オクトパスエナジーとパナソニックのデマンドレスポンス実証実験とは?電気自動車(EV)で電気代を節約しながら社会貢献する仕組みを徹底解説
目次
- 本記事の概要
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パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社とオクトパスエナジーが協力して実施しているデマンドレスポンス実証実験では、電気自動車(EV)の充電を通じて電気代を大幅に節約しながら、同時に社会貢献もできる画期的な仕組みが提供されています。
本記事では、この実証実験の内容や参加メリット、そして今後のエネルギー社会の展望について詳しく解説します。
オクトパスエナジーとは?
イギリス発のエネルギーテック企業
オクトパスエナジーについて、まずは企業の背景と理念から見ていきましょう。この企業がなぜ日本のエネルギー市場で注目を集めているのか、その理由が理解できます。
企業理念と事業展開
オクトパスエナジーは、イギリス発のエネルギーテック企業であり、「Greener & Cheaper(環境に優しい電気をお得な価格で届ける)」を理念としています。現在は、世界で1,000万人※1の顧客にサービスを提供しており、日本では東京ガスとの合弁会社として事業を展開しています。
特筆すべきは、独自のAIプラットフォームを使い、電力データを分析しながら、暮らしに合ったサービスを提供している点です。このテクノロジーを利用することで、一人ひとりのライフスタイルに最適化された電気サービスを実現しています。
EVユーザー向け料金プラン「EVオクトパス」
オクトパスエナジーは、EVユーザー向けの料金プランとして「EVオクトパス」を提供しています。
2025年1月には、昼間にお得に充電できるプランを新しく開発し、元々ある「夜がお得になるプラン」と合わせて、昼型・夜型それぞれの生活に応じて選べる料金体系を実現しています。これにより、朝型の生活をしている方も夜型の生活をしている方も、それぞれのライフスタイルに合わせてお得にEVを充電できるようになりました。
EVオクトパスは、環境に優しくお得に使える選択肢として進化を続けており、今回の実証実験では、この考え方をさらに進めて、より簡単で賢いEV充電体験を提供することを目指しています。
デマンドレスポンス(DR)とは何か?
ここからは、今回の実証実験の核心となる「デマンドレスポンス」という概念について解説していきます。
デマンドレスポンスの基本概念
デマンドレスポンス(DR)とは、変動が大きい電気を安定させるため、需給バランスを整える仕組みのことです。
現在の電気システムは、電気が一気に使われる時間帯とあまり使われない時間帯があり、電気需要の差が大きくなっています。例えば、特に夕方は家庭の電気使用が一気に増えて電気が不足しやすくなりますが、深夜や太陽光発電の多い昼間などは電気が余ってしまう時間帯も。
このような需給の不均衡を解消するために、デマンドレスポンスという考え方が生まれました。
下げDRと上げDRの違い
デマンドレスポンスには2種類のアプローチが存在します。
「下げDR」は、電気が不足しそうな時間帯に消費者の電気使用を控えてもらうものです。例えば、夏の猛暑日の午後など、エアコンの使用が集中して電気需要がピークに達する時間帯に、一部の電気使用を抑えることで、電気不足を回避します。
一方、「上げDR」は、再生可能エネルギーの拡大などで電気の供給が過剰になる(余る)時間帯に、電気を消費してもらうものです。
電気の需給バランスが崩れるとどうなるのか
何気なく使っている電気は、需要と供給のバランスを同量に保って家庭まで送られているのが現状です。
この需要と供給のバランスが崩れてしまうと、「ブラックアウト」と呼ばれる大規模な停電が発生してしまう可能性があります。
そのため、電力データを分析しながら、暮らしに合ったサービスを提供している点です。電気の供給が余っている時間帯は、電力会社が調達する電気の価格が安く、逆に電気をたくさん供給しなければならない時は価格が高くなるという具合に、電気の調達価格も変動しています。この価格変動を利用することで、電気需要の平準化を促す仕組みが構築されているのです。
今回の実証実験の概要と目的
ここからは、パナソニックとオクトパスエナジーが共同で実施している実証実験の具体的な内容について詳しく見ていきましょう。
実証実験で検証すること
今回の実証実験は「余剰電気をどのように利用できるのか」を検証する取り組みです。
特に、電気が余っている時間にEVをなるべく充電してもらうことによって、EVが電気システムの調整役になれるかどうかを試していきます。これは、EVを単なる移動手段としてだけでなく、電気システムの一部として利用するという革新的な発想です。
重要なのは、ユーザーの利便性を損なわないよう、「何時までに充電しておいてほしい」という顧客の希望を最優先しながら、その範囲で最適なタイミングにEVの充電を行うという点です。この配慮により、ユーザーは何の不便も感じることなく、自動的に社会貢献に参加できます。
ユーザーに負担をかけない仕組み
この実証実験の特長は、ユーザーに負担をかけない設計になっていること。 これが、いわゆるデマンドレスポンス(DR)の考え方であり、電気をみんなで賢く使い分けることによって、社会全体の需給バランスを安定させることが目的です。
具体的には、ユーザーは充電ケーブルを挿しておくだけで、自動的にデマンドレスポンスに参加できるイメージです。
なぜ今、この検証が必要なのか?
