敷地の制約により、太陽電池モジュールのパネル面を東西方向に向けてピークとなる発電時間帯を平準化。
電力を供給する工場の陸屋根とほぼ同面積の約4,000㎡に配置された太陽電池と純水素型燃料電池プラント

純水素型燃料電池・太陽電池・蓄電池で
工場RE100を実証する発電プラント

パナソニックは、滋賀県草津市の燃料電池工場で消費する電力を100%再生可能エネルギーで賄う発電プラント「H2 KIBOU FIELD」を、2022年4月に本格稼働した。
この施設は、対象となる工場が必要とする電力(ピーク時:約680kW、年間電力量:約2.7GWh)を想定し、工場棟の陸屋根とほぼ同面積約4,000㎡で構成されている。敷地内には、5kWの純水素型燃料電池99台、315Wの太陽電池モジュール1,820枚(約570kW)に加えて、約1.1MWhの蓄電池を配置。工場が必要とする電力を太陽光で賄うには広大な設置面積が必要になる上、天候の影響を受けて発電量が不安定になるため、純水素型燃料電池で約8割を賄い残り約2割を太陽光が補う。
発電量や電力需要の変動には蓄電池で対応するため、3電池を連携するEMS(エネルギーマネジメントシステム)を採用。EMSは、30秒ごとに工場の電力需要をモニタリングし、純水素型燃料電池、太陽電池、蓄電池を連携して監視制御。99台の純水素型燃料電池を個別制御することで、需要追従を実現する。今後は、国内でも同様の拠点を増やし、事業活動で使う電力を100%再エネで賄う「RE100ソリューション」の提供が計画されている。

  • 100%再生可能エネルギー:実証開始時は再エネ由来の水素を用いてはいないが、将来的には再エネ由来の水素を使用したRE100化を目指している。

建築設計Report vol.43/2022年11月発行
※会社名、役職名などは取材時のものです。

99台のうち88台の5kW純水素型燃料電池は専有面積を最少にするため密接して配置。燃料電池は一般の発電機と比較して圧倒的に静か(約60dB)
99台のうち88台の5kW純水素型燃料電池は専有面積を最少にするため密接して配置。
燃料電池は一般の発電機と比較して圧倒的に静か(約60dB)

近くを通る新幹線から見えるように太陽光と燃料電池の合計発電量を表示
近くを通る新幹線から見えるように太陽光と燃料電池の合計発電量を表示

電力需給の変動に対応する1.1MWhのリチウムイオン蓄電池
電力需給の変動に対応する1.1MWhのリチウムイオン蓄電池

約78,000Lの液化水素が貯蔵できる液化水素タンク、右は液化窒素タンク
約78,000Lの液化水素が貯蔵できる液化水素タンク、右は液化窒素タンク

純水素型燃料電池を太陽光パネル下に設置して、設置面積を最小化する方法も紹介
純水素型燃料電池を太陽光パネル下に設置して、設置面積を最小化する方法も紹介

EMSの概要

パナソニック株式会社 草津工場 H2 KIBOU FIELD

所在地/滋賀県草津市野路東
事業主/パナソニック株式会社
施工/パナソニック環境エンジニアリング株式会社
稼働/2022年4月

主な設備

● 太陽電池モジュール ● 純水素型燃料電池 ● リチウムイオン蓄電池 ● 液化水素タンク

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