• 美星町の星空を守る(岡山県井原市美星町観光協会)
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» 美星天文台HP「星空写真」より

日本初、IDA認証光害対策型LED照明器具を開発

2020年1月、パナソニックが開発した光害対策型のLED道路灯・防犯灯が日本のメーカーとして初めて※1、国際ダークスカイ協会(IDA)に「星空に優しい照明」として認証された。IDAは光害問題に対する取り組みにおいて、世界的に先導的な役割を担うNPO団体で、米国に本部があり、世界18カ国に60以上の支部を有する。光害対策型LED照明器具の開発は、岡山県井原市からの協力依頼に端を発している。井原市の美星町観光協会は、IDAが2001年に始めた、光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える「星空保護区®️認定制度」※2の認定取得を準備中であり、その基準を満たす屋外型照明器具を必要としていた。

  • 1 国内メーカーにおけるIDA認証器具として(2020年2月20日現在 国際ダークスカイ協会 東京支部調べ)
  • 2 「星空保護区®️認定制度」には6つのカテゴリーがあり、美星町観光協会は「ダークスカイ・コミュニティ」での認定をめざしている。
    » 国際ダークスカイ協会 東京支部(IDA東京)

天体観測の好適地、美星町

岡山県は晴天率が高い「晴れの国」として親しまれているが、井原市美星町はなだらかな高原に位置することから気流も安定。星のまたたきが少ないのでクリアな画像で天体観測や撮影ができる。また、夜空を明るくする人工光が少なく、以前から天文愛好家の間では天体観測好適地として知られてきた。 1987年、環境庁(当時)が自治体レベルで「全国スターウォッチングコンテスト」を実施。その観測結果から美星町は「星空の街」の一つに選定された。星空を守って欲しいとする天文愛好家の声も後押しとなり、美星町は全国の自治体にさきがけて光害防止条例制定へ歩みだした。井原市美星支所 美星振興課の伊達卓生さんは、「当時は光が害になるという認識がない時代。環境庁も条例制定は時期尚早ではと話していた。私達は環境庁に相談したり、シンポジウムを開いたりして勉強した」と話す。

岡山県井原市美星支所 美星振興課 課長補佐 伊達卓生さん

岡山県井原市美星支所 美星振興課
課長補佐 伊達卓生さん

日本初の光害防止条例、制定

1989年、美星町は日本初の光害防止条例を制定。屋外照明は午後10時以降の消灯を推奨、水平以上に光が漏れないようにするなどを明記した。1993年には美星天文台がオープン。天文関連のイベントも実施されるようになり、人々の関心も高まっていった。
その頃、町内では防犯灯として多数の白色蛍光灯が設置された。その後のLED普及に伴い、2011年頃から順次、白色LED防犯灯に置き換えられていったが、約400基ある白色蛍光灯・白色LED防犯灯からは上方への光漏れが生じ、条例の基準を満たしていない状態となっていた。

まちの誇りである星空を守りつつ、観光資源とする

IDAの「星空保護区®️認定制度」に関する情報が、美星天文台から井原市地域創生課(当時)の藤岡健二さんにもたらされたのは2016年だった。「美星町こそ星空保護区®️にふさわしい」と考えた藤岡さん達は、同年にIDA東京支部を訪問。以降、代表の越智信彰さんとの意見交換や、環境保護イベントによる啓発活動を推進していく。そうした中、美星町観光協会でも、先人が築き上げてきた「美しい星空」環境が失われてしまうのではないかといった危機感を持つようになり、これらがきっかけとなって、2019年3月には美星町観光協会が井原市の全面協力のもと、「星空保護区®️」認定取得をめざすことになった。認定を機に美しい星空、自然環境の保護をめざすとともに、まちのブランド価値を向上して住民の誇りと一体感を醸成したい。また、観光を通して地域経済への波及効果も期待する。そうした挑戦がスタートした。