ここでは、なぜ今このタイミングでデマンドレスポンスの実証実験が必要なのか、その背景にある社会的課題について解説します。「電気が足りない状態」と「電気が余っている状態」、この2つが起きやすくなっていることが背景にあります。
電気が足りない状態の深刻化
電気が足りない状態とは、発電所の老朽化が進んでいたり、定期点検が発生していたりする中で、夏や冬にエアコンの使用が増え、それらが重なって電気の供給バランスがギリギリになる状態です。特に近年は、猛暑や厳冬が増えており、電気需要のピークが以前よりも高くなっています。
このような状況では、電気の安定供給を維持するために、需要側での調整が欠かせません。
電気が余ってしまう状態の問題
実は今、電気が余ってしまう状態が深刻な問題だといわれています。太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電が進んだことにより、晴れた昼間などに電気が作られすぎて、逆に余ってしまう状態が発生しています。
電気が余っている時間帯に合わせてEVの充電をタイミング良くコントロールする、つまり「EVを使って電気の需要を発生させる」ことによって、余剰電気を無駄なく利用し、需給バランスを整えることが、 極めて重要な役割を担います。
実証実験の具体的な仕組み
ここからは、実証実験がどのような仕組みで運営されているのか、具体的に見ていきましょう。
遠隔制御で賢く調整
実証実験では、顧客のEVの充電時間を遠隔で賢く調整し、電気が余っている昼間の時間帯、あるいは夜間の時間帯に充電をシフトさせることを検証。
ただし、ユーザーの「何時までにEVの充電を完了させてほしい」という希望を反映することも可能です。例えば、「明朝8時までに満充電にしてほしい」という設定をしておけば、その時間までに充電が完了するようにシステムが調整します。
日常の使い勝手を変えずに、自然とデマンドレスポンスに参加できるような仕組みです。
ユーザーの操作は不要
ユーザーは特別な操作は必要なく、いつも通りEVの充電ケーブルを挿しておくだけで参加が可能です。毎日の充電スケジュールを手動で設定したり、電気価格をチェックしたりする必要は一切ありません。
参加者に追加の負担や手間が発生しないよう、おうちEV充電サービスアプリや遠隔制御実施のシステムも構築されています。節約を「ほったらかし」で実現できる方法であり、ユーザーにとってもメリットのある仕組みです。
実証で明らかにすること
この実証実験では、主に2つのことを明らかにすることを目指しています。
1つ目は、EVの充電を賢くシフトすることによって、電気使用のピークをどれくらい下げられるのか、そして余剰電気をどれくらい有効に使えるのかを検証することです。
もう一つは、電気の使用をシフトすることによってユーザーの生活に支障が出ないようにできるのか、という点を検証することです。
このデータが、将来のEV充電による充電制御や新しい電気料金プランに直結します。実証実験で得られた知見は、今後のエネルギービジネスの設計に活かされていくのです。
実証実験に参加するメリット
ここからは、実証実験に参加することで得られる具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
圧倒的に安い充電分の電気代
実証期間中に限り、遠隔制御のもとでEVの充電が行われた場合には、1kWhあたり8円でEVを充電できます。EVオクトパスの関東エリアでは大体12.6〜14.6円※2という価格帯のため、比べると8円という価格は約4割安くなります。
ユーザーが登録する「充電完了の希望時間」をもとに、電力小売市場の価格情報に合わせて最適なスケジュールを自動で組み、それに基づいて遠隔制御で充電し、その制御された電力量に対して割引価格が適用される仕組みです。
手間がかからない「ほったらかし節約」
ユーザーにとっては手間がかからず、充電を安い時間帯へ自動でシフトして節約を「ほったらかし」でできるのは嬉しいポイントです。
