2025年9月公開

EV購入チェックリスト PHEVの実態はBEVだよ EV購入チェックリスト PHEVの実態はBEVだよ
本記事の概要

環境意識の高まりとともに、電気自動車(EV)への注目は日々高まっており、EV購入を検討する方が増えています。しかし、充電設備や補助金制度、バッテリーの種類など、ガソリン車とは異なる多くの検討事項に戸惑う方も少なくありません。本コラムでは、自動車メディアの編集長である三浦氏を専門家としてお招きし、EV購入における疑問や不安を解消するための「EV購入チェックリスト」を対話形式で徹底解説します。後悔しない賢い電気自動車選びのヒントがここにあります。

三浦 和也

EVの専門家
三浦 和也

株式会社イード
レスポンス編集長

小澤 瞳

おうちEVチャンネル MC
小澤 瞳

静岡県出身のフリーアナウンサー。

神谷 崇

おうちEVチャンネル編集長
神谷 崇

パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社
新規ソリューションセンター

EV購入前にしっておきたい
所有形態と充電環境

  • 小澤(MC)今回のおうちチャンネルでは、株式会社イードで自動車メディア「レスポンス」の編集長を務める三浦さんにお越しいただき、三浦さんが考えるEV購入チェックリストについてお話を伺います。EVはガソリン車と比べて充電設備の導入や補助金制度など、検討すべき点が多くあります。今回は「EV購入チェックリスト」と題して、詳しくお聞きしていきます。

EVは1台目?2台目?
所有台数による選び方

  • 小澤早速ですが、EVを所有する際は1台所有するべきか、それとも複数持つべきか、三浦さんの考えをお聞かせください。
  • 三浦ご家庭に2台の車がある場合、どちらかをEVまたはプラグインハイブリッド(PHEV)にするかが悩みどころです。個人的には、近距離用の車をEVにすることで利便性が高まると考えています。長距離をEVで賄おうとすると、大容量バッテリーを搭載した高額な車が必要になるため、2台所有しているご家庭では抵抗があるかもしれません。買い物や送り迎えなど、近距離の移動にEVを選ぶのが賢い選択です。
  • 神谷なるほど、セカンドカーをEVかPHEVにするという考え方ですね。
  • 三浦1台しか車を持たないご家庭には、PHEVをおすすめします。1台でEVとガソリン車の両方のメリットを享受できるからです。ハイブリッド機能で長距離走行も可能ですし、自宅充電を活用すれば、日常使いではEVとして利用できます。ガソリンスタンドに行くのは数ヶ月に一度という生活も可能です。私の妻も、自宅で充電しているため、自分の車をEVだと思い込んでEVモードでしか走らないというエピソードがあります。

自宅充電は必須?戸建てとマンション、それぞれのEV充電事情

  • 小澤EVを所有するなら戸建てかマンションかについて教えてください。
  • 三浦以前の私ならば、自宅充電ができない集合住宅にお住まいの方にはEVをお勧めできないと考えていました。なぜなら、自宅充電をしないとEVの良さが100%発揮できないからです。しかし、現在は集合住宅でもうまくやれば大丈夫、という状況になっています。
  • 神谷マンションでEVを購入されている方は、外部充電で賄っているのでしょうか。
  • 三浦そうですね。アンケート結果を見ると、自宅で充電できなくてもEVの購入に満足している方が非常に多いことが分かります。現在EVを購入されている方の多くは、集合住宅でもEVが購入可能であることをしっかり調べ、納得した上で選ばれています。彼らは充電スタンドで充電するたびに「EVを買ってよかった」と感じているようです。ガソリンスタンドでの給油と比べて料金が非常に安いため、毎回その満足感を得られるのだと伺っています。
  • 神谷ガソリン代との比較で満足度を感じるのは大きいですね。
  • 三浦そのため、戸建てにお住まいで自宅充電が可能な環境にある方は、特に200Vの電力が使える住宅であれば、自宅充電の導入を検討すべきです。車両価格が安くなる可能性もありますし、充電設備には補助金が適用されるなど、さまざまな優遇措置が用意されています。マンションの場合でも、充電設備を備えた新築物件が増えており、既存のスーパーやショッピングモールの充電スポットを活用することで、非常に高い満足度が得られています。

最適なEVを見つける!
バッテリータイプと走行距離

  • 小澤次のチェックリストです。バッテリーEV(BEV)かプラグインハイブリッド(PHEV)か、どちらを買うべきかについては三浦さんいかがでしょうか。
  • 三浦あまり複雑なことを考えたくない方や、専門的な知識はないけれど良い選択をしたいという方には、プラグインハイブリッド(PHEV)を選んでおけば間違いないと断言できます。PHEVは実質的にはEVであると私は考えています。たとえば、現在のプリウスPHEVはEVモードで約80kmの走行が可能です。多くの方の通勤・通学、買い物、送り迎えなどはこの範囲に収まるため、日常的にはEVとして運転できます。長距離の旅行時のみハイブリッドモードに切り替えることができるのです。補助金を活用すれば、ガソリン車や通常のハイブリッド車と同等、あるいはそれ以下の価格で購入できる場合もあり、価格面でのデメリットも少ないといえます。
プラグインハイブリッド(PHEV)
  • 神谷なるほど、名前はプラグインハイブリッドですが、実質EVとして使えるということですね。
  • 三浦一方で、バッテリーEV(BEV)を選ぶ方には、車選びの楽しさやブランド選びの楽しさを重視される方が多い傾向があります。世界中からさまざまなEVが登場しており、日本車にも多くのEVがラインアップされています。ドライブの際に旅行計画を立てるのが好きな方、たとえば「ここで充電しながら、ここのアイスを食べて」といった楽しみ方をされる方には、BEVが非常に魅力的でしょう。そうした楽しみ方が難しい方には、無難にプラグインハイブリッドを選ぶのが良いと考えます。

