渋谷保育園
テクノビームの剛接合梁(木化粧)によって実現した
奥行7.3mのスパンが確保された2階ホール
“狭い搬入路”と“広い遊戯室”という課題を解決した「テクノストラクチャー」
渋谷区は幼児教育と保育を継続的・一体的に行う保育一元化施設の整備を進めている。
そのひとつがJR原宿駅から徒歩10分の渋谷保育園。地域に親しまれた旧園舎ではあったが、老朽化のため隣地への移転・再整備が計画され、公募型プロポーザルにより設計・施工を一括して行う事業者として升川建設株式会社が選ばれた。「プロポーザル仕様書には木造や鉄骨造の指定はなく、工法の選択が最初の課題だった」と升川建設建築部の麦田良洋氏。「現地は搬入路が4m道路しかなく、重量鉄骨は搬入が困難。とはいえ、これまでの経験から保育所には短方向で6m以上の空間が必要だと認識していたので、木造で大空間を造り出すのは難しいと判断し、木と鉄の複合梁「テクノビーム」を用いるテクノストラクチャー工法を採用した。
テクノビームの剛接合梁なら10mのスパンが実現でき、分割した梁の現場接合も可能。今回の提案で特徴的なのは、2階の保育室とフルフラットでつながるウッド仕上げのバルコニーにより、室内外の段差を解消した点で、ここに3.4m×6.76m、深さ60cmのプールを設けた。室内外が一体の空間となり、子どもが回遊し水遊びもできる楽しい空間が創り出せたと思う」と語る。
建築設計Report vol.35/2020年11月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。
保育室とフラットに繋がる2階バルコニーに設置されたプール。
奥行きのあるバルコニーは雨の日も外遊びができ、園児・保育士ともに好評
バルコニーを支える多数のテクノビーム
2階バルコニーと保育室をフラットに支える段差テクノビーム
テクノビームが剛接合されている上棟時の2階遊戯室
10mスパンが確保された2階遊戯室
幅員が4mの狭い搬入路
車椅子対応の小型エレベーター
渋谷保育園
所在地/東京都渋谷区神宮前
事業主/渋谷区
設計・施工/升川建設株式会社
竣工/2020年2月
建築工法/テクノストラクチャー工法
主な設備
● LED照明器具 ● 小型エレベーター XLウェルハートV ● アラウーノ