小型Azelossで締付け難易度の高い低トルク締結を電動化
手締め頼みの現場から脱却
計測・制御機器を製造する兵庫県のバルブメーカーでは、診断器の組立工程において、低トルク帯のタッピングネジ締結を手締めで行っていました。品質は維持できていたものの、生産台数の増加に伴い、作業者負担や生産への対応が課題となっていました。こうした状況を受け、手締めと同等の品質を保ったまま電動化を実現したのが「Azeloss TypeC」です。今回は、導入に至った背景と、実際の運用を通じて得られた効果について詳しく伺います。
課題
- 月20台から120台規模へ生産が増加し、タッピングネジを手締めで行う工程では、生産への対応が難しくなっていた
- トルクドライバーによる締結では、仮締め・本締めといった複数の締結操作が必要となり、作業の手間や作業者負担が大きかった
- 検査後の再締結やばらし工程では、一般的な電動ドライバーでは締結品質を安定させにくく、斜め締めやネジ山潰れのリスクがあった
解決策
- 低トルク帯でも回転数を制御した締結が可能なAzelossを導入し、手締め中心だったタッピングネジ締結を電動化
- ソフトスタートや良否判定機能により、仮締め・本締めを分けることなく、1回の締結操作で完了できる運用を実現
- 締結開始時に一度逆転させてネジを立てる逆転スタート機能により、再締結時の斜め締めを抑制
効果
- 手締めと同等の品質を維持したまま、生産台数の増加に対応できる締結工程を実現
- 仮締めと本締めを分ける必要がなくなり、作業工数と作業者負担を軽減
- 再締結時の斜め締めやネジ山潰れの防止による、やり直し作業の削減
対象工程について
聞き手:今回Azelossを導入された工程について、まず教えてください。
ご担当者様:診断器の組立工程です。
診断器側の筐体に基板を取り付けるためのビス止め作業になります。筐体は上下構造となっており、1台あたり合計28本のネジを締結する工程です。締結トルクは、0.14N・mが20本、0.2N・mが8本です。ネジはM2×5mmとM2×6mmが中心で、すべてタッピングネジを使用しています。
従来の運用と課題
聞き手:従来の締結方法についてはいかがでしたか。
ご担当者様:トルクドライバーによる手締めでした。
仮締め後、トルクドライバーのクラッチ作動音をもって本締め完了としており、品質面での問題はありませんでした。ただ、前モデルでは月20台ほどだった生産台数が、現行モデルでは月120台規模に増えています。週あたり約30台を、作業者2名が他工程と掛け持ちしながら対応しており、手締め中心の運用では負担が大きくなってきました。
聞き手:低トルクでも負担は大きいのでしょうか。
ご担当者様:タッピングネジなので、0.2N・mといえど力は必要です。
日々の作業の中で、指や手首への負担が徐々に蓄積していました。
聞き手:再締結やばらし作業も多い工程だと伺いました。
ご担当者様:組立後には検査工程があり、不具合が確認された場合は原因調査のために分解を行うほか、修理対応が発生することもあります。一度樹脂側にネジ山を作った箇所にタッピングネジを再度入れるため、少しのずれでもネジ山を傷めてしまいます。そのため、締結作業だけでなく、ばらし作業でも慎重に進めていました。
なぜ電動化が難しかったのか
聞き手:電動ドライバーの検討はされていたのですか。
ご担当者様:以前のモデルでは、工程に応じて電動ドライバーと手締めを併用していました。今回のモデルでも使用できると考えましたが、実際に試してみるとネジ山を潰してしまいました。タッピングネジは、締結時に回転数が速すぎると、ネジ山が形成される前にネジが入り込んでしまいます。また、ばらし作業では、回転数を調整せずに逆回転させると回転が速くなりすぎ、形成済みのネジ山を削ってしまうことがありました。
一般的な電動ドライバーでは、こうした細かな回転数制御ができませんでした。
Azelossを選択した理由と実際の効果
聞き手:その中で、Azelossを選ばれた決め手と、実際に使ってみた感想を教えてください。
ご担当者様:一番大きかったのは、0.14N・mといった低トルク帯においても、回転数を細かく設定できる点です。このトルク帯まで対応できる機種は限られていました。
また、締める作業だけでなく、緩め作業まで考慮されている点も評価しています。
逆回転時も回転数を抑えられるほか、逆転スタート機能によって、人が手締めで行う「一度戻してネジ山をなじませてから締める」動きを再現できます。ソフトスタートも含めて、組立現場の作業をよく理解した電動工具だと感じています。

0.03‐1.2Nmのトルク帯に1台で対応※1
クラッチバネ交換式 採用

ネジ締めサポート機能がさらに充実※1
※1 当該機能はM1-M3の小径ネジ対応製品に新たに搭載されたもので、M3-M5対応製品には対応しておりません。
作業OK/NOKを判定ランプで色別表示

クラッチ作動で作業終了すると緑色点灯

クラッチ非作動で作業終了すると赤色点灯
聞き手:現在はどのような形で運用されていますか。
ご担当者様:締結とばらしの両方で使用しており、導入台数は2台です。ソフトスタート、ソフト着座、逆転スタート機能は常時使用しています。締付け結果は工具本体のランプ表示で確認できるため、作業者が迷うことなく作業できます。また、斜めに入りかけた場合でも工具が自動で停止するので、品質面でも安心して運用できています。
導入効果と現場の変化
聞き手:作業時間の変化はいかがでしょう。
ご担当者様:参考として作業時間を確認したところ、7本締結する工程では、トルクドライバーでは約1分17秒、Azelossでは約1分5秒でした。
約12秒、割合にして15%程度の短縮となっています。大きくスピードが向上したというよりも、仮締めと本締めを分ける必要がなくなった点や、電動化によって、ばらし作業を含めた工程全体の流れがスムーズになったことが効いていると感じています。
聞き手:導入後、現場にはどのような変化がありましたか。
ご担当者様:作業者の負担はかなり軽減されました。特に指や手首の疲労が減っています。ばらし作業も電動で行えるようになったことで、身体的な負担だけでなく、心理的なストレスも軽くなりました。
現場の声と今後の展望
聞き手: 現場からの評価や、今後に向けた要望があれば教えてください。
ご担当者様:現状でも十分に使いやすい工具だと感じていますが、今後に向けた要望としてはカウンター機能があります。工程ごとに締結本数が異なるため、設定を切り替えることで対応は可能です。一方で、その都度本体側で設定を行う必要があり、現状の運用では十分に活用できていないのが実情です。ボタン操作などで簡単に切り替えられるようになれば、作業の確認がしやすくなり、より安心して使用できると考えています。また、先端にライトが付けば、ビス穴位置の確認がしやすくなり、作業効率の向上も期待できます。
聞き手: 今後の展開についてはいかがお考えですか。
ご担当者様:Azelossは最大1.2N・mまで対応しているので、今回の工程だけでなく、低トルクを扱う他のラインでも使える可能性があると考えています。油がかかる環境などでは耐久性の確認が必要ですが、条件が合えば、他ラインへの展開も前向きに検討していきたいと思います。













