撮影日 2025年12月10日

電気自動車(EV)シフトは失速?それでも普及が進む本当の理由を専門家が徹底解説 電気自動車(EV)シフトは失速?それでも普及が進む本当の理由を専門家が徹底解説

2025年12月10日時点の情報であり、直近の情勢やデータなどを含んでおりません。

本記事の概要

パナソニック株式会社 「電気自動車(EV)シフトは失速している」「日本で電気自動車(EV)は普及しない」などの声を耳にする機会が増えています。確かに補助金削減による販売鈍化は起きていますが、それは電気自動車(EV)の本質的な課題が解決されていないからではありません。むしろ技術革新と市場の成熟によって、普及を妨げてきた壁は着実に低くなっています。
本記事では、IEAの最新データをもとに世界の電気自動車(EV)市場の現状を整理し、日本が抱える課題と、それを解消しつつある明るい兆しを専門家の視点で分かりやすく解説します。

石井 忠幸

石井 忠幸

パーソルワークススイッチコンサルティング株式会社
コンサルティング事業部コンサルティング第一統括部
戦略DX コンサルティング部
コンサルティング第一グループマネージャー

加藤 直輝

加藤 直輝

パーソルワークススイッチコンサルティング株式会社コンサルティング統括部
戦略DX コンサルティング部
コンサルティング第一グループ

小澤 瞳

おうちEVチャンネル MC
小澤 瞳

静岡県出身のフリーアナウンサー。

神谷 崇

おうちEVチャンネル編集長
神谷 崇

パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社
新規ソリューションセンター

データで見る世界の電気自動車(EV)普及の現在地

データで見る世界の電気自動車(EV)普及の現在地

「電気自動車(EV)シフトは失速した」という報道が目立ちますが、まずはデータで現状を正確に把握しましょう。IEA(国際エネルギー機関)の『Global EV Outlook 2025』によると、2024年にグローバルでEV(BEV+PHEV)は約1,750万台が販売され、新車に占める電気自動車(EV)の比率は20%を超えました。前年比25%超の成長を記録しており、数字だけ見れば「増加トレンド」が続いています。

ただし、成長率の観点では、前年の35%増から25%増へと伸びが鈍化しており、世界各地で補助金縮小の影響が出始めている様子です。大きなトレンドとしては普及が続いているものの、地域によって状況は大きく異なります。主要市場の中国・アメリカ・EUそれぞれが、異なる課題を抱えながら成長の踊り場を迎えている状況です。

中国のEV市場|圧倒的な規模と生産過多の深刻な問題

中国では、2024年に1,200万台以上の電気自動車(EV)(※社用車含む)が販売され、新車販売全体の40%超を占める圧倒的な規模を誇ります。世界全体の電気自動車(EV)販売のおよそ3分の2が中国で売れている計算です。

この急速な普及を支えてきたのが、政府による手厚い財政支援です。中国の電気自動車(EV)への財政支援額はアメリカの約6倍にもおよび、自動車メーカーへの強力なノルマ(NEV規制)が大量生産を促してきました。

しかし、この成功モデルには深刻な歪みが生じています。政府ノルマにより生産能力を大幅に拡大したメーカーが、需要を超える台数を製造してしまう「生産過多」の状態に陥っているのです。その結果、価格競争が激化し、中国の電気自動車(EV)市場では「底なしの値引き合戦」が繰り広げられています。

さらに問題となっているのが「ゼロキロ中古車」と呼ばれる現象です。メーカーがディーラーに新車を卸す際に販売実績として車両登録しますが、実際には消費者に売れておらず、走行距離0kmの「中古車」として市場に流れます。

消費者は新品同等の車を20〜30%安く購入できるため、ディーラーにもメリットがありますが、その裏には生産過多の在庫処分など深刻な事情があります。この構造的な問題が改善されないと、IEAが示す「2030年にEV販売比率80%達成」のシナリオはかなり厳しくなるでしょう。

アメリカのEV市場|補助金削減と政策転換の影響

アメリカでは、2024年に電気自動車(EV)が約150万台以上販売され、販売比率は約10%を超えました。中国に次ぐ世界第2位の規模を維持していますが、政策の大きな転換が市場に影を落としています。

アメリカでは、電気自動車(EV)購入に最大7,500ドル(約118万円)の税額控除制度が普及を後押ししてきましたが、対象モデルは当初の43モデルから19モデルへと半数以下にまで縮小しました。

さらに大きな変化が訪れたのが2025年です。トランプ政権の発足後、2025年9月にはこの税額控除制度が完全に打ち切られ、販売義務の撤回や事業者向け支援の停止も相次ぎました。電気自動車(EV)市場にとってこれ以上ないほど逆風の政策転換が重なり、アメリカの電気自動車(EV)普及ペースは大きく鈍化する見通しです。

