陰影のアクセントが付けられた屋上の宮下公園。中央はホテル「sequence MIYASHITA PARK」

都市公園と複合施設が融合した みどりの都市インフラ

1966年に開設された旧宮下公園は、下層に都市計画駐車場を擁した人工地盤上の「東京初の屋上公園」として、多くの人に親しまれてきた。開設後50年以上が経過し、老朽化や耐震性能などが課題となったためPPP※1(官民連携事業)による建替えが行われた。
一部を除いて公園自体を地上約17mに設け、その下3層に賑わいとしての商業施設、地下に都市計画駐車場、そして原宿駅側端部に高層ホテルを配置した複合施設が「MIYASHITA PARK」。施設が融合し、相乗効果を生みながら、多種多様な人びとの交流やライフスタイルを受け入れる、良質な都市インフラとなることがめざされた。
立体都市公園制度※2を利用した公園では、街路からの動線や見え方などに留意され、南北端部には大階段とシースルーエレベーターやエスカレーターを配置することにより、渋谷駅・原宿駅側からのスムーズな動線を確保。中央の美竹通りには南北を繋ぐブリッジが架けられ、両サイドから屋上まで登れる象徴的な大階段が設けられている。
約330m連なる商業施設では、その賑わいが街路に溢れ出るよう、約7割の共用部がオープンエアモールとされ、ここでも植栽と家具を配することで、公園のように過ごせるパークスタイルの新しい商業施設が追求されている。
また地上約17mの公園では、地上や街路と一体となるようにツインアーチ状のキャノピーを連続。ここを垂直緑化することで、施設全体が緑の天蓋で覆われることが計画されている。
照明計画を担った岡安泉氏は「上への行きやすさや建物が縦に繋がっていることを照明で示すとともに、屋上の公園ではあえて明るい場所と暗い場所にメリハリをつけ、利用する人が場所を選択できるように配慮した」と語る。

建築設計Report vol.35/2020年11月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

明治通りに向けて開かれた緑あふれるオープンデッキ
明治通りに向けて開かれた緑あふれるオープンデッキ

インナーモールにランダムな光だまりを造り出す2灯用システムライトインナーモールにランダムな光だまりを造り出す2灯用システムライト

渋谷駅側エントランスに設置されたカラー演出エレベーター
渋谷駅側エントランスに設置されたカラー演出エレベーター

東側では電球色照明により横町を演出
東側では電球色照明により横町を演出

垂直緑化で緑の天蓋を造り出すツインアーチ
垂直緑化で緑の天蓋を造り出すツインアーチ

ボルダリングウォールを照射する投光器
ボルダリングウォールを照射する投光器

MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)

所在地/東京都渋谷区渋谷
PPP事業主/渋谷区
事業主/三井不動産株式会社
設計施工/株式会社竹中工務店
プロジェクトアーキテクト/株式会社日建設計
照明監修/岡安泉照明設計事務所
オープン/2020年7月

主な設備

● LEDスポットライト ● LED街路灯 ● LEDシステムライト ● LEDフルカラー投光器ダイナワン ● LEDフルカラーアーキライン  ● LEDダウンライト ● LEDベースライト ● プライベート・ビエラ

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