電気自動車(EV)の方が税金は安くなる?「2025年度版」電気自動車(EV)の税制優遇や補助金制度を解説します
2025年5月公開
自動車には、さまざまな税金がかかり、電気自動車(EV)は、ガソリン車と比べると購入時にかかる税金が安くなります。その理由は、電気自動車(EV)には、国や地方自治体が制定した税制優遇があるためです。
さらに、地方自治体によっては補助金制度を設けている場合もあります。そのため、電気自動車(EV)の購入コストは、ガソリン車を買うときよりも抑えられる場合もあります。
電気自動車(EV)の購入時には、どのような税制優遇があるのでしょうか。また、どのような補助金が使えるのでしょうか。シミュレーションも交えて電気自動車(EV)の税金について解説していきます。
自動車の購入時にはどのような税金がかかる?
通常、自動車を購入すると、下記の3つの税金がかかります。
1.自動車重量税
2.自動車税(自動車種別割)
3.環境性能割(自動車税環境性能割)
自動車購入時にかかる税金は3つ
車を購入する際にかかる税金を、見ていきましょう。
| 税金の種類 | 税額を決める要素 | 課税のタイミング | 納付先 |
|---|---|---|---|
| 1.自動車重量税 | 自動車の重さ | 車検(購入・継続検査)時 | 国 |
| 2.自動車税(自動車種別割) | 自動車の種別、総排気量など | 購入時と毎年4月1日所有時 | 地方自治体 |
| 3.環境性能割(自動車税環境性能割) | 環境性能 | 購入時 | 地方自治体 |
1.自動車重量税
自動車重量税は、自動車の重量に応じてかかる税金です。購入時と車検のときに支払います。自動車検査証を交付される人または車両番号の指定を受ける人が納めます。年数が経つにつれ、税率が大きくなっていく仕組みです。
2.自動車税(自動車税種別割)
自動車税とは、車を所有することによってかかる税金です。正式には「自動車税種別割」といいます。自動車の種別だけでなく「営業用か自家用か」という用途、総排気量によって税率が変わります。自動車の総排気量が多くなるにつれて税率も高くなります。また、自動車税も自動車重量税と同様、一定年数が経過すると課税額が高くなります。
毎年4月1日時点で自動車の所有者として車検証に登録している人が毎年納めます。ただ、年の途中で購入した場合も納めなくてはなりません。購入した場合、所有者として登録した月の翌月から年度末である3月31日までの月数で納付します。
3.環境性能割(自動車税環境性能割)
環境性能割とは、自動車の燃費性能などに応じてかかる税金です。正式には「自動車税環境性能割」といいます。自動車による二酸化炭素の排出や公害、騒音などの社会的な負荷が高いほど税率が高く、負荷が低いほど税率が低くなる仕組みです。なお、基本的に、電気自動車(EV)を含め、環境性能が高いと認められた自動車は非課税となります。
自動車の取得時に取得価額の1〜3%を納めることとなります。ただし、取得価額が50万円以下の場合は、税金がかかりません。
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電気自動車(EV)にかかる税金は自動車税と自動車重量税の2つ
前述したように、環境性能が高いと認められている電気自動車(EV)は、自動車にかかる税金3つの中で、自動車税と自動車重量税のみがかかり、環境性能割はかかりません。また、自動車税と自動車重量税にも優遇税制があります。
なぜ電気自動車(EV)を購入する場合は税金が安くなる?