岡山県井原市 未来創造部 定住観光課課長補佐兼観光係長 藤岡健二さん

岡山県井原市 未来創造部 定住観光課
課長補佐兼観光係長 藤岡健二さん

厳格な基準をクリア、日本メーカー初の認証品が誕生

2019年3月、井原市魅力発信課(当時)はパナソニックを訪問し、美星町観光協会の取り組みについて協議。パナソニックはその趣旨に賛同、協力していくこととなった。
「星空保護区®️」における屋外照明の基準では主に、眩しさを必要最小限に抑えつつ、星空を見えにくくする上方への光の漏れが一切ないこと、青色光が少ない電球色となる3000K以下の色温度であることが求められている。
パナソニックはまず、美星町の既存の白色防犯灯に代わる、電球色LEDのモデル照明器具を提供。一部を現地に設置してテストを行ったが、IDAの越智さんから上方への光漏れがあるとの指摘があった。そのため、市・美星町観光協会は改めてパナソニックを訪問。基準に適合する照明器具の開発を要請した。
これを受け、パナソニックは防犯上、必要な明るさを保って住民の安心・安全を確保するとともに、IDAの基準を満たす照明器具の開発に着手。上方光束率0%かつ、色温度3000K以下の仕様となる特注品を開発し、2020年1月に2機種が認証を取得するに至った。

美星町に試験設置した照明器具について語る伊達さん

美星町に試験設置した照明器具について語る伊達さん

美星町内に設置されている白色LED防犯灯
美星町内に設置されている白色LED防犯灯

試験設置したカットルーバ付きの電球色LED防犯灯
試験設置したカットルーバ付きの電球色LED防犯灯

験設置した照明器具(手前右)と既存の白色LED防犯灯(左奥2灯)

試験設置したカットルーバ付きの電球色LED防犯灯(手前右)と既存の白色LED防犯灯(左奥2灯)

試験設置した防犯灯が優しい光でまちを照らす

試験設置した防犯灯が優しい光でまちを照らす

IDA認証 光害対策型防犯灯
IDA認証 光害対策型防犯灯

IDA認証 光害対策型道路灯
IDA認証 光害対策型道路灯

「星空保護区®️」認定に向けて

美星町観光協会は、既存の防犯灯を交換する資金の一部を自主調達するため、2020年1月14日〜2020年2月28日にクラウドファンディングを実施。資金は星空を次世代に引き継ぐための光害啓発プログラムにも活用する。「美星町のかたがたには、星空に優しい防犯灯に交換することをご理解頂くことになるので、美星町観光協会と連携して丁寧に発信をしていく」と未来創造部定住観光課課長の多賀章治さん。その上で、防犯灯の交換、「星空保護区®️」への認定申請へと取り組みを加速させる予定だ。
過剰な光が害になると認識しなかった時代から、人の暮らしと星空の共存が期待される時代へ。明るい照明をつくってきたパナソニックも、今後さらに光害対策への対応を進める。今回の器具開発を契機に星空保護にも真摯に取り組み、他自治体からの問い合わせにも対応していく。

美星町に試験設置している照明器具について語る伊達さん

岡山県井原市 未来創造部 定住観光課
課長 多賀章治さん

星空保護の啓発活動の一つとして美星町内に設置されたのぼり。

星空保護の啓発活動の一つとして美星町内に設置されたのぼり

※この記事は2020年2月時点の情報です

美星町の星空を守る(岡山県井原市美星町観光協会)

美星町の星空を守る(岡山県井原市美星町観光協会)

■概要
事業主/岡山県井原市美星町観光協会
所在地/岡山県井原市美星町
美しい星空を守る美星町光害防止条例、制定/1989年11月22日
パナソニック製モデル照明の現地検証/2019年7月8日
「星空保護区®️」適合照明器具の開発をパナソニックに要請/2019年9月11日
パナソニックが開発した照明器具をIDAが認証/2020年1月8日
クラウドファンディング実施/2020年1月14日〜2020年2月28日

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