平等院ミュージアム鳳翔館
東京国立博物館 木下氏の「薄く光っている雲の中から仏様がふっとお出ましになるイメージ」という指示に基づいて演出された国宝「雲中供養菩薩像」26躯
鳳凰堂が具現化した西方極楽浄土をLED照明によって表現
2001年に建設された平等院ミュージアム鳳翔館には、国宝の梵鐘、雲中供養菩薩像、鳳凰一対や重要文化財の十一面観音立像など、貴重な遺産が先進の収蔵環境の下に展示されている。今回行われた館内照明のリニューアルでは、照明設備をLED化。東京国立博物館の木下史青氏による監修のもと、貴重な国宝や文化財を美しく鮮やかに照らす照明計画が行われた。そのコンセプトは、平等院鳳凰堂が具現化した「西方極楽浄土」をLEDで表現するもの。国宝「梵鐘」を照らすグレアレス・ユニバーサルダウンライトは、展示物の色を自然に見せる「美光色」機能を追加した特注品。Ra95と高い演色性を実現するとともに、温白色(3500K)の光によって、梵鐘がもつ独特の青銅色を美しく、忠実に表現。調光により細かい模様を鮮明に見せ、梵鐘に映り込む影も軽減している。また、国宝の「鳳凰」と「雲中供養菩薩像」の演出では、光をフォーカスして展示物のみに当て、床や壁に出る多重影を解消。周囲から浮き立つような迫力ある展示を実現し、これまで見えにくかった表情も細部まで表現された。
なお、当該施設は、2016年北米照明学会賞の「Award of Merit」を受賞している。
建築設計Report vol.21/2017年5月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。
ライティングにより周囲から浮き立つような迫力ある展示を実現
国宝「鳳凰」では1体に5灯のスポットライトで造形の美しさを表現
スマートフォンで操作可能なシューティングスポットライト
国宝「梵鐘」が持つ青銅本来の美しさを再現
鑑賞環境に配慮したショーケース照明
展示空間へ誘うアプローチの建築化照明
平等院ミュージアム鳳翔館
■照明設備リニューアル工事
所在地/京都府宇治市宇治蓮華
施主/平等院
照明監修/東京国立博物館 学芸企画部企画課 デザイン室長 木下史青 氏
電気工事/パナソニックESエンジニアリング株式会社、光星エンジニアリング株式会社
リニューアル竣工/2015年9月
主な設備
● シューティングスポットライト ● 個別調光スポットライト ● 調光美光色グレアレス・ユニバーサルダウンライト(特注)● 展示ケース内照明(特注) ● 丸型ベースライト ● 地中埋め込み器具 ● 看板用LEDユニット ● 調光盤