自宅EV充電設備、3タイプの違いと選び方
目次
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を購入したら、まず考えたいのが「自宅でどうやって充電するか」です。「家にあるコンセントで充電できるの?」「どんな充電設備を取り付ければいい?」「設置工事には何が必要?」このような疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、電気自動車(EV)のおうち充電の基本から、コンセント型・スタンド型・V2Hの違い、充電設備の選び方、設置工事の流れまで、初めて電気自動車(EV)を購入する方にもわかりやすく解説します。マンションなどの集合住宅でおうち充電する場合についても紹介します。
電気自動車(EV)の
おうち充電方法の基本|
「家のコンセント」で
充電できる?
電気自動車(EV)は、家庭にある一般的なコンセントでも充電できます。ただし、自宅で安全かつ効率よく充電するなら、電気自動車(EV)専用の充電設備を設置することがおすすめです。
一般家庭で使われている100V・15Aのコンセントは、出力が0.6~1.2kW程度です。そのため、大容量のバッテリーを搭載した近年の電気自動車(EV)では、充電に長い時間がかかります。
一方、電気自動車(EV)用の200V充電設備なら、出力は3~6kW程度。夜間に充電を始めて、朝までに満充電するといった使い方がしやすくなります。
100Vと200Vの違い|電気自動車(EV)は200V充電が実用上の必須条件
100Vと200Vでは、充電できる速さが大きく異なります。100Vコンセントは、出力が0.6~1.2kW程度と小さいため、バッテリー容量が30kWhの電気自動車(EV)の場合、10時間充電しても十分に充電できないことがあります。
200Vの電気自動車(EV)専用コンセントなら、出力は約3~6kWです。バッテリー容量30kWhの電気自動車(EV)であれば、条件によって異なりますが、約10時間で満充電にできる目安となります。
電気自動車(EV)のバッテリーは大容量化しているため、自宅で毎日充電するなら、100Vよりも200Vの充電設備が使いやすいでしょう。
※充電時間は、車種のバッテリー容量や電費、充電設備などによって変わります。
「既存のコンセントを流用する」のは危険|専用設備が必要な理由
家庭用の一般的なコンセントを電気自動車(EV)の充電に使うと、長時間にわたって大きな電流が流れることで、コンセントや配線が熱くなったり、漏電・火災につながったりするおそれがあります。電気自動車(EV)専用の充電コンセントは、電気自動車(EV)の充電に適した電流容量や防水性、安全性を考えて作られています。
また、電気自動車(EV)の充電設備を設置する工事には、電気工事士などの資格が必要です。安全面や法律上の理由から、自分でDIY工事をするのではなく、資格を持った専門業者に依頼しましょう。
電気自動車(EV)の
おうち充電設備
自宅で電気自動車(EV)を充電するには、具体的にどのような設備が必要で、どのような種類があるのでしょうか。まずは、おうち充電設備の基本情報から紹介します。
おうち充電に必要な基本設備
おうち充電の基本設備には充電器のほか、充電設備専用のブレーカー、および充電器と電気自動車(EV)を接続するための配線ケーブルがあります。充電設備の導入は施工会社に依頼すると、必要なものを用意してくれることがほとんどです。
おうち充電設備は屋外に設置されるため、充電器を屋内にあるブレーカーと接続するには、配線の取り回しやそれを整備した敷設などの工夫が必要です。また、充電設備によってはコンクリートの基礎ブロックをつくる場合もあります。
そのため、設置場所や工事内容については、施工会社と十分に認識を合わせることが大事です。
電気自動車(EV)のおうち充電設備には3タイプある
電気自動車(EV)のおうち充電設備には、大きく3つのタイプがあります。コンセントタイプ、スタンドタイプ、V2Hの3タイプです。それぞれ形状をはじめ、充電スピードや出力などの特長が異なります。
1. コンセントタイプ
1つ目は、コンセントタイプのおうち充電設備です。多くの場合、駐車場に面した自宅の外壁に直接取り付けて設置されます。コンセントタイプはボックス形状が一般的で、その中にコンセントの差し込み口があります。ほかにも、ポール状のコンセントタイプの充電設備もあります。
電気自動車(EV)に充電する場合は、充電用ケーブルをコンセントタイプの充電ポートに接続して使用します。コンセントタイプは普通充電のため、出力が3.0kWの場合が多く、急速充電に比べると出力が低いので充電に時間がかかります。
