机上面平均照度を500 lxに抑えた4階執務室。空間の明るさ感指標「Feu」を活用し、
照明器具置き換えによる過剰照度の抑制とダウンサイジングを実施することで、消費電力を大幅削減。
左奥に見えるやぐら型のエリアは、清潔・快適な空気環境を提供する「エアリーソリューション」

大規模な躯体改修を行わず
設備改修と運用によりZEB化を実現

2011年、パナソニック京都ビルは「創エネ」「省エネ」「エネマネ」のエネルギーソリューションを取り入れた環境配慮ビルとして建設された。
2023年4月に行った今回の改修は、省エネ性能に優れた照明・空調設備の導入とダウンサイジングにより、設備の最適化と効率化をさらに進める脱炭素に向けた試み。大規模な躯体改修を行うことなく、設備のリニューアルのみで、レジリエンス性も備えたZEB化を実現した。
照明設備では、部屋ごとの照度見直しを行い、全館の照明をLEDに一新。ダウンサイジングを行うとともに、一部オフィスの机上面平均照度を750 lxから500 lxに低減。さらに、調光を行うことで、照明性能指数BEI※1/Lを「0.33」とした。
空調設備では熱源機に高COP※2タイプを採用。室内機には4方向天井カセット形エアコンでファン動力の少ない機種を選定。さらに空調AIクラウド「HVAC CLOUD」を導入し、建物全体の空調システムを一括管理することで、空調性能指標BEI/ACを「0.49」としている。これにより、最終的にBEI値「0.47」を実現し、ZEBReadyを達成した。ZEBプランナーでもあるパナソニックは、今回のノウハウを活かし、既存建物のZEB化を推進することにより、脱炭素社会の実現に貢献していく。

  • 1 Building Energy Index:エネルギー消費性能計算プログラムに基づく、基準建築物と比較した時の設計建築物の一次エネルギー消費量比率。 再生可能エネルギーを除きBEI≦0.50の場合に、ZEBを達成したと判定される。BEI/Lは照明のみの消費量における比率。BEI/ACは空調のみの消費量における比率。
  • 2 Coefficient of Performance:冷房もしくは暖房能力[kW]を消費電力消費電力[kW]で除した数値。大きいほどエネルギー効率が高い。

建築設計Report vol.45/2023年5月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

外光センサにより照明のムダな明るさをカット
外光センサにより照明のムダな明るさをカット

人感センサにより不在時には照明を減光人感センサにより不在時には照明を減光

一部フロアでは省エネ性能の高い4方向天井カセット形のエアコンを導入一部フロアでは省エネ性能の高い4方向天井カセット形のエアコンを導入

ZEB認証の取得に貢献できる高COPタイプ空調熱源を導入
ZEB認証の取得に貢献できる高COPタイプ空調熱源を導入

通常は最大5台に急速充電し、非常時にはEVから電力を供給するV2Xシステム通常は最大5台に急速充電し、非常時にはEVから電力を供給するV2Xシステム

一部会議室には導入しやすい価格で演色性の高い※「映光色(えいこうしょく)」LEDベースライトを設置一部会議室には導入しやすい価格で演色性の高い「映光色(えいこうしょく)」LEDベースライトを設置
※Ra93

設備改修によりBEI値を軽減してZEBを実現

エリア図



パナソニック 京都ビル

■ZEB化リニューアル工事
所在地/京都市南区上鳥羽北花名町
事業主/パナソニック株式会社
リニューアル竣工/2023年4月
延床面積/2,969㎡

主な設備

● 高COPタイプ空調設備 ● 空調AIクラウド ● LEDベースライト ● エアリーソリューション ● V2Xシステム ● ソーラーカーポート


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