宍道湖の渚をイメージした天井は、耐震化工事で既設アルミ製吊り天井からグラスファイバー製膜天井に更新して軽量化。
改修前と意匠が変わらないように配慮され、夕陽に合わせた調光調色演出も行われている

アートとの出会いに心動かし
湖面の陽の彩りも味わう美術館

宍道湖畔に1999年に開館した島根県立美術館は、菊竹清訓氏の設計による、水との調和をテーマとした美術館。宍道湖に臨むロビーでは、湖岸側をガラスカーテンウォールとして眺望を確保。ここから望む宍道湖の夕陽は「日本の夕陽百選」にも選ばれている。竣工から20年を経て2018年に行われた改修工事では、ロビーのダウンライトをLEDに更新するとともに、時間帯に合わせて宍道湖の眺めと調和するようにマルチマネージャーExによる調光調色制御が導入された。また、2021年から約1年をかけてロビー天井の耐震化工事と空調設備・照明設備の大改修が行われ、軒下や展示室、ホール、バックヤードなどの照明がLED化された。展示室では建築化照明とダウンライトに紫外線をほぼ発生しないLEDを採用したことで、従来より鑑賞しやすい展示環境を実現。また、学芸員が作品の色合いを見ながら1灯ごとに調光調色できるようにマルチマネージャーExの設定操作用タブレットも採用されている。同美術館の支配人であり指定管理者の株式会社SPSしまね 羽根田 安弘氏は「照明器具の存在感を抑えるために器具枠の色にこだわり、指定色で塗装した。結果として建築物との調和が図れた」と語る。

  • 2003年の地方自治法改正による指定管理者制度により、公共施設の管理を委託された民間事業者

建築設計Report vol.44/2023年2月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

小口径になり、極力目立たないように指定色塗装された軒下のLEDダウンライト
小口径になり、極力目立たないように指定色塗装された軒下のLEDダウンライト

紫外線を抑えたLEDにより明るく鑑賞しやすくなった島根を代表する工芸品コレクションの展示室
紫外線を抑えたLEDにより明るく鑑賞しやすくなった
島根を代表する工芸品コレクションの展示室

学芸員が作品を見ながら利用できる操作設定用タブレット”
学芸員が作品を見ながら利用できる
操作設定用タブレット

客席ダウンライトがLED化されたホール
客席ダウンライトがLED化されたホール

誰でも直感的に照明が色調整できる記憶調光操作卓「パステルパレット」”
誰でも直感的に照明が色調整できる
記憶調光操作卓「パステルパレット」

島根県立美術館

■天井耐震化工事・照明設備改修工事
所在地/島根県松江市袖師町
事業主/島根県
天井耐震化工事/松江土建・林谷工業特別共同企業体
照明設備改修工事/日新電工・電設サービス特別共同企業体
改修竣工/2022年5月

主な設備

● LED建築化照明 ● マルチマネージャーExタイプ ● LEDダウンライト ● 記憶調光操作卓「パステルパレット」

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