追加の操作や負担なく、普段通り電気を使い、充電ケーブルを挿しておくだけです。複雑なバランス調整はユーザーが行う必要はなく、すべて自動で最適化されます。
節約したいけれど、そのために時間や労力を使いたくないという方にとって、理想的なソリューションといえるでしょう。
東京都の助成金が適用される
制御するEV充電設備はパナソニックのIoT EVコンセントを使うため、東京都の戸建て住宅にお住まいの方は東京都の助成金が適用されます。
本体費用は補助金で負担できる範囲内で設置でき、社会貢献のメリットと併せて、この機会にIoT EVコンセントを導入したユーザーも多くいます。
なぜパナソニックと
オクトパスエナジーが協業したのか?
ここでは、パナソニックとオクトパスエナジーという2つの企業が、なぜこの実証実験で協業することになったのか、それぞれの視点から見ていきます。
実績とノウハウ
パナソニックがオクトパスエナジーを選んだ理由は、EVとエネルギーを掛け合わせた未来像を一緒に描けるパートナーだと考えたからです。
オクトパスエナジーはヨーロッパでEV向けの料金プランやデマンドレスポンスの取り組みを先行的に進めており、実績とノウハウが豊富でした。
イギリスでは「インテリジェントオクトパス」というサービスを展開し、EVを含む家庭用アセットで60万台の制御を行っており、日本で同じことを実証する上でとても心強い存在だったのです。
チャレンジ精神
オクトパスエナジーは、日本でも新しい電気料金やEV特化プランを積極的に展開しており、チャレンジングな取り組みを柔軟に一緒に進められるパートナーだと考えられました。
新しい挑戦に対して前向きな姿勢を持つ企業との協業が、実証実験の成功につながると判断したのです。エネルギー業界は規制も多く、慎重な対応が求められる分野ですが、その中でも革新的な取り組みを進められるパートナーシップが重要といえます。
国内シェアとユーザー理解
オクトパスエナジーの目線からすると、今回の実証を実際のユーザーに届く形で進められることが大きな理由です。
パナソニックは国内でのEV充電設備のシェアが圧倒的に高く、家庭でのEV充電の実態を熟知しています。リアルなデータやユーザーニーズを深く理解している企業と組めることは大きなメリットといえます。
ビジョンの一致
パナソニックが描いているビジョンが、まさにオクトパスエナジーが日本で実現したい方向性と一致していました。両社とも、EVを単なる移動手段ではなく、エネルギーシステムの一部として利用するという未来を描いています。
両社の目指す未来像が重なることで、強固なパートナーシップを築けました。お互いに尊敬し合える関係性があってこそ、イノベーティブな取り組みが実現できるのです。
実証実験の先にあるビジネス展開|
データ分析から商用化へ
実証実験は、単なる技術検証で終わるものではありません。まずは実証として様々なデータを得ることを目指しています。そのデータを定量的に分析し、どういった料金メニューが適しているのか、どういった制御方法が良いのかを具体的に掘り下げていくのです。
そして、実際のビジネスとして商用化していくことを考えています。実証実験で得られた知見をもとに、より多くのユーザーに提供できるサービスへと発展させていく計画です。
将来展望:EVから
広がるエネルギーインフラ
ここでは、今回の実証実験が目指す、より長期的な将来展望について見ていきましょう。
EVを単なる移動手段からエネルギーインフラへ
パナソニックとオクトパスエナジーは、EVという存在を単なる移動手段から社会を支えるエネルギーインフラへと進化させていきたいと考えています。
これまでの電気はただ使うだけのものでしたが、目指すのは「EV充電を簡単、自動、お得にして、誰もが意識することなく生活するだけで自然と電気の安定化に貢献できる世界」です。
そのために、EV充電を制御可能なIoT機器へと進化させ、街中のあらゆるEVを巨大な分散型バッテリーとして束ねていくことを目標としています。
