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『ウェルビーイング』とは?注目される理由、経営との関係性、推進するために企業がやるべきことを解説

ウェルビーイングとは身体だけでなく、精神、社会的に良好な状態 注目される理由、経営との関係性、推進するために企業がやるべきこと

近年、働き方がメディアで取り上げられる際に「ウェルビーイング」(Well-Being)という言葉を目にする機会が増えました。コロナ禍をきっかけに社会の変化が促進され、多様な価値観、多様な考えが受け入れられるようになり、企業は社員一人ひとりと向き合うことが問われる時代になりました。

ここ数年、新型コロナウイルス感染による影響によりリモートワークが推奨されましたが、コミュニケーションへの弊害が表面化しました。コロナ禍を明けた現在では、オフィス回帰する企業も出ており、働く空間が見直されています。そこで注目を集めているのが、ウェルビーイングです。

社員が心身とも健康を保ち、やりがいをもって働くことができたらチームや企業の生産性が高まるという考えのもと、各社がウェルビーイングを取り入れ始めています。本記事では「ウェルビーイングとは何か?」をはじめ、注目される理由や経営との関係性、推進するために企業はやるべきことを解説します。

ウェルビーイングとは

「ウェルビーイング」(Well-Being)という言葉は、1946年の世界保健機関(WHO)設立時に考案された憲章で、はじめて言及されました。世界保健機関憲章では、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」といっています。

ウェルビーイングは健康について身体的な領域だけでなく、精神的な領域にも社会的に満たされている状態だと広い概念として表現されています。また、心身が一時的・瞬間的に良好かどうかではなく、持続的に良好であることが大事なポイントとされています。

近年では、政府が働き方改革を推進し、例えば少子化の影響による労働力確保のための職場環境の改善など、ビジネス分野でもウェルビーイングが用いられることが多くなりました。もちろん国際社会における価値観の変化も大きく影響しています。

<参考>

「世界保健機関憲章」(公益社団法人 日本WHO協会)
https://japan-who.or.jp/about/who-what/identification-health/

ウェルビーイングの5つの構成要素

ウェルビーイングは概念なので、1つの要素で語ることはできません。そこで、うつ病と心理学の世界的権威で、ポジティブ心理学の創設者でもあるアメリカの学者マーティ・セリグマンは、ウェルビーイングに5つの指標を考案しました。「人は5つの要素を満たしていると幸せである」と定義するもので、5つの要素の頭文字をとってPERMAと呼ばれています。

■マーティ・セリグマンが提唱する「PERMA」

  1. ポジティブ感情(Positive Emotion)
  2. エンゲージメント、またはフロー状態を生み出す活動への従事(Engagement)
  3. 関係性(Relationship)
  4. 人生の意味や仕事の意義、及び目的の追求(Meaning and Puapose)
  5. 何かを成し遂げること(Achievement/Accomplish)

1. ポジティブ感情(Positive Emotion)

ポジティブ感情とは、希望、興味、喜び、愛、思いやり、誇り、娯楽、感謝などのことを指します。ウェルビーイングにおいて、ポジティブな感情はベースとなるところです。ポジティブな感情は考えや行動を前向きなものにし、ネガティブな感情によるメンタル的な影響を緩和する効果もあります。

2. エンゲージメント、またはフロー状態を生み出す活動への従事
(Engagement)

エンゲージメントとは、愛着や貢献の意志を深めることをいいます。フロー状態はチャレンジとスキルのバランスがいい時に生じます。例えば、エンゲージメントを高めるには、自分の得意分野に集中して取り組み、それを通して周囲に貢献することなどが挙げられます。

3. 関係性(Relationship)

関係性とは、パートナー、家族、友人、会社の同僚など他者との関係を示します。PERMAにおける関係性は、他者からサポートを受けたり、愛されたり、評価されたりすることだとされています。人との関係性を改善し、信頼されている関係者から熱心に対応されると幸福感や満足感が高まります。

4. 人生の意味や仕事の意義、及び目的の追求
(Meaning and Puapose)

PERMAにおける意味・意義とは、自分自身よりも大きい組織や存在に所属して奉仕することです。人生の目的を持つことは困難に直面した際に、大切なものを思い出せてくれる助けになります。また、人生の意味や仕事の意義はボランティア活動、地域活動などを通じて見つけることができます。人生の目標があれば満足度も高く、健康問題が少ないことがわかっています。

5. 何かを成し遂げること
(Achievement/Accomplish)

PERMAにおける達成とは、目標に向かって努力して何かを成し遂げることです。そして、自己動機づけを通じてやろうと決めたことを達成することです。誇りを持って自身の人生を振り返ることができる出来事になるので、ウェルビーイングに大きく貢献します。

<参考>

「PERMA」(一般社団法人 日本ポジティブ心理学協会ほか)
https://www.jppanetwork.org/what-is-positivepsychology
http://www.positivepsych.jp/cn7/PERMA.html

