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LIGHTING STYLE Vol.10 | P.L.A.M. | 照明設計サポート製品を探す

LIGHTING STYLE Vol.10

03 京都大学医学部附属病院 南病棟

■物件概要
名称:京都大学医学部附属病院 南病棟
発注者:国立大学法人 京都大学
設計・監理:国立大学法人 京都大学
基本・実施設計:株式会社 内藤建築事所
施工:清水建設 株式会社
電気工事:株式会社きんでん
構造:鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造(免震構造)
階数:地下1階・地上8階
延床面積:約2万2700m2
病床数:414床(個室126室、4床室72室)
開院時期:2015年12月

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京都大学医学部附属病院 南病棟

患者の生活リズムをサポートするあかり

患者の生活リズムをサポートするあかり

爽やかな朝の光から、徐々に色を深めてゆく夕日まで、太陽の光は刻々と変化していく。
人間も、自然光の流れに合わせて24時間の生体リズムに調整しているとされる。
京都大学医学部附属病院南病棟で採用された「ホスピタル・サーカディアンシステム」は、一日の生活リズムに合わせて病室の光環境を制御し、単調になりがちな入院生活にメリハリをつけ、サポートする。
蛍光灯を使う従来のホスピタル・サーカディアンシステムに、LEDによる波長制御技術を加えて、自然な光の変化を重視しつつ、患者の生活シーンや回診・看護シーンに合わせた光環境を構築した。

患者の回復に寄与できる看護の新しい取り組みとして「ホスピタルサーカディアンシステム」を導入

精神的・身体的なケアに加えて、より良い環境を整えることで患者の治癒力や回復に寄与できる――。
そうした病院の考えに基づき、快適な看護環境を提供する1つのアイテムとして導入された。

医療現場の声を読み取り、最新の照明技術で応える -パナソニック 京都大学医学部付属病院 南病棟 プロジェクトチーム-
照明ソフト開発担当
モデル病床のプレゼンから竣工後の最終調整まで入院生活と看護に必要なシステムを構築しました
京都大学医学部附属病院 南病棟

パナソニックのプロジェクトチームは、自然光の変化をベースに、南病棟に適した照度や色温度、スケジュールなどの設定を検討した。現場のモデル病床にシステムを持ち込み、患者の行動や、診療に必要な明るさなどをもとに検討した1日のスケジュールを提案。竣工後には、すべての病室で、照度や色温度の変化、視認性などを、病院関係者に確認してもらいつつ微調整も加えて、最終的なシステムを完成させている。季節によって日照時間が大きく異なるため、夏・冬・春秋の3つのパターンを切り替える。

照明ソフト技術

蛍光灯時代から20年近く培ってきた
サーカディアンライティング研究

20年近く前、まだ蛍光灯が中心だった時代から、パナソニックは医療・高齢者福祉施設のサーカディアン照明に着目して、研究と実績を重ねてきた。人間の生体リズムと自然光との関係性を明らかにし、病院から自宅まで活用できる技術を構築するために、時間ごとの色温度や照度、1日の変化のパターン、そのために必要な照明システムなど、多方面にわたり研究を進めてきた。また、光源の波長を制御できるLEDの発達により、省エネとの両立も可能になった。京都大学医学部附属病院南病棟は、その成果をLEDによって大規模に実現した初めての事例となった。ホスピタルサーカディアンシステムの基本となる研究成果は、医療分野の専門家の力を借りて2000年にまとめられた冊子「光と健康」で見ることができる。

光と健康
エンジニアリング担当
最新のマルチ調光調色システムを活用して、ホスピタルサーカディアンシステムを実現できる機器構成を検討しました。

今回、導入された「ホスピタルサーカディアンシステム」はベッドサイドの壁面照明(アッパーライト)と天井のスクエアベース照明の2種類の照明器具で構成され、調光・調色が可能なシステムとなっている。アッパーライトは標準品のブラケットのデザインはそのままで、内部のユニットや電源はスクエアベース用につくられた調光・調色可能な部品を組み込んでおり、自然光と同調するように自動で変化する。そのスケジュールはスタッフステーションに設置した「マルチマネージャー(照明制御装置)」によって、自動的に1日の照明制御シ ーンを再現する。また、ブラケットの読書灯機能や天井に取り付けたユニバーサルダウンライト(処置灯)はシステムと独立して必要な時に点灯可能となっている。

ホスピタルサーカディアンシステム

特注のLED病室ベッドライト(調光調色)

LEDスクエアベースライト(調光調色)

マルチマネージャー

設定用タブレット