ただし、充電設備に必要な機器費用や工事費用が安く、手軽に導入できるというメリットがあります。そのため、最近は新築時にあらかじめ設置されていることも多く見られます。またコンセントタイプでなく、電源ケーブルが搭載されている充電設備は壁に取り付けられる6.0kW出力のものもあります。
2. スタンドタイプ
スタンドタイプは、地面に自立させて設置するタイプのおうち充電設備です。充電ケーブルはスタンド本体に備え付けられているため、自宅の景観を崩すこともありません。
スタンドタイプはコンセントタイプのように外壁に取り付けないので、設置場所をある程度柔軟に選ぶことが可能です。そのため、駐車場が自宅の外壁から離れている場合におすすめです。
スタンドタイプはコンセントタイプと同じように普通充電ですが、機器費用や工事費用が高く、施工も時間を要する傾向にあります。ただ、スタンドタイプには出力が3.0kW以外にも6.0kWのタイプがあります。
3. V2H
コンセントタイプやスタンドタイプと異なった特長を持つのが、V2Hです。V2Hは「Vehicle to Home」の略称で、電気自動車(EV)の電気を自宅でも使えるようにするためのおうち充電設備です。「自宅から電気自動車(EV)への充電」と「電気自動車(EV)から自宅への放電」と、双方向での電気のやりとりが可能になります。
V2Hの出力は6.0kWが標準なので、コンセントタイプやスタンドタイプに比べると充電時間が短縮されます。また、V2Hは電気自動車(EV)のバッテリーを住宅用の蓄電池として利用できるのも、メリットの1つです。
例えば、電力プランによっては深夜帯の安価な電気を電気自動車(EV)に充電しておき、昼間に自宅で使うことで電気代の節約にもつながります。さらに、おうち充電設備としてV2Hがあれば、災害による停電など非常時にも電気を使用することが可能になります。
V2Hは高機能な分、機器費用や設置費用もかかりますが、国や自治体が補助金を用意しているため、購入を検討する場合は事前に情報収集することをおすすめします。
普通充電と急速充電の違い
電気自動車(EV)の充電方法には、普通充電と急速充電の2種類があります。それぞれ充電スピードが異なり、急速充電の方が満充電までの充電時間が短いのが特長です。急速充電は出力に幅があるため、充電スピードは機種によって変わります。
ただし、急速充電は機器費用や設置費用が高額になるため、自宅に導入される場合はほとんどありません。そのため、高速道路のサービスエリアや公共施設、カーディーラーなどが主な設置場所になっています。
電気自動車(EV)の詳細はこちらから
コンセント型が向いている人・向いていない人
コンセント型は、電気自動車(EV)のおうち充電設備の中でも比較的シンプルで、設置費用を抑えやすいタイプです。PHEVや軽EVなど、バッテリー容量が小さい車を使っている方に向いています。
一方、充電するたびに車載充電ケーブルを取り出して接続する必要があります。また、スマートフォンから充電を操作する機能などは、標準では付いていない場合があるのです。ただし、後付けのスマートEV充電コントローラーを組み合わせれば、タイマー充電やスマートフォンからの操作、電気代の確認などの機能を追加できる場合があります。
スタンド型・V2Hが向いている人・向いている環境
スタンド型は、駐車場と建物が離れているなど、壁に充電設備を取り付けにくい場合に向いています。デザイン性を重視したい方にもおすすめです。6kWの高出力タイプなら、3kWタイプよりも短い時間で充電しやすいため、バッテリー容量が40kWh以上の大きな電気自動車(EV)を使っている家庭にも適しています。
V2Hは、電気自動車(EV)にためた電気を家でも使える設備です。停電したときの非常用電源として使えるほか、太陽光発電と組み合わせて、発電した電気をより有効に使用できます。ただし、コンセント型やスタンド型と比べて導入費用が高くなりやすいため、必要な機能や予算を考えて選ぶことが大切です。
集合住宅も電気自動車充電設備の環境整備が進められている
電気自動車(EV)のおうち充電といえば、戸建てをイメージする方も多いですが、現在は集合住宅にも電気自動車充電設備の整備が進められています。
経済産業省によると、国が「公共用の急速充電器3万口を含む充電インフラ30万口の整備を目指す」方針を打ち出しています。その中で、「集合住宅や月極駐車場など(基礎充電)として10~20万口とし、集合住宅におけるEV・PHEVユーザーの基礎充電充足率(集合住宅に住むEV・PHEVユーザーのうち充電を住宅内で可能なユーザーの割合)10%以上を目指す」としています。
電気自動車(EV)の
充電設備の設置工事|
流れと注意点
EV充電設備の設置には、電気工事士による専門的な工事が必要です。DIYでの設置はできません。電気自動車(EV)が納車されてから「充電設備がまだ使えない」ということにならないよう、電気自動車(EV)の購入・注文と同時に充電設備の工事についても相談しておくと安心です。
