執務室などから漏れる光でバルコニーを照らすとともに、
各フロアのバルコニー両端にアッパースポットライトを設置して1本の吉野杉が貫通する情景を創り出している

自然を積極的に取り入れた
環境配慮型低炭素オフィス改修

淺沼組は、「人間にも地球にも良い循環」をつくる「GOOD CYCLE BUILDING」を提唱。これは、従来のスクラップアンドビルドを改め、既存躯体を生かした設計や、建設残土・プラスチックも資材と捉えてアップサイクルする技術によって環境負荷を減らす考え方。その第1弾・フラッグシップとして、築30年を経た名古屋支店を環境配慮型ビルへと改修、2021年9月にリニューアル竣工した。
既存躯体を活用し、自然の光や風を取り入れるとともに、新たに加える材料には可能な限り土や木などの自然素材が用いられた。従来はガラスカーテンウォールで覆われていた西向きメインファサードには、1本の杉から取れる大きな径の丸太を未乾燥のまま配置。これにより、樹が自然に立っている姿と同様の印象を与えている。
この改修では、使用エネルギーを旧社屋の50%以下に削減するZEBreadyと、利用者の健康や快適性を評価するWELL認証(v2pilot版)取得が設備のテーマとされた。
外光を取り入れるためにファサードは全フロアにテラスを設けるとともに、窓面を2.5mセットバック。最上階8階では既存スラブの南側を除去して大きなトップライトを配した上で、遮光ルーバーが設けられている。
照明計画では、器具をタスク・アンビエント照明として机上面照度を500 lx程度まで抑制。外光を多く取り入れているため、無線調光システム「WiLIA」を導入して各所に昼光センサを配置し、きめ細かな昼光制御による消費電力削減が図られている。
また、WELL認証では、定常的使用空間(執務室やホール)においてサーカディアンリズムに影響する明るさが評価基準となるため5000Kの昼光色を採用し、鉛直面照度も確保。2021年3月に、築30年のオフィスビル改修では国内で初めて、WELLの予備認証を取得している。

建築設計Report vol.41/2022年5月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

日没後は照度確保が難しいため、8階ホールではトップライト梁部にスポットライトを設置日没後は照度確保が難しいため、8階ホールではトップライト梁部にスポットライトを設置

風除室につながる庇にΦ75のグレアレスダウンライトを均等に配置し、スロープにはアクセントとしてガーデンライトを設置している風除室につながる庇にΦ75のグレアレスダウンライトを均等に配置し、スロープにはアクセントとしてガーデンライトを設置している

グレア制御タイプのライン照明を全般照明とし、側面にダウンライトが配された6階執務室グレア制御タイプのライン照明を全般照明とし、
側面にダウンライトが配された6階執務室

吹き抜け2階のラウンジでは高ワットのユニバーサルダウンライトで床面照度を確保。植栽部のスパイクスポットライトで天井に葉の影を映し、木漏れ日のように演出吹き抜け2階のラウンジでは高ワットのユニバーサルダウンライトで床面照度を確保。
植栽部のスパイクスポットライトで天井に葉の影を映し、木漏れ日のように演出

既存スラブ南側を除去し、天井を南に向かって反り上げることで冬の日射を取り込む7階会議室既存スラブ南側を除去し、天井を南に向かって反り上げることで冬の日射を取り込む7階会議室

製材時に発生する吉野杉の樹皮を土台に使用したテーブルが設置された1階応接室「木の部屋」製材時に発生する吉野杉の樹皮を土台に使用したテーブルが
設置された1階応接室「木の部屋」

因州和紙に木の葉を漉き込んだシェードが配された6階打合せスペース因州和紙に木の葉を漉き込んだシェードが配された
6階打合せスペース

断面図

断面図


淺沼組名古屋支店

リニューアル前(左)リニューアル後(右)

■リニューアル工事
所在地/名古屋市中村区名駅南
事業主/株式会社淺沼組
設計・監理/川島範久建築設計事務所
      株式会社淺沼組
施工/株式会社淺沼組
リニューアル竣工/2021年9月

主な設備

● 一体型LEDベースライト ● LEDダウンライト ● LEDスポットライト ● LEDガーデンライト ● 無線調光シリーズ「WiLIA」