オフィスの環境を整える最前線にいるのが総務部門である。しかし、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが増え、社員の働く姿が見えず、どう対応したらいいかが分からないというのだ。総務部門は今、デジタルテクノロジーを駆使して、オフィスに出社している社員、リモートワークで働く社員双方の働く様子を捕捉し、改善のPDCAを回していく必要がある。モルガン・スタンレー・グループ、メリルリンチ日本証券、日産自動車などの企業で25年以上にわたり総務・ファシリティマネジメント(FM)業務に携わってきた株式会社Hite&Co.代表取締役社長金英範氏に、ニューノーマル時代のFMの在り方について伺った。モデレータを務めるのは、神奈川大学経営学部国際経営学科准教授 の中見真也氏だ。
<ここがポイント!>
●働く場所が多様化し社員の姿が見えず、働く環境を整備する総務は困惑
●リモート環境の社員も把握できるデジタルの仕組みは欠かせない
●DXが進んでも、“総務が進化”しないと意味がない
●総務の仕事は、戦略的な「FM2.0」にシフトすべき
●社員の働き方にあった柔軟性のあるワークプレイスが生産性向上につながる
インタビュー動画はこちら▼
ウィズコロナで総務の使命は変わった これからは、DXで社員の「働く姿」の見える化を
「今日はやりたいことができた」「生産性の高い状態で仕事ができた」。社員のためにこうした環境を用意するのが総務部門の使命だが、リモートワークをはじめマルチワークプレイス化が進む今、社員の働く姿が見えず、満足度を推し量るのが難しい。そのため総務部門としてもサービス提供が思うようにできないのが現状だ。
気持ちよく働いてもらうという総務の使命は、経営目線で見れば「生産性の向上」に他ならない。それには、オフィスワーク、リモートワークを問わず、デジタルテクノロジーを活用した社員の働き方のデータによる捕捉が必須であり、これは言い換えれば総務部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。ただ、クリアすべきハードルは少なくない。現在部署ごとにデータは点在し、管理ツールも異なるため、自社全体を一元管理することは難しく、経営高度化の障壁となっている。FM業務は総務部門のみにとどまらず、部署横断型の業務だ。これを俯瞰できるダッシュボードがあれば、課題や困りごとがすぐに認識でき、社員の働きやすさに直結するに違いない。
DXが進んでも、“総務が進化”しないと意味がない コロナを契機に総務の仕事は「FM2.0」へシフトする
DXができれば、その先に到達すべきマイルストーンはずばり「FM2.0」だ。デジタルテクノロジーの活用で確かに自社の状況は見える化できるようになる。しかし、それを解決するためのオペレーションが従来通りの総務の動きでは、社員の働き方が多様化しているいまタイムリーに対応することは難しい。
「FM2.0」の領域では、IoTで得た情報をクラウドに集め、社員自身がそのデータをアプリなどで確認して、自ら意思決定して行動する。これまで総務が対応していたことの多くは、社員自身が行うことになる。ワークプレイスが多様化し、働き方も多様化する中で、迅速に対応できないばかりか総務の業務は崩壊しかねない。しかし、FM2.0によって業務の多くを省人化、自動化して本来取り組むべき戦略的FMを実行してPDCAを回していくことができれば、おのずと社員の満足度向上、生産性向上に向かうはずだ。
インタビュー動画では、総務が、新しい働き方を提供し社員を自発的に動かす旗振り役としてDXを進めていくためのステップ、そして、社員に「働きやすさ」「やりがい」を提供し生産性向上を実現するため、人事部門とどのように連携していけばよいのかなどを具体的に解説している。
総務の仕事が変わる!生産性を上げるオフィスのDX
インタビュー動画はこちら▼
オフィス内動線を科学して、事業成長に貢献する
eBOOKダウンロードはこちら▼
金 英範氏
株式会社Hite&Co.代表取締役社長
早稲田大学理工学部建築学科卒。オフィス設計事務所勤務を経て、米国大学院にてファシリティマネジメント(FM)修士を取得。帰国後はモルガン・スタンレー・グループ株式会社、ゴールドマンサックスJapan、メリルリンチ日本証券株式会社、米ジョンソンコントロールズ、日産自動車など、25
年以上にわたり総務・ファシリティマネジメント(FM)業務に携わる。現在はFM
業務に関するコンサルティングやアウトソーシング受託業務を行う。