設置工事の標準的な流れ
電気自動車(EV)のおうち充電設備を設置する工事は、一般的に次の3つのステップで進みます。
①施工会社を選ぶ
まずは、EV充電設備の工事経験が豊富な業者を探します。電気自動車(EV)の充電設備は、住宅の分電盤や駐車場の位置などによって工事内容が変わるため、施工実績を確認して業者を選ぶことが大切です。
②現地調査を受ける
業者が自宅を確認し、分電盤の状態や駐車場までの距離、壁の材質などを調べます。この調査をもとに、必要な工事内容や費用が決まります。
③充電設備を設置する
主な工事は、次の3つです。
- 専用ブレーカーの設置
- 充電設備までの配線
- 充電コンセントやスタンドなどの設置
工事は内容によって異なりますが、一般的には半日程度で完了します。
失敗しない業者選びのポイント
EV充電設備の工事業者を選ぶときは、次の3点を確認しましょう。
①EV充電設備の施工実績を確認する
EV充電設備の工事を数多く行っている業者か確認しましょう。
②工事内容がわかる見積もりを取る
現地調査をしてもらい、配線の長さや壁の穴あけ工事など、必要な工事が見積もりに含まれているか確認しましょう。「料金が安い」と思っても、追加工事によって費用が高くなる場合があるため注意が必要です。
③補助金やアフターサポートを確認する
補助金の申請をサポートしてくれるか、設置後のメンテナンスにも対応しているかを確認しておくと安心です。
電気自動車(EV)は
お得な時間帯に充電すると
電気代が抑えられる
電気代が安くなる時間帯をねらって充電すれば、充電分の電気代を抑えることは可能です。近年は、多くの電力会社が深夜帯の電気代を安く設定しているプランを準備しており、そのようなプランを選んでいる方には、電気自動車(EV)の充電は夜間充電がおすすめです。
例えば、東京電力エナジーパートナーの「夜トク8のプラン」(2024年9月時点)では、日中の電気代が42.6円/kWhに対し、夜間の電気代は31.64円と10円以上の差があります。この時間帯による値差を利用して夜間に電気自動車(EV)を充電することで、電気代を節約することができます。
また、電気自動車(EV)をふだん使いする場合は、通勤や送迎、買い物などが主な理由に挙げられるため、夜間の電気を利用することに支障はありません。ただし、すべての電力プランが夜間の方が昼間よりも安いわけではありません。電力プランを選ぶ場合は、昼間と夜間にどの程度電気を使用しているかの状況によるため、電気の使い方を考慮しながら最適な電力プランを検討しましょう。
電気自動車(EV)の
おうち充電によるメリット
電気自動車(EV)をおうち充電するメリットは、次の4つがあります。理由は経済性や利便性などさまざまな側面から考えられます。それぞれのメリットについて説明します。
充電スタンドに行かず、自由に充電できる
1つ目のメリットは、いつでも好きなタイミングで自由に充電ができることです。おうち充電設備が整っていれば、電気自動車(EV)を使わない時間にケーブルを接続しておくだけでいつでも充電可能です。毎日充電できるので、電気切れの心配がありません。また、充電スタンドの営業時間を気にする必要がなく、行く手間もありません。
ガソリン代と比べて維持費が抑えられる
電気自動車(EV)の電気代とガソリン車の燃料代を比較すると、一般的には電気代の方が安いため、維持費が抑えられるのもメリットの1つです。例えば、2024年3月に発表された国土交通省の「2023年度乗用車市場動向調査 報告書」によると「ガソリン車のJC08モード平均燃費(2022年度)」は24.3km/Lです。100km走行するためには「100km÷24.3km/L=約4.1L」のガソリンを消費することになります。
レギュラーガソリンの全国平均は174.5円/L(2024年9月11日時点)なので、ガソリン車は「174.5円/L×約4.1L=715.45円」で100kmほど走行できる計算になります。
ガソリン車100km走行にかかるガソリン代=715.45円
電気自動車(EV)の電費については、本記事では7km/kWhを想定しており、電気代(kWhあたりの単価)の想定31円/kWhと仮定して100km走行するための計算式を立てると、次のような計算「100km÷7km/kWh×31円/kWh=442.85…円」になります。
電気自動車(EV)100km走行にかかる電気代=442.85…円
それぞれ100km走行した場合のコストを比べるとガソリン代は約715円、電気代は約442円かかり、電気自動車の方が約310円安い計算になります。このことから、電気自動車の方が維持費を抑えられることがわかります。