なぜウェルビーイングが注目されるのか

なぜ、ウェルビーイングが注目されているのでしょうか。その要因や社会的背景について説明します。

2023年の世界幸福度ランキング

2023年の「世界幸福度レポート」が発表されました。この中に「世界幸福度ランキング」も含まれており、2023年に発表したものは、2020~2022年のさまざまなデータをもとにつくられています。

■世界幸福度ランキング(世界幸福度レポート/2023年発表のもの)

順位 国名
1位
フィンランド
2位
デンマーク
3位
アイスランド
4位
イスラエル
5位
オランダ
6位
スウェーデン
7位
ノルウェー
8位
スイス
9位
ルクセンブルク
10位
ニュージーランド
11位
オーストリア
12位
オーストラリア
13位
カナダ
14位
アイルランド
15位
アメリカ合衆国

<参考>
「世界幸福度ランキング」(World Happiness Report)
https://worldhappiness.report/ed/2023/

国連が毎年3/20を「国際幸福デイ」と掲げており、世界の幸福を守ることを宣言する決議を採択してからちょうど10年が経ちました。国家としての成功は国民の幸福によって判断されるべきだという人々が増えています。それは経済的な競争が激化し、格差や貧困などがますます広がりつつあるからです。2023年の世界幸福度レポートに目を通すと、1位フィンランド、2位デンマーク、3位アイスランドと、社会保障に手厚い北欧の国が上位に入っています。

一方、日本は47位と、経済大国として国民総所得(GNI)世界3位でありながら、国民の幸福度では下位なことがわかります。

<参考>

「国際幸福デイ」(公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター)
https://www.unesco-school.mext.go.jp/international-day/international-happiness-day-3-20/

「国民総所得(GNI)」(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/gnp_1.html

多様性を認める社会の変化

ウェルビーイングが注目されるようになった理由の1つに価値観の変化が挙げられます。2019年に新型コロナウイルスが世界中を襲いました。そういう出来事を含め、多くの人々が「物を所有する」「お金を稼ぐ」といった物理的価値より「心が豊かであること」の方が大切であるということを再確認しました。

それまでは世界的に競争社会の中で物理的な価値観にこだわる傾向にありました。「自分さえ良ければ」「自国さえ良ければ」という凝り固まった価値観にとらわれ、先進国と後進国の格差、国内の貧困、環境破壊などさまざまな問題が進行していました。

その結果、一方を切り離すような不幸が増えつつありました。ただコロナ禍を経験し、人々が「心の豊かさ」を再確認することによって地球規模の調和をより意識するようになり、社会全体が「多様性を認める」方向へと変化しています。

コロナ禍で高まった働き方への意識

2019年から始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、日本でも在宅勤務が奨励されるようになりました。約3年が経過した今、働き方に対する価値観は随分と変化しました。特に自宅で仕事できる環境としてオンラインのコミュニケーションツールが普及したことが大きな影響をもたらしています。

例えば、リモートワークが進んだことで次のようなメリットが生まれました。

  1. 通勤時間が減ったことで、その分仕事に集中できる
  2. 家族と過ごす時間が増えたことで幸せを感じられる
  3. 残業時間が減ったことでより体力面で楽になった など

つまり、身体的負担の軽減、精神的ストレスの減少などが挙げられます。これは働き方の選択肢が増えたことによるメリットといえます。もちろんデメリットもあります。スタッフ間のコミュニケーション不足やチームとしての成長の鈍化など、リアルコミュニケーションがとれないことによる課題が生まれました。

ただ社員に働き方の選択肢が増えたことで、企業も一人ひとりに向き合うようになりました。福利厚生や社内制度を見直すなど、多様性を受け入れた働き方に対する意識が国内外を問わず進んでいます。

コロナ禍を明けた現在、リモートワークだけに固執せず、オフィスのメリットも考慮したハイブリッド型の働き方を行う企業も増えています。企業には多様な時代に適応し、社員に働く選択肢を増やす取り組みが求められています。

ウェルビーイングな働き方/オフィスとは?

ウェルビーイングなワークプレイスの作り方

不動産大手のCBREとPanasonicが合同で作成した健康的に働けるワークプレイスの作り方ガイド

ウェルビーイングと経営の関係性

近年は、企業経営にもウェルビーイングの考え方が生かされるようになりました。その背景や政府が推進する健康経営について説明します。

人口減少と企業の経営課題

現在、日本は少子高齢化による労働力不足という課題に直面し始めています。当然、企業にとっては優秀な人材の確保が難しくなっている状況です。また、2019年の働き方関連法の施行により残業時間に制限が設けられ、それ以前のような労働力を期待することができなくなりました。企業は社員一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮し、成果を出せる環境をつくるため、休日・休暇制度を改革するなどさまざまな取り組みを行っています。

広まりつつある健康経営の推進 

今、政府は健康経営を推進しています。経済産業省では、健康経営を次のように定義しています。

「健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです」

それぞれの企業が理念に基づき、従業員の健康に関する投資を行うことは一人ひとりの活力・生産性の向上を大きく左右します。社員の心身の健康は組織を活性化し、結果的に業績アップにもつながります。心と体の健康は人としての土台であり、それを持続的にサポートすることは企業の義務であることを、政府としても強く訴え始めています。

