男女浴室の隔壁を取り除き、周囲にオフィスブースを設けることで耐震構造とし、中央部はレンタブルスペースとしている

地域に90年間愛されてきた銭湯をオフィス&ラウンジにリノベーション

1928年築の建物がそのまま残る昔なつかしい銭湯として知られた「快哉湯」。地域住民や近隣宿泊施設に泊まる人、昔ながらの銭湯空間を味わいたい人たちに90年以上にわたって愛されてきた。下町情緒や原風景を象徴する場である貴重な建物をこの地に残して活かしていきたいと、オーナーから相談された株式会社ヤマムラ取締役の中村出(いずる)氏。「地域の街並みを保存するNPO法人たいとう歴史都市研究会に所属しており、学生時代には快哉湯を利用していた私は、建物用途を変更することで建物に新たな命を吹き込めないかと考えた。木造建築を得意とする当社が銭湯建築を借り受け、内装をできる限り残し、浴室は建物再生事業に取り組む建築技術者を中心とするシェアオフィス、脱衣所を地域に開いたカフェ&ラウンジとした」と語る。天井高7mある男女浴室は隔壁を取り除き周囲に柱梁を加えて耐震構造とし、ワークブースを配置。脱衣場は既存の姿見鏡を残したまま、キッチンのあるセルフカフェと書棚のあるラウンジとされている。また、書棚にはこれまで屋外に設置されていた男女トイレが組み込まれている。「銭湯時代にあったコミュニティを継承し運営を続けて行きたい」と中村氏。

建築設計Report vol.30/2019年8月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

男性脱衣場の鏡を残したAラウンジ

アラウーノ使用のトイレルームが組み込まれた書棚

キッチンカウンターが設けられているBラウンジ

セルフカフェとしても利用される

耐震構造の梁は書棚として利用されている

銭湯の下足箱が残る玄関。正面は傘収納箱になっている

フロアマップ


快哉湯オフィス&ラウンジ

画像提供:株式会社ヤマムラ 撮影:田村 収

所在地/東京都台東区下谷
施主/快哉湯オーナー
設計/株式会社ヤマムラ
内装設計/デザインオフィス クリソウ
施工/株式会社ヤマムラ
リニューアル竣工/2019年6月

主な設備

● LEDスポットライト ● パッケージエアコン ● アラウーノ L150 ● アクアファニチャー洗面 ● IHクッキングヒーター&フード

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