電気自動車(EV)の電気代の詳細はこちらから
充電時間などを工夫して電気代を節約できる
充電時間を工夫することで電気代を節約できる点も、おうち充電のメリットです。「電気自動車(EV)は夜間充電だと電気代が抑えられる」でも前述したとおり、電力プランによってはおうち充電ができれば安価な夜間の電気を利用して電気代を節約できます。日中の充電時間を減らすだけでも、電気代を抑えることが可能です。
また、V2Hを導入していれば、電気自動車(EV)の電気を自宅でも使えるので、工夫次第で自宅全体の電気代を節約することもできます。なぜなら安価な夜間の電気で電気自動車(EV)に電気を充電しておいて、電気代の高い日中にその電気を利用すれば節約につながるからです。
補助金を利用して初期費用を抑えられる
おうち充電のメリットの1つとして、補助金を利用して初期費用を抑えて導入できる点が挙げられます。おうち充電設備で利用できる補助金は、国の補助金と自治体の補助金の2種類があります。申請する補助金にもよりますが、数万円から数十万円ほどです。
ただし、電気自動車関連の補助金は申込期間中であっても予算上限に達すると、早期終了してしまう場合があります。そのため、おうち充電設備の導入を検討する段階で、事前に申請したい補助金をピックアップしておきましょう。
電気自動車(EV)の補助金の詳細はこちらから
おうち充電をするなら「おうちEV充電サービス」が便利です。「おうちEV充電サービス」は電力シミュレーションによって最適な電力プランを選べるほか、充電設備や充電費用など電気自動車(EV)に関する基本情報もチェックできます。
電気自動車(EV)の
充電方法に関する
よくある質問(FAQ)
電気自動車(EV)のおうち充電を検討するとき、「家のコンセントで充電できる?」「マンションでも設置できる?」「どの充電設備を選べばいい?」など、さまざまな疑問が出てくるでしょう。ここでは、電気自動車(EV)のおうち充電について、よくある質問をわかりやすく解説します。
- Q01家のコンセントで電気自動車(EV)を充電できますか?
-
Q01
家庭用の一般的な100V・15Aコンセントでも電気自動車(EV)を充電できます。ただし、出力が0.6~1.2kW程度と小さいため、大容量バッテリーを搭載した近年の電気自動車(EV)では、充電に時間がかかるでしょう。
200VのEV専用充電コンセントなら、より短い時間で充電できます。夜間に充電して朝に出かけるなど、毎日の充電にも使いやすいでしょう。安全かつ快適に電気自動車(EV)を充電するためにも、電気自動車(EV)を購入するときは200Vの専用充電設備の設置を検討することをおすすめします。
- Q02マンションでもおうち充電できますか?
-
Q02
マンションなどの集合住宅でも、条件が整えば電気自動車(EV)の充電設備を設置できます。ただし、共用部分の工事が必要になる場合などは、管理組合や大家への確認・承認が必要になるため、戸建て住宅よりも設置のハードルが高くなるでしょう。
充電設備がまだ設置されていないマンションに住んでいる場合は、近くの公共充電スタンドを利用しながら、管理組合にEV充電設備の導入を提案する方法もあります。
- Q03コンセント型とスタンド型、どちらを選べばいいですか?
-
Q03
どちらが適しているかは、電気自動車(EV)の種類や走行距離、駐車場の環境によって変わります。PHEVや軽EVを使っていて、1日の走行距離が少ない方(30km未満程度)なら、設置費用を抑えやすいコンセント型でも対応しやすいでしょう。
一方、バッテリー容量40kWh以上の電気自動車(EV)を使っている方や、1日の走行距離が60km以上と多い方は、6kW対応のスタンド型を選ぶことで充電時間を短縮しやすくなります。将来、大容量バッテリーを搭載した電気自動車(EV)への買い替えを考えている場合は、最初から6kW対応の充電設備を選ぶ方法もあります。
まとめ:
電気自動車(EV)の
おうち充電は設備選びが重要|
自分に合った
充電方法を選ぼう
電気自動車(EV)のおうち充電は、充電スタンドまで出かけなくても、自宅で手軽に充電できる便利な方法です。自宅用のEV充電設備には、コンセント型・スタンド型・V2Hなどがあります。それぞれ特長が異なるため、電気自動車(EV)の種類や1日の走行距離、駐車場の環境、予算などを考えて選ぶことが大切です。
これから電気自動車(EV)を購入する方は、車だけでなく「自宅でどう充電するか」まで考えておくと、購入後も快適に電気自動車(EV)を使いやすくなります。自分の暮らしに合った充電設備を選んで、便利で快適なEVライフを始めましょう。
「おうちEV充電サービス」では、電気自動車(EV)の充電設備や電気料金プランについてわかりやすく紹介しています。