EVから蓄電池、ヒートポンプへ展開
まずはEVから始めますが、将来的には蓄電池や家庭用ヒートポンプなども操れるデバイスとして広げていきます。それらを連携して社会全体でエネルギーを支え合う、そうした暮らしを当たり前にしていきたいと考えています。
パナソニックが広げる「つながる設備」を、テクノロジーの力で賢く動かしながら顧客に電気を届けるのが、オクトパスエナジーの役割です。
良いエネルギーの循環を作る
電気が余っている時間帯を狙って使えば電気需給バランスの課題解決に貢献でき、価格が安い時間帯に使用することで、顧客にも経済的メリットを還元できます。
電気システムが抱える社会的課題を解決しながら、顧客にもメリットを還元し、企業もビジネスを続けていける、皆様にとってメリットがある「良いエネルギーの循環」を作っていくことが最終的な目標です。
おうちEV充電サービスの紹介
おうちEV充電サービスは、EV充電をもっと賢く、EVライフをもっと快適にする、EV充電設備シェアNo.1のパナソニックが提供する公式アプリ※3です。
家庭のEV充電の電気代を節約し、充電スタンド検索やポイント機能など便利機能が満載。単なる充電管理アプリではなく、EVライフを総合的にサポートするプラットフォームです。
IoT EVコンセントがあればスマホアプリで充電スケジュールを自動化し、割安な時間帯に充電設定ができるため電気代もお得になります。
まとめ:
EVユーザーが
知っておくべきデマンドレスポンスの可能性
パナソニックとオクトパスエナジーによるデマンドレスポンス実証実験は、EVを単なる移動手段から社会を支えるエネルギーインフラへと進化させる重要な取り組みです。ユーザーは充電ケーブルを挿すだけで、自動的に電気代を節約しながら社会貢献できる「ほったらかし節約」を実現できます。
実証期間中は1kWhあたり8円という圧倒的に安い料金でEV充電が可能であり、東京都の助成金も活用できるため、IoT EVコンセントの導入を検討する絶好の機会といえるでしょう。
今後、この取り組みがEVだけでなく蓄電池やヒートポンプなどにも広がり、社会全体でエネルギーを支え合う「良いエネルギーの循環」が実現することが期待されます。EVをすでに所有している方も、これから購入を検討している方も、ぜひこのデマンドレスポンスの可能性に注目してください。
初村 絵里
TGオクトパスエナジー株式会社
PR & Communications Senior Manager
企業/プロダクトPR
メディアリレーションズを担当。
窪野 翔太
TGオクトパスエナジー株式会社
Product Manager
事業開発・推進および市場調査等を担当。
おうちEVチャンネル MC 小澤 瞳
静岡県出身のフリーアナウンサー。
every.しずおかのキャスターなどを経て、おうちEVチャンネルのMCに就任。
趣味:ドライブ / 読書 / クラシック鑑賞 / 1人ディズニー
資格:普通自動車免許 / 茶道表千家習事
おうちEVチャンネル編集長
神谷 崇
パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社 新規ソリューションセンター
パナソニック株式会社にて、国内外のマーケティングコミュニケーション企画・制作の経験を経て、新規事業部門を兼務。
<出典・協力>
本記事は、TGオクトパスエナジー株式会社の知見に基づいて作成しています。
- 2026年2月時点
- 2025年2月時点
- 日本国内累計出荷台数ベース
EV充電用普通充電器における(一社)電動車両用電気供給システム協議会データと当社販売実績に基づいた当社調べ。(2021年9月)当社の、ELSEEVシリーズをはじめとしたEV充電用普通充電器全体販売実績を算出対象としています。
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