EUのEV市場|ドイツを中心とした補助金廃止の影響

EU全体でも電気自動車(EV)販売の伸び悩みが続いており、その主因は補助金政策の変更にあります。

電気自動車(EV)販売台数で欧州トップのドイツでは、2023年初頭にPHEVへの補助金を完全廃止したところ、PHEVの登録台数が一気に落ち込みました。さらに2023年末にはBEVへの補助金も廃止されたため、2024年には登録台数が前年比で減少に転じています。

こうした状況を受け、ドイツの主要メーカーをはじめとする欧州自動車メーカーは、これまで掲げていた電気自動車(EV)販売目標を軒並み見直しています。「補助金があるときは勢いよく伸びるが、その後が難しい」という世界共通の課題を、欧州市場は最も顕著な形で体現しているといえるでしょう。

日本のEV普及における
3つの大きな課題

日本のEV普及における3つの大きな課題

世界の電気自動車(EV)市場がそれぞれの課題を抱えながら前進する一方で、日本の電気自動車(EV)普及率は依然として低い水準にとどまっています。ここでは、消費者が感じている3つの大きな懸念を1つずつ整理していきましょう。

課題1|ガソリン車より100~200万円高い車両価格

電気自動車(EV)はガソリン車と比べてイニシャルコストが100〜200万円ほど割高であり、これが購入をためらう理由のトップに挙がっています。ある消費者調査でも、コスト面への懸念が日本の電気自動車(EV)購入阻害要因として最も多く挙げられています。

この価格差の最大の要因は、製造コストの約3分の1を占めるバッテリーです。バッテリーが高価なため車両本体価格も高くなり、補助金があってもなお「ガソリン車に比べて割高感がある」という印象を消費者に与え続けています。この心理的障壁が、電気自動車(EV)普及の最大の壁の1つといえます。

課題2|航続距離とバッテリー劣化への不安

電気自動車(EV)の航続距離はガソリン車より短いイメージが根強く、購買意欲を下げています。さらにスマートフォンと同じように「バッテリーが劣化する」というイメージが強く、乗るほど走行距離が下がったり、リセール価値が下がったりすることへの懸念が購入を躊躇させています。実際、中古電気自動車(EV)はあまり売れ行きが良くなく、多くが海外に輸出されているのが実情です。

電気自動車(EV)には高性能なリチウムイオンバッテリーが搭載されており、バッテリーのリサイクルによって資源を再生できる可能性があるにもかかわらず、資源ごと海外に流れてしまっていることも問題として指摘されています。中古電気自動車(EV)市場の未成熟さが、購入者に「売れない・損をする」というイメージを定着させているのです。

課題3|おうち充電・外充電ともに不十分な充電環境

充電環境の課題には大きく「おうち充電」と「外充電」の2つがあります。おうち充電については、日本ではまだ設置率が低く、特に集合住宅での設置が進んでいません。補助金制度はあるものの、基準が年々厳しくなっており、実際の設置数は期待ほど伸びていません。

外充電については、充電時間の長さや設置場所の少なさが不安要因です。ガソリンスタンドのように「数分で満タン」というわけにいかない電気自動車(EV)の充電は、移動の途中で立ち寄る外出先での充電行動を大きく変えることになります。この行動変容への抵抗感が、ガソリン車に慣れ親しんだ日本の消費者にとって電気自動車(EV)購入をためらわせる要因の1つになっているのです。

電気自動車(EV)普及を後押しする
4つの明るい兆し

電気自動車(EV)普及を後押しする4つの明るい兆し

日本の電気自動車(EV)普及における3つの課題は確かに存在します。しかし、これらの課題は現在進行形で解決に向かっており、2026〜27年あたりから電気自動車(EV)普及が加速する可能性が高いと予測されています。バッテリーコストの低下、航続距離の向上、劣化性能の改善、充電インフラの拡大の4つの観点から、その「兆し」を見ていきましょう。

兆し1|年々下がり続けるバッテリー価格と新技術の台頭

電気自動車(EV)普及の最大の壁であったバッテリーコストは、年々低下しています。BloombergNEFのデータによると、リチウムイオンバッテリーのパック価格は、2013年の約806ドル/kWhから2024年には約115ドル/kWhまで下落しており、10年間で80%以上の低価格化が実現しました。

さらに全固体電池をはじめとする次世代バッテリーの研究開発も進んでおり、安全性・エネルギー密度・コストの面でさらなる改善が期待されます。

バッテリーコストが下がれば、車両本体価格も着実に低下します。技術革新が続くことで「電気自動車(EV)のほうがトータルで得」という状況が実現する日は、確実に近づいているのかもしれません。

