HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE エスコンフィールドHOKKAIDO
世界最大級(幅約166m)の可動屋根を開いた状態の「ES CON FIELD HOKKAIDO」。レフト外野席に5階建の複合施設「TOWER 11」が設けられている
北海道のシンボルとなる持続的に成長するボールパーク
2023年3月、北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO」を擁する、北海道ボールパークFビレッジが誕生した。ボールパークとは、野球スタジアムを中心に、公園や商業施設などが複合的に併設されている空間で、米国ではボールパーク建設によるまちづくりが積極的に行われている。Fビレッジにおいても、野球の試合を観戦するためだけの施設ではなく、ファンやパートナー、地域の人たちとともに、地域社会の活性化や社会貢献につながる「共同創造空間」の構築と、北海道の価値・魅力を国内外に発信していく「北海道のシンボルとなる空間」の創出がめざされた。同時に、プロジェクトに賛同する、産官学による多様なパートナーシップにより、持続的に成長するまちづくりを追求。とくに、地域社会の将来を担う子どもの成長に寄与する活動に力が注がれている。約32ha(東京ドーム7個分)という広大な敷地には、新球場を核として、宿泊施設や商業施設、農業学習施設、認定こども園、レジデンスなどが設けられた。また、試合がない日も営業する施設が、球場内の商業施設をはじめ、Fビレッジ各所に配置されている。
屋根固定部に設置された演色性に優れたRa90のLED投光器
54台のLED投光器による照明が天然芝を照射
グレアを抑えるため1台ごとに照射方向が変えられた
1kW・2kW相当のLED投光器
場内に約600面設置されたデジタルサイネージ
「KAIROS」を配置したコントロールルーム
354台の投光器制御と映像演出で球場をエンターテイメント空間に
新球場は、世界最大級(幅約166m)の可動屋根を備えた、地下2階・地上6階建で、収容人数は約3万5千人。ビジターのファンが利用する3塁側の座席を少なくし、レフト外野席にホテルや温浴施設がある5階建の複合施設「TOWER 11」が設けられた。南面は最大高約70mの巨大なガラスウォールとなっており、日照を確保するとともに、外部空間とつなぐ役割も担っている。このガラスウォール上部と屋根固定部に2kW相当LED投光器226台と1kW相当LED投光器128台が設置されている。投光器はまぶしさが選手のプレーに悪影響を与えないように、光源からの光を絞る狭角配光とし、各投光器の照射方向を分散させることにより光の重なりを減らして光源を見上げた時のグレアを低減している。また、DMX制御により、ホームランやビクトリーなど試合のシーンに応じて明るさ(0〜100%調光)と瞬時点滅を組み合わせ、照明と映像・音響が連動した演出を実現した。これを可能にしているのが、IT/IPプラットフォーム「KAIROS(ケイロス)」と統合マネジメントシステム「S-CMS」。「KAIROS」が多数の映像を加工し、「S-CMS」が照明・映像・音響を統合制御してコンテンツを自由な画角・解像度で大型表示装置や球場全体に設置された約600面のデジタルサイネージに配信する。
新球場の特徴は多様な観戦環境。その一つが、ベンチ間近に設けられた3塁側ラウンジ「Panasonic CLUB LOUNGE」。ここでは、パナソニックの製品・サービスを体験しながら上質な食事とともに、選手と同じ目線の高さで臨場感のある試合観戦を楽しめる。木調で照度を控えた落ち着いた空間ではダウンライト型プロジェクター「バイオシャドー」が木漏れ日の情景を映し出しており、スポットライト型ナノイーX発生機や次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」が快適な空気環境を実現。演出照明、最新の美容・健康・AV製品が置かれた、これまでにない観戦体験を提供している。
建築設計Report vol.46/2023年8月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。
HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE エスコンフィールドHOKKAIDO
所在地/北海道北広島市Fビレッジ
事業主/株式会社ファイターズ スポーツ & エンターテイメント
設計/株式会社大林組、HKS
建設/株式会社大林組、岩田地崎建設株式会社
総合演出創出システム構築/パナソニックコネクト株式会社
オープン/2023年3月
主な設備
● 1kW相当LED投光器 ● 2kW相当LED投光器 ● LEDベース照明 ● ランターナ ● バイオシャドー ● デジタルサイネージ ● KAIROS ● S-CMS ● ナノイーX発生機 ● ジアイーノ ● ナチュラルチラー