なぜ電気自動車(EV)は、普通自動車に比べて税金が安くなるのでしょうか。理由は次の2つです。
ガソリン車と比べ地球環境に配慮した車だから
ガソリン車は、ガソリンをエンジンで燃焼・圧縮させてタイヤを動かします。ガソリンが燃焼すると、同時に二酸化炭素が発生します。
一方、電気自動車(EV)は、バッテリーに蓄えられた電気でモーターを動かし、タイヤを駆動させるので、走っているときに二酸化炭素が発生しません。そのため、環境に配慮した車だとされています。このほか、モーター駆動はガソリンを燃焼させるよりも音が静かであるため、騒音問題の解決にもつながるとされています。
脱炭素社会を目指す政策
世界は今、脱炭素社会を目指す方向にあります。2015年に採択され、2016年に発行されたパリ協定では、2020年以降の温室効果ガス排出削減のための国際的な枠組みを定めました。各国に対し、温室効果ガス排出削減目標(NDC)を策定し、5年ごとに提出・報告するよう義務付けています。
日本も、このパリ協定に参加しており、2030年目標として「2030年までに二酸化炭素排出量を2013年度比で46%削減する」としています。さらに2020年10月には「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことも宣言しています。
二酸化炭素を排出せず、地球環境に配慮した電気自動車(EV)を税制面で優遇すれば、ガソリン車よりも電気自動車(EV)を購入する人が増え、結果、二酸化炭素の排出を減らせるであろうと見込んでいるのです。
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電気自動車(EV)の税制優遇は、
グリーン化特例とエコカー減税と環境性能割の3つ
電気自動車(EV)の税制優遇は、グリーン化特例とエコカー減税、そして前述した環境性能割の非課税もあります。いずれも時限的な措置とされています。
グリーン化特例
グリーン化特例とは、排出性能や燃費性能の高い自動車を購入した場合に適用される自動車税の軽減制度です。電気自動車(EV)のほか、プラグインハイブリッド車、天然ガス自動車、燃料電池車が対象とされています。
適用期間は2025年3月現在、2023年4月1日から2026年3月31日までとなっています。電気自動車(EV)を新車で購入し、新車登録をすると、翌年度分の自動車税がおよそ75%軽減されます。
このほか、ガソリン車だと新車登録から13年超となると自動車税が15%重課となります。つまり15%分、よけいに自動車税がかかるのです。しかし、電気自動車(EV)は、この重課の対象外となります。
エコカー減税
エコカー減税も排出性能や燃費性能の高い自動車を購入した場合に適用される税の軽減措置です。ただしこちらはグリーン化特例と異なり、自動車重量税が軽減の対象となります。
適用期間は2023年5月1日から2026年4月30日までとなっています。
電気自動車(EV)であれば、新車の新規登録時に限り、自動車重量税が免税となります。なお、本来、継続検査(車検)時ではたとえ電気自動車(EV)であっても本来の税率が適用されますが、新車の新規登録時に免税となった場合に限っては、初回継続検査(車検)時についても自動車重量税が免税となります。ただし、車検証の有効期間が満了する日から起算して15日を経過する日までに車検証の交付を受けた場合に限ります。
環境性能割は非課税
電気自動車(EV)の場合、環境性能割は非課税となります。
適用期間は2023年4月1日から2026年3月31日までです。
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自動車を30年間保有する場合の税金を試算
自動車を30歳から30年間保有した場合、電気自動車(EV)とガソリン車ではどれくらい税金が変わるのでしょうか。
2025年4月1日に、車両重量1,000kgの新車を自家用車として300万円で購入した場合を想定します。また、ガソリン車の場合は、総排気量3,000cc、令和12年度燃費基準を一切満たさない場合を想定し、比べてみましょう。(本記事の試算では、消費税は考慮せず、現行の法令の改正がないことを前提とします。)
電気自動車(EV)とガソリン車の30年間にかかる税金
下の表のように、電気自動車(EV)の場合は、それぞれの税金で優遇措置があり、一方、ガソリン車にはほぼ税制優遇がないため、電気自動車(EV)よりも約120万円ほど多くコストがかかる結果となりました。
よって、電気自動車(EV)の方がコストの1つである税金を抑えやすいと言えます。
電気自動車
| 1.自動車重量税 | 合計 130,000円 |
|---|---|
| 4年目(初回車検) | 6〜30年目(2年毎に10,000円×13回) |
| ¥0 | ¥130,000 |
| 2.自動車税(自動車種別割) | 合計 731,500円 |
| 購入時(1年目) | 2~30年目(毎年25,000円×29回) |
| ¥6,500 | ¥725,000 |
| 3.環境性能割(自動車税環境性能割) | 合計 0円 |
| 1年目〜30年目まで | ¥0 |
| 総計 861,500円 |
- 新車登録時は非課税 初回車検時は非課税※13年超と18年超の重課措置はなし
- 新車登録は約75%軽減(翌年度以降課税)※一定期間を過ぎても重課措置はなし
- 非課税
ガソリン車
| 1.自動車重量税 | 合計 326,200円 | ||
|---|---|---|---|
| 購入時(1年目) | 4~12年目 (2年毎に16,400円×5回) |
14~18年目 (2年毎に22,800円×3回) |
20~30年目 (2年毎に25,200円×6回) |
