成田国際空港 第2旅客ターミナル
映り込みを避けるために間接照明が低い位置に設けられた到着コンコース。photo by Taku Hata (shokokusha)
海外から降り立つ人を迎える光のゲートウェイ
日本の玄関口である成田国際空港。第2旅客ターミナルビルとサテライトを繋いでいたシャトルが廃止され、約220mの連絡通路には出発旅客のためのカフェやラウンジなどの機能が追加された。連絡通路は内側を出発コンコースとし、それを挟むように両外側に到着コンコースを配置。ここでは、視線を遮る柱のない220mにわたる眺望が提供されている。
到着コンコースに求められたのは、長大なガラスに映り込むことのない照明設計。照明器具を低い位置に設置し、光源が見えないように腰壁とLED器具を一体化したうえで適切な設置角度を算出。さらに、床面への配光を広げるために腰壁のR形状を反射板として活用し、光の反射を検証することで、映り込みのない配光を実現。建築と一体になった照明環境が創り出されている。
到着ロビーでは天井のリノベーションが行われ、吹き抜け部天井は幕材を配置して約1,300台のLED照明で柔らかく照射。器具が目立たないように幕材と一体化した配置計画により、日本の玄関にふさわしい「和の抽象美」を彷彿とさせる。
出発コンコースは既設トップライトを残したR形状の掘上天井。昼は外光を活用し、夜間はトップライト中央部側面に組み込んだ照明器具によりレリーフ壁を照射。レリーフの陰影を演出しながら、明るさ感の高いダイナミックな空間が創り出された。
なお、当該施設は2016年北米照明学会賞の入選物件の中で、上位賞にあたる特別賞「Special Citation」を受賞している。
建築設計Report vol.19/2016年11月発行
幕を照らしながら器具を目立たせない工夫が凝らされた到着ロビー
トップライトや光天井により和の空間を感じさせるラウンジスペース
中央部側面の特注照明でレリーフ壁を演出している出発コンコース

成田国際空港 第2旅客ターミナル
所在地/千葉県成田市
施主/成田国際空港株式会社
設計/株式会社日建設計・梓設計共同企業体
■出発・到着コンコース
施工/株式会社大林組
電気工事/株式会社関電工
竣工/2015年4月
■到着ロビー
施工/前田建設工業株式会社
電気工事/株式会社昭永電設
竣工/2015年4月


