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特殊環境用照明設備:検査照明

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物の品質が所定の基準に適合するかの判定を行う検査は、製造業における視作業でも重要な工程です。検査作業は業種によって複数の種類があるため、照明も検査の内容により器具品種・設定位置・照射方向などについて、個別の要求事項が存在します。

屋内照明基準(JIS Z 9125-2023)では、「化学・プラスチック・ゴム製造」「電気工業」「食品製造業」「皮革製造業」「宝飾品製造業(手作業)」「繊維産業」「自動車製造」「木工業・家具製造業」の各業種において、「最終検査」「品質管理」「試験・測定・検査課」「色検査」といった具体項目を設けて照明条件を規定しています。

加えて、検査工程は検査員個々の視力や検査手法(右利き、左利きなど)によって光環境を調整する必要があります。

検査照明設計の基本的な考え方

検査照明の設計・計画を行うにあたっては、検査対象、検査方法、判定基準などの検査内容を認識し、検査物の視認性に配慮した明るさを確保する必要があります。屋内照明基準(JIS Z 9125-2023)では、各種業種に対し「最終検査」や「品質管理」等の工程における照度(lx)とまぶしさ(UGR)に対する推奨値が示されています。

照度に関しては、おおむね1,000 lx以上(電子部品の試験・調整は1,500 lx)と規定されており、一般的な事務所作業より高照度が求められています。

また、グレア配慮など、照明器具の光学的制御と器具の設置位置(検査員の視界および検査対象物への光の当たり方)に対する配慮も重要です(表15)。

検査工程は比較的長時間にわたる視覚的ストレスの高い作業が想定されますので、検査作業の周辺部の明るさも暗くせず、作業エリア全体を均一な照度とすることも大切です。

表15:配光の特徴と検査対象への光の当たり方

配光の特徴 検査対象への光の当たり方
指向性の強い光
(スポットライトなど)
  • 特定箇所を強く照射したい場合
  • 斜め側方から照射したい場合
  • 正反射の特性を検査したい場合
広配光で高光束の光
(ベースライトなど)
  • 全体を均等に照射したい場合
  • 必要照度を効率的に確保したい場合
中配光で低光束の光
(デスクスタンドなど)
  • 特定箇所を適所に照射したい場合
発光面が広く均一な
低輝度の光
(光天井、パネル付器具など)
  • エリア全面を均等に照射したい場合
  • 背面から光源を透過させる場合
  • 照明光の映り込みを軽減したい場合

高い演色性の必要な場所(色検査)

印刷物など、色選定や色合せなどを行う検査では、照明の演色性にも配慮する必要があります。色見えにおける忠実性の高い「平均演色評価数(Ra)」が90以上の高演色型光源の採用を検討するとともに、「特殊演色評価数」であるR9~R11(赤、黄、緑、青の見え方)の値が高いことも重要です。

屋内照明基準(JIS Z 9125-2023)では、各種製造業に対して「演色性区分」を設定しています。これによれば、一般的な試験や調整や検査には「高C1」カテゴリの光源を推奨し、色検査には「高C2」カテゴリの光源を推奨しています。

なお、「演色性区分」は「照明基準総則:蛍光ランプ・LEDの光源色及び演色性による区分(JIS Z 9112- 2019)」にて規定されているLED光源の演色性に関する5区分(“普通形”,“高演色形クラス1”,“高演色形クラス2”,“高演色形クラス3”,“高演色形クラス4”の5種類)に相当します(表16)。

加えて、照明器具の反射板やその近傍には、有彩色のものや汚れやすい樹脂製のものを採用せず、検査物に演色性の高い光が直接照射されやすい環境も重要です。

表16:LEDの演色性区分(JIS Z 9112- 2019

区分 基準 用途
高演色形(クラス4) Ra≥95、R9~15≥85 (精密な色検査)
高演色形(クラス3) Ra≥95、R9≥75 美術館・博物館
高演色形(クラス2) Ra≥90、R15≥85 色検査
高演色形(クラス1) Ra≥80 一般的な検査
普通型 Ra≥60

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