大阪商業大学 ユニバーシティ・コモンズ リアクト

ユニバーシティ・コモンズ リアクト低層部の連続アーチは、約80年の歴史を持ち国の登録有形文化財である谷岡記念館のアーチ窓の意匠を継承。1・2階はre-Actモールによって北館・南館に分けられており、北館1・2階は、学生の自習学習を支援し学生たちが議論しプレゼンテーションする場として約500坪の広さのラーニングコモンズを擁し、用途に応じて自在にレイアウトできるイベントエリアやプレゼンテーションエリア、国際交流エリアなどを配置。2階にはプロジェクターと投影可能なホワイトボードを備えたワークショップエリアや英会話ブースを備えた語学トレーニング広場、地域交流スペース、創業支援を行うインキュベーション施設が配されている。
3階には、すべてガラス張りで互いの活動を『見る』『見せる』ことで互いに反応し刺激し合うことを重視したミーティングルームをはじめ、静寂な環境の中で活発に意見交換ができる「セミナールーム」などを配置。「ミーティングルーム」では照明の調光調色制御により室内の色温度や照度を変化させ、プレゼンテーションに合わせた環境づくりが可能となっている。さらに、4階にはバスケットボールやバレーボール競技が可能な天井高10mのアリーナも設けられている。
また、計画にあたっては、環境配慮型ビルとして、自然エネルギーを最大限利用しながら省エネ性能に優れた先進のビル設備を採用。躯体側では、自然換気や自然採光を行うとともに、高効率の照明・空調設備を導入し、中央監視システムによって各サブシステムを最適制御。また、BEMSにより細やかなエネルギー管理に対応。さらに、屋上の太陽電池モジュール50kWが発電した電気をビル全体の照明・空調などの消費電力の一部に利用するなど、省エネルギーに対する多彩な工夫が込められている。特に、1・2階で注目されるのが画像人感センサ。広い面積のラーニングコモンズでは個人が自由に利用するので人のいない場所の照明を制御する必要があるが、赤外線センサでは学習中の学生が動かないと消灯してしまう。そこで、画像によって人の在・不在を判断する画像人感センサを採用して動かない人も感知。これにより、広いスペースで省エネを実現しながら、快適な学習環境を提供している。

建築設計Report vol.23/2017年1月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。