ところざわサクラタウン
2階レベルにある角川武蔵野ミュージアムの外壁ライトアップ
COOL JAPANを世界に発信するまちとしての文化複合施設
2020年11月、埼玉県所沢市に、工場や物流施設、オフィス、ミュージアム、イベントホール、ホテルなど、多様な施設によって構成された「ところざわサクラタウン」がオープンした。2014年に約4万m2にわたる浄化センター跡地を事業者公募で取得したKADOKAWAは、所沢市と共同で緑・文化・産業が調和したまちづくりに取り組む「COOL JAPAN FOREST構想」を締結している。
「ここはKADOKAWAグループが手掛けているさまざまな事業を融合した複合文化施設。めざしたのは、多様な施設が渾然一体となる『まち』を創り出し、地域に貢献すること。このため、塀などを設けず開放的なものとして、市民が自由に行き交い交流できるようにした」と語るのは株式会社KADOKAWA レクリエーション事業局 渉外部 広報宣伝課の曲淵 優子氏。「現在はコロナ禍によりイベントなどに制限があるが、今後は多様なコンテンツの発信を強化し、多くの人が訪れることで、所沢全体を活性化させていきたい」と語る。
最初に目に入るのは、全体を石で覆われた、61面体で高さ31mの「角川武蔵野ミュージアム」。これにイベントにも対応できる中央広場を挟んで、手すりにエキスパンドメタルを用いたデッキが巡る5階建ての本棟が連なる。ここには出版物の製造・物流機能、オフィス「KADOKAWA 所沢キャンパス」に加え、飲食・物販店舗、最上階にはホテルも設けられている。設計を担当したKAJIMA DESIGN チーフアーキテクトの星野 時彦氏は「敷地の高低差を利用して千人テラスやデッキを配置することで各階を屋外で立体的につなぎ、まちの魅力を生み出すように動線計画にも配慮した。また、夜も魅力的にするためライトアップにも気を配った。とくに、ミュージアムは石造りの多面体なので模型やCGによるシミュレーションだけでなく、実際に光を当てて光源や照度を確認。結果として、夜景も素晴らしい空間になった。今後も人が集うまちとして成長していってほしい」と語る。
● 2021年 北米照明学会照明賞 メリット賞受賞
建築設計Report vol.38/2021年8月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。
左奥は本棟、右は角川武蔵野ミュージアム
オフィスや印刷工場などが入る本棟を北西から望む
最大1,000人収容可能な階段状の屋外イベント広場「千人テラス」
最適な照明効果が発揮できるように建築との収まりが検討された
スタンディングで1,800人、着席で650人を収容できる「ジャパンパビリオン」のホールA
松岡 正剛氏が本棚を編集したミュージアム4階のエディットタウン
天井照明が星座のように配置されている
「ジャパンパビリオン」のホワイエ
ミュージアム5階の「武蔵野ギャラリー」
多数の調光型LEDスポットライトが導入された
ミュージアム1階の「グランドギャラリー」
ところざわサクラタウンエリアマップ
ところざわサクラタウン
所在地/埼玉県所沢市東所沢和田
事業主/株式会社KADOKAWA、公益財団法人角川文化振興財団
デザイン監修/隈研吾建築都市設計事務所
設計/KAJIMA DESIGN
ミュージアム内装設計/株式会社丹青社
外構設計協力/株式会社ランドスケープデザイン
施工/鹿島建設株式会社
電気工事/株式会社関電工、住友電設株式会社
オープン/2020年11月
主な設備
● LED建築部材照明器具 ● LEDシーリングライト ● LEDグレアレスダウンライト ● LEDスポットライト ● LED建築化照明器具 ● LED投光器 ● 照明制御システム