電気自動車(EV)時代の電気代削減術:電力会社・新電力を賢く選ぶ方法を電力会社のシン・エナジー担当者が解説します
2025年11月公開
目次
- 本記事の概要
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「EVを買ってから電気代が上がった気がする」「家庭充電でどのくらい電気代がかかるの?」そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。電気自動車(EV)の普及が進むなかで、多くのユーザーが関心を寄せているのが「電気代の最適化」です。
家庭での充電が主流になりつつある今、電気料金を見直すことで年間数万円もの電気代削減が可能になります。
本記事では、電力会社のシン・エナジー株式会社が提供するEVユーザー向け料金プラン「EV生活フィットプラン」を中心に、電気料金の仕組みやお得な選び方、賢い節約術をわかりやすく解説します。
電気料金の基本構造を
理解しよう
電気代の節約を考えるなら、まずは「何にいくら払っているのか」を正確に把握することがスタートです。毎月届く電気料金明細には、節約のヒントが隠されています。しかし、小さな文字で項目が並んでいるため、「合計額しか見ていない」という方も多いのではないでしょうか。ここでは、明細書の基本的な見方と、チェックすべきポイントを解説します。
電気料金の基本構成:「基本料金」と「従量料金」とは?
電気料金は、大きく分けて「基本料金」と「従量料金」の2つで構成されています。
- ・基本料金(または最低料金) 契約している電力会社やプラン、契約容量(アンペア数など)によって決まる固定費です。電気を全く使わなかったとしても、契約している限り発生する料金です。
- ・従量料金 実際に使用した電力量(kWh:キロワットアワー)に応じて支払う料金です。電気を使えば使うほど、この料金が増えていきます。EVの充電で増えるのは、主にこの部分です。
毎月変動する「従量料金」の内訳
明細書で「従量料金」の内訳を見ると、さらにいくつかの項目に分かれています。
- 1.電力量料金 これが電気使用量に応じて計算される本体価格です。後述する「3段階制料金」や「時間帯別料金」など、プランによってここの単価(1kWhあたりの価格)が変わります。
- 2.電源調達調整費(または燃料費調整額) 電力会社が電気を調達(仕入れ)するコストは、市場価格や燃料価格によって常に変動しています。その変動分を電気料金に反映・調整するための費用です。 シン・エナジーのような新電力では「電源調達調整費」、東京電力などの大手電力会社では「燃料費調整額」という名称が使われることが多く、基本的には同じ役割の費用です。調達コストによってはマイナス(割引)されることもあります。
- 3.再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金) 太陽光や風力などの再生可能エネルギーを普及させるため、国が定めた制度に基づき、電気を使用するすべての方が負担する料金です。この単価は全国一律で決まっています。
節約できる項目はどこ?
これらの項目のうち、「再エネ賦課金」は個人で節約するのが困難です。しかし、「電力量料金」の部分は、2つのアプローチで節約が可能です。
- 1.電気の使用量を減らす(節電する)
- 2.電力量料金の単価が安い電気料金プランに見直す
EVの導入で電気使用量自体が増えるのは避けられないため、EVユーザーにとって特に重要なのが2つ目の「プラン見直し」なのです。
あなたの契約はどっち?「アンペア契約」と「kVA契約」の違い
電気料金プランを見直す上で、まず知っておきたいのがご家庭の「契約容量」です。これには主に「アンペア(A)契約」と「kVA(キロボルトアンペア)契約」の2種類があり、どちらの契約になっているかで選べるプランが変わることがあります。
契約容量の大きさで決まる
- ・アンペア(A)契約:一般家庭で最も多い契約形態です。10A~60Aの範囲で設定されます。60Aは、kVAに換算すると「6kVA」に相当します。
- ・kVA(キロボルトアンペア)契約:アンペア契約の60A(6kVA)を超える容量が必要な場合に適用されます。例えば、二世帯住宅や、多くの大型電化製品を同時に使用するご家庭、そして高出力のEV充電器を設置したご家庭などが該当します。
簡単に言えば、一度にどれだけ多くの電力を同時に使えるかを示す容量の違いです。
EV充電器の導入で「kVA契約」に移行するケースとは
一般的な家庭(例:3~4人家族で40A契約など)がEVを導入し、家庭用の充電設備(例:3kWや6kWタイプ)を設置すると、家全体で同時に使用できる電力容量を増やす必要が出てきます。
特に、元々契約容量が大きめ(50Aや60A)だったご家庭がEV充電器を追加すると、容量が6kVAを超え、「kVA契約」に移行するケースが多くなります。
自分がどちらの契約なのかは電気料金明細に記載されているため、プラン変更の前に必ず確認しましょう。
時間帯別プランを活用すれば
電気代は安くなる
契約容量の次に重要なのが、「電力量料金」の計算方法です。これも大きく2種類に分けられます。
一般的な「3段階制料金」:使うほど単価が上がる仕組み
これは、多くの大手電力会社が標準プランとして採用している料金体系です。電気の使用量に応じて、料金単価が3段階に分かれています。
- ・第1段階(~120kWhまで):生活に最低限必要な量として、単価が最も安く設定されています。
- ・第2段階(120kWh~300kWhまで):標準的な使用量として、中間の単価。
- ・第3段階(300kWh~):単価が最も高く設定されています。
EVを導入すると、充電によって月の総使用量が300kWhを大幅に超えることが一般的です。その結果、最も単価の高い第3段階の電気を大量に使うことになり、電気代が跳ね上がってしまうのです。
EVユーザー向きの「時間帯別料金」:安い時間帯に賢く充電
これは、文字通り「時間帯によって電力量料金の単価が変わる」プランです。例えば、「夜間(22時~翌朝8時)の単価は安いが、日中(8時~22時)の単価は高め」といった設定が一般的です。 EVは、充電するタイミングを調整しやすい機器です。このプランを選び、タイマー機能などを使って電気代が安い夜間に充電を集中させることで、総額を大幅に抑えることが可能になります。
シン・エナジーが解説!