<参考>

「健康経営」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html

ウェルビーイング経営を推進するために必要なこと

ウェルビーイング経営を推進するために必要なことについてまとめました。

ウェルビーイング経営とは

ウェルビーイング経営とは、金銭的な売上や利益の目標以外に従業員、組織、取引先など経営に関わるすべての人が健康かつ幸福になることを支援する経営です。

ウェルビーイング経営がもたらすメリット

企業が社員の幸せを追求すれば一人ひとりの幸福度が上がり、業績アップのために意欲的に取り組むことは説明するまでもありません。ウェルビーイング経営がもたらす具体的なメリットは次のようなことがあります。

  1. 業績アップ
  2. 生産性の向上
  3. 離職率が低下し、人材の確保につながるなど

ウェルビーイング経営を推進するために企業がやるべきこと

ウェルビーイング経営を推進するためには、大きく次のことが挙げられます。

  1. ヘルスケアサポート
  2. コミュニケーションの活性化
  3. 労働環境の改善
  4. 福利厚生の充実

・ヘルスケアサポート

健康診断や予防接種の実施、定期的なメンタルヘルスケア、運動できる環境づくりなどがウェルビーイング経営の根幹です。

・コミュニケーションの活性化

チャットツールなどのコミュニケーションツールの導入、ランチミーティング、社内コンテストや優秀な社員の表彰など、社員同士のコミュニケーションが活性化するための機会を増やす取り組みは、ウェルビーイング経営にとって必要なことです。

・労働環境の改善

一律な勤務形態ではなく、時差出勤や時短勤務、リモートワークなど多様な働き方ができる労働環境づくりは、企業にとって常識になりつつあります。例えば、労働力不足の解消に向けた子育てしやすい環境づくりは家族の幸せにもつながるため、ウェルビーイング経営に求められるところです。

・福利厚生の充実

ここ数年は法定外福利厚生で経営にウェルビーイングを取り入れる企業が増えています。食事補助、社員食堂の充実、託児所を設けるなどの子育て支援、特別休暇、副業支援など、福利厚生を充実させることによって従業員満足度を上げ、離職率の低下を目指しています。それは人材採用という側面から見ると、企業の魅力にもつながります。

ウェルビーイングに大切な働く空間づくり

リモートワークにもコミュニケーション不足という課題があり、オフィスも活用するハイブリッド型の働き方をする企業も増えています。働く環境という側面では、働く空間となるオフィスは社員がパフォーマンスを発揮するために重要な要素です。

緑を取り入れたり、目が疲れない照明にしたり、また一人や少人数のグループに対応したレイアウトに改善したりすることは、社員にとって安心できる居場所になります。そのような環境をつくることで自然に社員が集まり、気軽に会話や議論が生まれたらコミュニケーションの質も高まります。

例えば、国内外の企業や人が多様なテーマで幅広く交流し、ビジネスを創発する場として2016年に「3×3 Lab Future」が開設され、そのコミュニケーションゾーンにパナソニックの「エアリーソリューション」が導入されました。導入理由は「対面の機会が増えた時に活発で表情豊かなコミュニケーションができることを期待したから」とのことです。エアリーソリューションはブース内外の空気を広範囲に浄化できるため、ワークプレイスを心地よい空間へと導きます。

コミュニケーション活性化を促す最新オフィス事例

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新ビジネスを創発する場として対面コミュニケーションの活性化に取り組んだ「3×3 Lab Future」(三菱地所様)

オフィス改善という点では、「WELL認証」といわれるグローバルな評価制度が注目されています。人が健康に過ごすための空間とは何かという観点で10項目の評価基準を設けており、その中には「心」「音」「光」「空気」などが含まれています。

WELL認証の取得を目指すことで、企業が働く社員に寄り添った心地よい空間を構築し、従業員満足度をはじめ、エンゲージメントや生産性の向上、離職率改善などが期待できます。職場環境を通して心身のヘルスケアサポートをすることは社会的な企業価値を引き上げることにもつながります。

心地よいオフィスは、企業にとっても、社員にとってもウェルビーイングを目指す意味で大切な要素です。

WELL認証の基本を分かりやすく解説

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世界で注目されているウェルビーイングな空間を評価する認証システムの基本をご紹介

WELL認証を詳しく知りたい人はこちらの資料をダウンロード

WELL認証の基本まとめBOOK

まずは認証の基本を知りたい方へ

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WELL認証体験談BOOK

認証を取得した担当者の裏話

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WELL認証はESG経営にどうつながる?

経営への効果を知りたい方へ

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オフィスは1日の大半を過ごす空間でもあるため、オフィス環境を整備することは従業員の健康維持にも直結する重要な取り組みです。働きやすいオフィスと一口にいってもさまざまな定義や基準がありますが、国際的な認証であるWELL認証を取得することで、ESG経営にも貢献できるでしょう。

オフィス移転や改装を考えている方は、健康経営実現のために、ぜひこの機会にWELL認証の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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