクを減らすとともに製造品質の安定化を図ることができ、結果として製品品質の向上にもつながります。

製造業のポカヨケ活用事例|組立ライン・品質管理の成功例

ポカヨケはすでに製造業のさまざまな現場で導入されています。以下で、ポカヨケ活用事例をご紹介します。

作業ミスを防ぐナビゲーション技術(AR・音声ガイダンス)

ポカヨケの活用事例としてまず挙げられるのは、「AR(拡張現実)や音声ガイダンスを活用したナビゲーション技術の導入」です。※2

ナビゲーション技術を活用したポカヨケには、例えば作業者がタブレットをかざすと組み立て手順や部品の取り付け位置が画面上に表示される仕組みがあります。※9
ARによって視覚的に正しい作業を認識できるため、誤作業を減らすことが可能です。また、作業工程ごとに音声ガイダンスがリアルタイムで指示をくれるため、作業ミスを未然に防ぐことができます。

このようなナビゲーション技術を活用したポカヨケの導入により、重大事故になりかねない作業漏れやミスを防げたという事例もあります。※9

誤出荷防止のデジタルピッキングシステム

デジタルピッキングシステムとは、ピッキングや仕分け作業でのミスを防ぐシステムです。自動的に確認作業を行い、誤って異なる商品を選んだ場合には通知されるため、ヒューマンエラーの削減につながります。※2

実際にデジタルピッキングシステムをを導入している企業では、出荷精度が向上したという事例もあります。※10

作業ミスを即時検出するセンシング技術

センシング技術とは、センサーを使用して作業者の動きや機械の状態をリアルタイムで監視し、異常を即座に検出するシステムです。手順どおりに作業を進められていない場合にシステムが教えてくれるため、作業ミスを防ぐことができます。※2※11※12

実際に、目視検査での判別が難しい不具合の検知・検査の自動化によって作業ミスを削減し、品質向上を実現した事例もあります。※11

締付不良を防ぐスマートツールと自動トルク管理

スマートツール・自動トルク管理システムは、ネジやボルトの締付作業で適正な締付トルクをリアルタイムで監視し、設定された基準値に達していない場合に作業者に通知する仕組みです。
スマートツールにはトルクデータが記録されるため、締付状況をあとから確認することが可能です。※2※13 これにより、品質管理の精度が向上するため、安定した製品の提供を実現できます。

実際に、スマートツール・自動トルク管理システムをポカヨケとして導入した企業もあり、その結果、ヒューマンエラーを削減し、安定した生産性と品質の向上が実現したという事例があります。※14

Panasonicでは、ドライバーやレンチなどさまざまな電動工具を取り揃えております。
例えば『充電インパクトレンチEYFLA8(2018年6月発売)』は、ネジやボルトの締付作業のポカヨケにつながる機能を搭載しています。

斜め締め低減機能

斜め締め低減機能は、最初に約360度逆回転させることでネジを誘い込み、ねじ山の噛み込みを低減する機能です。ネジの斜め締めによる焼付きトラブルも防げます。

締付不良お知らせ機能

締付不良お知らせ機能は、作業時間をあらかじめ本体に登録し、作業時間に達しない場合に締付不良をお知らせする機能です。0.1秒刻みで3.0秒まで設定が可能です。
作業時間を設定しておくことで、2度締めや噛み込みトラブルを防げます。

無線通信による締付本数管理機能

別売の無線受信機「受信機EYFR02」との連携で、締付本数管理が可能です。また、「ヘルツ電子株式会社製受信機TW-800シリーズ」にも接続でき、既存設備に合わせた選択が可能です。

まとめ

この記事では、ポカヨケの種類や導入のメリット、製造業のポカヨケ活用事例について以下の内容を解説しました。

  • ●ポカヨケの種類は、確認型ポカヨケ・警報型ポカヨケ・停止型ポカヨケの3つ
  • ●ポカヨケの導入により、品質の向上・コスト削減・生産性の向上・作業者安全の向上が期待できる
  • ●製造業では、ポカヨケとして主にナビゲーション技術(AR・音声ガイダンス)・デジタルピッキングシステム・センシング技術・スマートツール・自動トルク管理が導入されている

作業ミスやヒューマンエラーを未然に防ぐための仕組みである「ポカヨケ」は、製造業で重要な役割を果たしているといえます。なぜなら、ミスを防ぐことで製造品質の安定化が図れ、結果として製品品質の維持・向上につながり、再作業や不良品の発生によるコスト増加を防止できるからです。
ポカヨケを導入すれば安定した生産の維持に寄与できるため、企業の信頼性向上も期待できます。

今回ご紹介したポカヨケの仕組みと導入のメリットをご参考になられ、作業環境に適したポカヨケ技術を導入し、より効率的で安全な作業環境を実現なさってください。

Panasonic』では電気・建築設備として、充電スクリュードライバーや充電インパクト、ACスクリュードライバーなどの工場向け電動工具を多数取り揃えております。

現場でのさまざまな作業ニーズに対応すると同時に、製品品質の安定を支え、生産性の向上に貢献します。この機会にぜひご活用ください。

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