ランニングコストでは電気自動車(EV)がすでに有利であるため、初期コストの差が縮まる局面で電気自動車(EV)購入の決断が一気に加速すると予測されています。

兆し2|新型日産リーフは航続距離702kmを実現

技術向上により、電気自動車(EV)の航続距離は着実に伸びています。その象徴が2025年10月に発表された新型日産リーフ(第3世代)です。

78kWhのバッテリーを搭載した「B7」グレードでは、WLTCモードで最大702kmの航続距離を実現しました。これは日本の自動車メーカーの国内向け電気自動車(EV)として最長の数値であり、従来の「電気自動車(EV)は航続距離が短い」というイメージを根本から覆すスペックです。

700km超の航続距離は、従来のガソリン車とほぼ同じ感覚で日常使いできる水準です。充電を気にしながら走行計画を立てる必要がなくなり、電気自動車(EV)の大きなストレス要因の1つが解消されます。

各メーカーが競ってバッテリー技術を向上させており、この航続距離向上のトレンドは今後も続いていくと見られています。

兆し3|20万km走行でも80%以上容量が残るバッテリー性能

バッテリーの劣化に関しても、最近の電気自動車(EV)では大幅な改善が実現しています。現行の電気自動車(EV)に搭載されているリチウムイオンバッテリーは、20万km走行時点でも80%以上の容量を維持している場合が報告されています。「スマートフォンのように劣化する」というイメージは、今の電気自動車(EV)には当てはまらなくなってきているのです。

バッテリー管理技術(BMS)の向上により、充電・放電のサイクルが精密に制御されるようになり、劣化の進行が大幅に抑制されています。リセール価値への不安も、こうした実際の使用データが蓄積されることで徐々に解消されていくでしょう。中古電気自動車(EV)市場も少しずつ成熟し、電気自動車(EV)ユーザーが安心してEVライフを送れる環境が整いつつあります。

兆し4|2030年に充電設備30万口を目指す国の整備計画

充電インフラについては、経済産業省が2023年10月に策定した「充電インフラ整備促進に向けた指針」において、2030年までに充電設備を従来目標の倍となる30万口(公共用急速充電設備3万口を含む)に整備する目標を掲げています。これを受け、補助金を活用した充電設備の設置が全国で着実に進んでいます。

2024年度末時点では約6.8万口が整備されており、30万口の目標には引き続きペースアップが必要です。ただし、外充電インフラは確実に前進しており、高速道路のSAやPA、コンビニエンスストア、ディーラーなど充電できる場所は年々増えています。集合住宅への設置はまだ課題が残りますが、「時間が解決する部分が大きい」エリアとして、国を挙げた整備計画が進行中です。

電気自動車(EV)のランニングコストは圧倒的に安い|トータルコストで考える

電気自動車(EV)のランニングコストは圧倒的に安い|トータルコストで考える

初期購入費用が高い電気自動車(EV)のイメージとは対照的に、ランニングコストの面では電気自動車(EV)がガソリン車に対して圧倒的な優位性を持ちます。燃料費・メンテナンス費・税金を総合的に考えると、長期的に見ると電気自動車(EV)のほうが経済的であることも多いです。

燃料費で見ると、ガソリン車が1kmあたり5.3円程度かかるのに対し、電気自動車(EV)は電力料金にもよりますが1kmあたり4.4円程度が目安です。特に自宅に充電設備があり、夜間の安い電力を利用できる環境であれば、年間の燃料費をより削減できます。さらにエンジンオイル交換や変速機の整備が不要なため、メンテナンスコストも低く抑えられるでしょう。

現時点ではバッテリーコストの分、車両価格が高い状態が続いています。しかし、先述のようにバッテリーコストは年々低下しており、初期費用の差が縮まることでトータルコストで電気自動車(EV)が有利になる時代が確実に近づいています。「2026〜27年から電気自動車(EV)普及が加速する」と予測する根拠の1つが、この価格収れんのタイミングにあるのです。

おうちEV充電サービスで実現する
快適で経済的なEVライフ

おうちEV充電サービスで実現する快適で経済的なEVライフ

電気自動車(EV)のランニングコスト優位性を最大限に活かすためのカギとなるのが、自宅での充電環境です。パナソニックが提供する「おうちEV充電サービス」は、電気自動車(EV)ユーザーが自宅で快適かつ経済的に充電できる環境を整えるためのトータルソリューションです。充電コストの削減から外出先での充電スタンド検索まで、EVライフを強力にサポートします。

夜間電力利用でランニングコストを大幅削減

おうちEV充電サービスの最大のメリットは、夜間の安い電力を自動的に利用することでランニングコストを大幅に削減できる点です。時間帯別料金プランと組み合わせることで、深夜の電力単価が昼間の半額以下になる場合も。年間の充電コストを数万円単位で削減できる可能性があります。