バッテリー容量と航続距離の賢い選び方

  • 小澤バッテリー容量や航続距離によって、どんなEVを選べばいいのでしょうか。
  • 三浦バッテリー容量や航続距離など、さまざまなスペックで悩まれると考えます。自分の車が最もよく使う少し長めの距離、例えば通勤・通学で何十キロ走るかが決まっている方は、それを軸に選ぶのが良いでしょう。私の経験上、EVに乗っていると、バッテリーが半分を過ぎたあたりから充電のことを考え始めます。スマートフォンもバッテリーが50%を切ると、どこで充電しようかと考えるのと同じ感覚です。バッテリー残量が半分になっても、自分の行動範囲の長めの距離が賄えるように選ぶのが目安になります。
    また、何年くらい乗りたいかという点も重要です。スマートフォンと同様に、EVのバッテリーも少しずつ航続距離が短くなっていきます。自動車メーカーによって異なりますが、一般的には「5年で8割保証」というケースが多いです。つまり、5年経つと2割ほど航続距離が減ることを覚悟しておく必要があります。この「半分になると充電を考え始める」という感覚と「5年で2割減る」という事実を組み合わせて考えることが、賢いEV購入のポイントです。

EV購入の強い味方!
補助金と保険の賢い活用法。
見逃せないEV補助金の
確認方法と申請のコツ

  • 小澤続いてのチェックリストですが、EV購入時の補助金はどのように確認すればよいのでしょうか。まだ分からないという方も多いと考えます。
  • 三浦最近は、AIで検索すると、補助金をまとめてリストアップしてくれます。例えば、「東京都でEVを買おうと思う。どのような補助金があるかリストアップしてください」と入力すると、関連サイトのリンクも表示されます。AI検索は非常に便利だと考えます。
  • 神谷心強いですね。車を購入する際、ディーラーで買うことが多いと思いますが、ディーラーの補助金に関する情報提供はどうなのでしょうか。
  • 三浦ディーラーは非常に勉強されていますので、どの書類をどう書けばよいかをすべて手伝ってくださいます。それは間違いありません。
  • 神谷プラグインハイブリッドも補助金が手厚い地域があるという話もありましたね。
  • 三浦例えば、私の住む地域では、ハイブリッドよりもプラグインハイブリッドを購入した方が安くなるという逆転現象が起きることもあります。ですので、補助金は必ず検討の土台に加えるべきです。アメリカではEV補助金を廃止する動きがあり、中国やヨーロッパでは補助金が減少していますが、日本では比較的手厚く残っています。他国の補助金が終了していることを考えると、今がEV購入のチャンスかもしれません。

EV時代の新常識!
駆けつけ充電サービスと
保険の見直し

  • 小澤ここからは、事前にユーザー様から寄せられた質問を三浦さんに伺っていきたいと考えます。1つ目の質問です。「電気がなくなってしまうことが怖いです。それに対する備えは?」というご質問です。
  • 三浦保険会社が「駆けつけ充電サービス」という特約を付けてくれるケースがあります。無料の付帯特約であることもありますので、そのような保険会社を探して契約するのが良いでしょう。こうしたサービスがあることを知っているだけでも、非常に安心できますね。
  • 神谷それは嬉しいサービスですね。EV購入の際は、電気料金プランの変更だけでなく、保険の見直しもポイントになるということですね。
  • 三浦その通りです。おうちEV充電サービスで紹介している保険会社もありますので、ぜひ一度保険の見直しもご検討いただければと思います。
  • 神谷パナソニックが提供するおうちEV充電サービスは、家庭のEV充電の電気代を節約し、充電スポット検索やポイント機能も備えており、EVライフをフルサポートしてくれます。IoT-EVコンセントがあれば、スマホアプリで充電スケジュールを自動化し、割安な時間帯に充電設定ができるので電気代もお得になります。

まとめ

  • EV購入は、充電設備や補助金など検討事項が多く、賢い選択が求められます。特に、自宅充電の有無はEVの利便性を最大限に引き出す鍵であり、多くの方にとってプラグインハイブリッド(PHEV)が、ガソリン車とEVの利点を兼ね備えた最適な選択肢となり得ます。EV補助金は自治体の情報やディーラーで最新情報を確認し、上手に活用しましょう。バッテリー容量と劣化を考慮した選び方、保険の見直しや駆けつけ充電サービスの活用も安心のEVライフには不可欠です。
三浦 和也

EVの専門家
三浦 和也
株式会社イード
レスポンス編集長

"クルマの進化”をテーマに情報を届ける総合自動車メディア「レスポンス」の編集長。近年では消費者向けの情報提供に加えて、自動車業界向けのビジネス情報サブスク「レスポンスプレミアム」にも力を入れている。2000年からはiモードで燃費情報を持ち寄る読者むけサービス「e燃費」も開始。いまはスマホ版となり電費計測にも対応済み。

小澤 瞳

おうちEVチャンネル MC 小澤 瞳
静岡県出身のフリーアナウンサー。

every.しずおかのキャスターなどを経て、おうちEVチャンネルのMCに就任。
趣味:ドライブ / 読書 / クラシック鑑賞 / 1人ディズニー
資格:普通自動車免許 / 茶道表千家習事

神谷 崇

おうちEVチャンネル編集長
神谷 崇
パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社 新規ソリューションセンター

パナソニック株式会社にて、国内外のマーケティングコミュニケーション企画・制作の経験を経て、新規事業部門を兼務。

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