EVユーザー向け電気料金プラン
「EV 生活フィットプラン」
とは?
「EVユーザーには時間帯別料金が向いている」と解説しましたが、シン・エナジー株式会社は、さらに一歩進んだEVユーザー向けの専用プランを提供しています。それが「EV 生活フィットプラン」です。
パナソニックとの協業で生まれたEV専用プラン
「EV 生活フィットプラン」は、EV充電インフラで高いシェアを持つパナソニックからの「EVユーザー向けに最適なプランを開発できないか」という相談がきっかけで誕生しました。パナソニックのEV充電アプリ「EVERCHARGE」からのみ申し込みが可能な、特別なプランです。
EV 生活フィットプラン 最大の特徴:お昼の電気代が安い!
従来のEV向けプランの多くは「夜間」が安い設計でした。しかし、「EV 生活フィットプラン」は「お昼(10時~16時)」の従量料金単価を安く設定しているのが最大の特徴です。
なぜ昼が安いのでしょうか? 近年、太陽光発電の普及により、電力の需要が少ない晴れた日の昼間は、電気が「余っている」状況が生まれています。この余剰電力をEVの充電に賢く活用してもらおうというのが、このプランの狙いです。
在宅勤務の方、日中に自宅で過ごすことが多い方、または週末にまとめて昼間に充電する方にとって、非常に大きなメリットがあります。
どのくらいお得?大手電力会社との比較シミュレーション
「EV 生活フィットプラン」に切り替えると、具体的にどのくらいお得になるのでしょうか。シン・エナジーによる試算の一例をご紹介します。
- ・条件(東京エリアの場合)
・契約容量:60A
・月の電気使用量:600kWh
・使用量割合:デイタイム50%、ライフタイム30%、ナイトタイム20%
・試算期間:2024年8月~2025年7月 - ・比較
・大手電力会社の標準プラン(3段階制)
・シン・エナジー「EV 生活フィットプラン」
この場合、月に約2,800円(2025年4月度)、年間で約17,000円も電気代が安くなる計算です。 電気の品質(停電のしやすさなど)は、電力会社を切り替えても全く変わりません。携帯電話会社のように「電波が悪くなる」といった心配はなく、ただ純粋に電気代だけを安くできるのが、電力会社切り替えの大きなメリットです。
注意点:「EV 生活フィットプラン」はアンペア契約(A契約)専用
この魅力的な「EV 生活フィットプラン」ですが、注意点として「アンペア契約(60Aまで)のお客様専用」となっています。 EV導入によって前述の「kVA契約」になっているご家庭は、「EV 生活フィットプラン」に申し込むことができません。
まとめ:EV時代の電気代削減は
「プラン選び」から
EV(電気自動車)の導入は、ガソリン代を節約できる大きなメリットがありますが、同時に家庭の電気使用量が大きく増える転換点でもあります。そのままずっと同じ電気料金プランを使い続けると、気づかないうちに損をしているかもしれません。今回ご紹介したように、電気料金の仕組みは複雑に見えますが、ポイントは「ご自身のライフスタイル(充電する時間帯)に合ったプランを選ぶ」ことです。シン・エナジー株式会社が提供する「EV 生活フィットプラン」は、日中に充電できるEVユーザーにとって、電気代を大幅に節約できる強力な選択肢です。もしご自身がkVA契約であったり、夜間充電がメインであったりする場合も、シン・エナジーには「夜生活フィットプラン」や「kVA契約者向けプラン」など、最適な受け皿が用意されています。EVの購入は、家庭のエネルギー事情を見直す絶好のチャンスです。まずはご自宅の電気料金明細をチェックし、パナソニックの「EV 充電サービス」アプリから、「EV 生活フィットプラン」をはじめとするシン・エナジーのプランを検討してみてはいかがでしょうか。
電力の専門家
稲森 勇人
シン・エナジー株式会社
エネルギートレード事業部
法人向け、個人向けの電力販売営業を経験。現在はマーケティング、メニュー開発、サービス改善等の企画を開発する営業企画部門の責任者。
電力の専門家
片山 龍樹
シン・エナジー株式会社
エネルギートレード事業部
新卒入社後、法人向け電力販売の営業として活動。現在は、その経験を基に電力販売の各種企画の立案、プランの作成など営業企画を行っている。今回EV生活フィットプランを作成した。
おうちEVチャンネル MC 小澤 瞳
静岡県出身のフリーアナウンサー。
every.しずおかのキャスターなどを経て、おうちEVチャンネルのMCに就任。
趣味:ドライブ / 読書 / クラシック鑑賞 / 1人ディズニー
資格:普通自動車免許 / 茶道表千家習事
おうちEVチャンネル編集長
神谷 崇
パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社 新規ソリューションセンター
パナソニック株式会社にて、国内外のマーケティングコミュニケーション企画・制作の経験を経て、新規事業部門を兼務。
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