充電スケジュールを自動で最適化する機能により、ユーザーが意識しなくても経済的な充電が自動的に行われます。「安い時間帯に充電されているか、毎晩気にしなければならない」という手間が不要になるため、EVライフがよりシンプルで快適になるでしょう。電気自動車(EV)ユーザーにとって最も身近なコスト削減手段として、ぜひ利用したい機能です。

充電マップ機能で外出先でも安心

おうちEV充電サービスには、充電マップ機能が搭載されており、外出先での充電スタンドをアプリ上で簡単に検索できます。充電スタンドの場所・利用可能な充電設備の種類・リアルタイムの空き状況を確認できるため、「充電できる場所があるか不安」という悩みを解消できます。

「おうち充電で毎日満充電を維持しつつ、外出先では充電マップを使って必要に応じて充電する」このおうち充電×外充電のシームレスな組み合わせこそが、電気自動車(EV)の利便性を最大限に引き出す使い方です。おうちEV充電サービスはその両方をカバーするプラットフォームとして、電気自動車(EV)ユーザーの日常に寄り添います。

まとめ|
電気自動車(EV)普及の
未来は明るい|
2026-27年から加速する可能性

まとめ|電気自動車(EV)普及の未来は明るい|2026-27年から加速する可能性

世界全体では、IEAの最新データが示す通り2024年も電気自動車(EV)販売は増加トレンドを維持しています。補助金削減の影響による成長率の鈍化はありますが、これは電気自動車(EV)の本質的な価値が低下したわけではなく、政策支援頼みの成長モデルが転換期を迎えていることを意味していると考えられるでしょう。

日本の電気自動車(EV)普及を妨げてきた3つの課題「車両価格」「バッテリー性能」「充電環境」は、それぞれ技術革新と国の政策によって着実に解消されつつあります。特に以下の4点は、その変化を象徴する具体的な事実です。

  • バッテリーコストは2013年比で80%以上低下しており、今後も下落が続く見通し
  • 新型日産リーフはWLTCモードで最大702km(日本メーカー国内向け電気自動車(EV)最長)の航続距離を実現
  • 現行電気自動車(EV)のバッテリーは20万km走行後も80%超の容量を維持する場合が報告されている
  • 経産省は2030年までに充電設備を30万口とする目標を掲げ、整備を加速中(2024年度末時点で約6.8万口)

これらの兆しをもとに「2026〜27年あたりから電気自動車(EV)普及が加速する」と予測しています。バッテリーコストの低下と車両価格の収れん、充電インフラの拡大が重なるこの時期は、電気自動車(EV)がガソリン車に対してトータルコストで明確に優位に立つ転換点になると見られています。

電気自動車(EV)に興味はあるけれどまだ踏み出せていない方にとって、今は「情報収集と準備を始めるタイミング」かもしれません。おうち充電環境の整備を含め、パナソニックの「おうちEV充電サービス」の詳細もぜひ確認してみてください。

電気自動車(EV)の魅力は、乗ってみると数字では語れない部分にもあります。静粛性の高さ、力強い加速感、自宅で充電できる利便性など、まず一度体験してみることをおすすめします。

石井 忠幸

石井 忠幸
パーソルワークススイッチコンサルティング株式会社
コンサルティング事業部コンサルティング第一統括部
戦略DX コンサルティング部
コンサルティング第一グループマネージャー

BtoB・BtoCの各種テーマにおいて、事業コンセプト策定・事業計画策定、事業立上げ推進などの事業開発の支援に携わる。直近では、中期経営計画策定、経営ダッシュボード構築などの経営・戦略領域にも幅を広げて支援を実施。

加藤 直輝

加藤 直輝
パーソルワークススイッチコンサルティング株式会社
コンサルティング統括部
戦略DX コンサルティング部
コンサルティング第一グループ

主に事業開発領域でのコンサルティングを担当。EV・エネルギー・住宅・ホテル・家電など幅広いテーマ・市場での支援に携わる。

小澤 瞳

おうちEVチャンネル MC 小澤 瞳
静岡県出身のフリーアナウンサー。

every.しずおかのキャスターなどを経て、おうちEVチャンネルのMCに就任。
趣味:ドライブ / 読書 / クラシック鑑賞 / 1人ディズニー
資格:普通自動車免許 / 茶道表千家習事

神谷 崇

おうちEVチャンネル編集長
神谷 崇
パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社 新規ソリューションセンター

パナソニック株式会社にて、国内外のマーケティングコミュニケーション企画・制作の経験を経て、新規事業部門を兼務。

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