| ¥24,600 | ¥82,000 | ¥68,400 | ¥151,200 |
| 2.自動車税(自動車種別割) | 合計 1,627,500円 | ||
| 購入時(1年目) | 2~13年目 (毎年50,000円×12回) |
14~30年目 (毎年57,000円×17回) |
|
| ¥50,000 | ¥600,000 | ¥977,500 | |
| 3.環境性能割(自動車税環境性能割) | 合計 90,000円 | ||
| 購入時(1年目) | ¥90,000 | ||
| 総計 1,953,700円 | |||
- 新車登録時、初回車検から課税※13年/18年超の時期に課税額が重くなる
- 総排気量により税額が決まり、排気量が多ければ多いほど税金が高い※13年超になるとおよそ15%の重課となる
- 燃費基準をある程度満たしていれば軽減税率が適用される可能性がある※排出ガス基準に一切該当しない車種の場合、自家用車に適用される税率として最も高い3%が適用
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電気自動車(EV)の補助金制度を紹介
電気自動車(EV)は、地球環境に配慮したエネルギーコストの低い自動車ですが、製造コストが高いため、ガソリン車を買う場合に比べて購入時の価格が高いのが難点です。
そこで、国といくつかの地方自治体では「誰もが買いやすいように」と、電気自動車(EV)など環境性能のよい車を購入する人に向け、次のような補助金制度を設けています。
CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)
CEV補助金とは、クリーンエネルギーの自動車を購入した場合に国から交付される補助金です。正式名称は「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」といいます。電気自動車(EV)も補助金の対象となりますが、中古車と事業用車は対象外となります。
電気自動車(EV)の補助額の上限は85万円となっています。ただし、メーカー希望小売価格(税抜)が840万円以上の電気自動車(EV)については「算定された補助額×価格係数0.8」となります。
令和6年度分(2024年度分)については2025年2月13日到着分で締め切りとなりました。令和7年度分(2025年度分)は、2025年4月1日以降の新規登録分が対象となります。
東京都を例に補助金制度を紹介
地方自治体でも電気自動車(EV)の購入に向けた補助金制度があります。例えば東京都では、ZEV導入促進税制があります。これは、初回登録あるいは初回検査された電気自動車(EV)などのZEB(ゼロエミッションビーグル)について、購入額を補助するというものです。ただし、補助額は給電機能の有無で変わります。また、上乗せの補助金がありますが、こちらは自動車メーカーによって金額が変わります。
地方自治体ごとに補助金制度は異なるのでこちらからご確認ください。
自治体の支援制度検索
このように、税制優遇や補助金制度を検討していくと、ガソリン車よりも電気自動車(EV)を購入した方がコストを抑えることができそうです。一方で電気自動車(EV)に乗り換える際に不安になってくるのが、電気自動車(EV)を充電する際の電気代です。
電気自動車(EV)を充電する際には、自宅で充電できる設備を備えることで、電気代を抑えることが可能となります。
電気自動車(EV)の充電にかかる電気代をガソリン代と比較して解説記事はこちら
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電気自動車(EV)を自宅で賢く充電するなら、
パナソニックのおうちEV充電サービス
パナソニックでは、おうち充電をより活用しやすく、賢く節電できるよう、「おうちEV充電サービス」アプリをご用意しています。
アプリで電力シミュレーションを行い、最適な電力プランを選べる
電気料金プランの変更時のコストシミュレーションが、アプリを使って簡単にできます。現状の電気料金や生活スタイル、電気自動車(EV)の充電にかかった電力量を入力するだけで、推奨プランが提示されます。 削減可能な電気代を確認でき、電気自動車(EV)向けの電気料金プランを含む最適なプランが提案されるため、賢く節電できます。
アプリ上で最適なプランを提案してくれるので、電気料金プランチェンジとオフピーク充電で電気代を削減すれば、コストを抑えながら電気自動車(EV)を利用できます。
電気自動車(EV)の充電スタンドがマップで探せる
電気自動車(EV)の充電スタンド検索機能で、アプリで手軽に探せます。「電気自動車(EV)で遠出するときは充電残量が心配」という悩みにお応えし、電気自動車(EV)の充電スタンドを経由して目的地に向かうルートを検索・表示します。
日常利用でポイントが貯まる
アプリのログインやミッション達成でポイントが貯まり、貯まったポイントはオンラインショッピングやQR決済に交換できます。電気自動車(EV)ライフをより便利で快適にする機能が充実しています。
<参考> +
監修者
税理士・日本経済大学非常勤講師鈴木 まゆ子(SUZUKI MAYUKO)
税理士として活躍する傍ら、税務ライターとして税務記事の執筆に従事。
朝日新聞『相続会議』、マイナビ税理士、ソリマチ「みんなの経営応援通信」など税務の記事を800超執筆。著書に「誰でも簡単インボイス制度がわかる本(MSムック)」などがある。
大学の講師としても授業を担当し、税制優遇制度や課税額について、最新の情報を常にキャッチアップ。仕組みが複雑で理解しにくい税制や課税額を消費者にわかりやすく解説する。
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