久慈市立図書館(2、3階)の2階は児童・青少年向け図書のフロア。天井に地元産白樺材とLEDダウンライトを設置

市の玄関口ににぎわい創出拠点を整備。中心市街地での回遊性を促進

岩手県久慈市は東日本大震災で水産施設を中心に大きな被害を受けた。その後、2016年の台風10号でも久慈駅西側の中心市街地などで東日本大震災を上回る数の建物が被害に遭っている。
中心市街地では近年、商業施設などの郊外移転による、にぎわいの減少が課題になっていた。このため、久慈市は2007年に「第1期久慈市中心市街地活性化基本計画」を策定し、観光交流センターと民間による物産館で構成する「道の駅くじ・やませ土風館」を整備。施設周辺にはにぎわいが生まれたが、東に約500m離れた市の玄関口となる久慈駅前や、施設と駅を結ぶエリアには効果が十分に波及しなかった。これを受け、2014年から中心市街地全体の活性化・回遊性の向上を図る第2期計画に取り組み、久慈市情報交流センターYOMUNOSUが建設された。鉄骨造に白樺や赤松といった地場産材を多用した温かみのある建物で、1階に観光情報を提供する駅前観光交流センターや喫茶コーナー、2・3階に最大15万冊が収蔵可能な久慈市立図書館が入る。図書館では市民の生涯学習活動の支援も推進する。中心市街地における2カ所の拠点は今後、連携して積極的にイベントも行い、市民や観光客の回遊性も高めてさらなるにぎわいを創出していく。

建築設計Report vol.36/2021年2月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

駅前観光交流センター(1階)室
駅前観光交流センター(1階)

3階には一般図書や郷土資料が揃う。地元産赤松材とLED照明器具が一体感のあるデザイン3階には一般図書や郷土資料が揃う。地元産赤松材とLED照明器具が一体感のあるデザイン

市内と三陸鉄道が眺められる展望市内と三陸鉄道が眺められる展望室

プロジェクターによる映像の投影も可能な1階多目的室
プロジェクターによる映像の投影も可能な1階多目的室

読み聞かせが楽しめる2階おはなしのへや
読み聞かせが楽しめる2階おはなしのへや

外光を取り入れた明るい3階学習室
外光を取り入れた明るい3階学習室

電動書架を備えた3階書庫
電動書架を備えた3階書庫

屋上広場を照らすLED投光器
屋上広場を照らすLED投光器

ネ左:ネットワークカメラモニタと非常用放送設備 右:非常電源機能付きソーラー街路灯
左:ネットワークカメラモニタと非常用放送設備
右:非常電源機能付きソーラー街路灯

三陸鉄道とJRの久慈駅前に新しいにぎわい拠点となるYOMUNOSU(右)が誕生
三陸鉄道とJRの久慈駅前に新しいにぎわい拠点となるYOMUNOSU(右)が誕生

久慈市情報交流センターYOMUNOSU(よむのす)

所在地/岩手県久慈市
事業主/久慈市中央
設計/株式会社雷設計事務所
建築工事/宮城建設株式会社・株式会社新田組 特定共同企業体
電気設備工事/高畑電機株式会社
機械設備/株式会社カネヨシ水道工業所
工事竣工/2020年3月

主な設備

● 一体型LEDベースライト iDシリーズ ● LEDダウンライト ● LEDシーリングライト ● ライトマネージャーFx ● ソーラー街路灯 ● 非常用放送設備 ● ネットワークカメラ ● プロジェクター

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