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空間の明るさ感を定量的に扱うことのできる方法として有効な色モード境界輝度法ではありますが、照明設計指標として使う上では課題があります。色モード境界輝度の決定は人間の視感評価によることから、照度設計のように、設計条件から計算で値を求められないのです。そこで、図3に示す住宅居間空間を想定した実際の空間を用いて、色モード境界輝度の測定と空間の明るさ感評価を行う実験を行い、視野の輝度分布から色モード境界輝度を推定する方法を検討しました5)。
この実験結果に基づき、各照明条件の色モード境界輝度を精度良く予測できる計算方法を検討しましたところ、以下の1〜3に示す人間の視覚特性を配慮した計算方法を採用することで、視野の輝度分布から部屋中央部に設置されたテストパッチの色モード境界輝度を高精度に予測できることが分かりました。
以上の1〜3の条件を組み込んだ計算結果から得られたLgと、前述の実験で得られた色モード境界輝度Lcとの関係を図4のグラフに示します。色モード境界輝度LcとLgの関係は高い相関関係にあり、LcはLgの0.7乗に比例することを図4は示しています。
そして、この図に示す結果から、次の式(1)により計算される色モード境界輝度ならびに空間の明るさ感評価値と相関の高いLg の0.7乗値に対して1.5倍した値を「Feu」と制定しました9)。この係数1.5の導入により、住宅居間空間に対する設計目安のFeu値は10と分かりやすい数字で表現することを可能にしています。