- オランダ・アムステルダム
オランダ・アムステルダムの訪問レポートを3つのオフィス事例(Ingka Group、ING Bank、Uber)を交えてご紹介いたします。
働き方が大きく変化する中、オフィスは単なる作業空間ではなく、ウェルビーイングや企業文化を体現する場へと進化しています。アムステルダムは歴史と革新が融合するヨーロッパの都市として、こうした変化を先導する存在です。本コラムでは、まずアムステルダムという都市の特性と働き方の背景を概観し、その後、現地で訪問した3つの先進的なオフィスのうち、Ingka Group (IKEA)の事例をご紹介します。
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オランダ・アムステルダムの訪問レポートを3つのオフィス事例(Ingka Group、ING Bank、Uber)を交えてご紹介いたします。
働く環境に求められる価値が多様化する中で、都市の文化や姿勢がオフィス設計に与える影響はますます大きくなっています。アムステルダムは、歴史的な魅力と革新性を併せ持つ都市として、働き方の進化を支える土壌を備えています。今回の訪問では、そんな都市の背景を踏まえながら、ウェルビーイングを重視したオフィス事例を通じて、空間づくりの最前線を見てきました。
アムステルダムは、750年の歴史を持ちながらも、今なお進化を続けるヨーロッパの創造都市です。運河沿いの街並みや歴史的建築が残る一方で、テクノロジーやデザインの最先端を走る企業が集まり、都市全体が過去と未来をつなぐ舞台となっています。また、多様な産業が集積し、国際的な人材が流入することで、都市の活力が高まっています。
働き方としてはハイブリッドワークが広く浸透しており、水曜日を在宅勤務とする企業も多く見られます。オフィスは日々の出勤を前提としたものではなく、チームの協働や創造的な交流を促す「集う場」として再定義されつつあり、従業員主導の柔軟な働き方が尊重されている点は他の都市とは一線を画していると言えます。
一方で、住宅費の高騰やオフィススペースの不足といった課題もあり、企業は不動産戦略の見直しを迫られています。伝統的な市街地に加え、ザイダスやアムステルダム・ノールトなどの新興エリアがアクセス性と空間の柔軟性で注目を集めています。
こうした変化に呼応するように、オランダの建築家やデザイナーは、進歩的なワークプレイスデザインに挑み続けています。施設管理に関する学術的な研究基盤も強く、理論と実践が融合した空間づくりが可能となっているのもアムステルダムならではの強みです。
さらに高速デジタルインフラ、自転車専用道路、公共交通機関の整備など、都市インフラの充実もハイブリッドワークを支える重要な要素です。働く人々が場所に縛られず、快適に移動しながら働ける環境が整っています。
アムステルダムのオフィス文化は、都市の多様性と柔軟性を反映しながら、働く人の幸福と企業の持続可能な成長を両立させる空間づくりを推進しています。次章では、実際に訪れた3つの企業の事例を通じて、その具体的な取り組みを見ていきます。
※WORKTECH Academy Trend Report Q1 2025より再構成
世界的に有名な家具販売店であるIKEAを運営するIngka Groupでは社員同士の自然な会話やブランドの一体感を大切にしながら働く環境を整えています。自社の家具を活用した空間設計や健康的な食事を支援する仕組みなど、ウェルビーイングを支える工夫が随所に見られました。ハイブリッドワークが進む中でも、オフィスに集う価値を高めるための空間づくりが印象的で、働く人の心と体の健康を支える場としての役割が強く感じられました。
このオフィスに足を踏み入れてまず目に入ったのは、社員同士が気軽に集まり、会話を交わせるよう工夫された空間の数々でした。自社の家具を活用したミーティングスペースが随所に配置され、働く人の距離を自然に縮める設計が印象的です。ブランドとしての方向性を共有する場も多く、企業文化の浸透に力を入れている様子が伝わってきました。空間は形式ばらず、誰もがリラックスして意見を交わせる雰囲気に包まれており、組織の一体感を育む場として機能しています。
働き方はリモートと出社を組み合わせたハイブリッド型。オフィスの出入口に設置されたカメラで出社状況を計測し、空間の使われ方を分析しています。個人を特定しない形でデータを活用し、働き方の変化に合わせて柔軟に空間を調整している点が印象的でした。オフィス改修は5年周期で行われ、常に働きやすさをアップデートする姿勢が見られます。こうした継続的な改善が、社員の定着や満足度向上にもつながっているようです。
ウェルビーイングの観点では「食」の工夫が特にユニークでした。社員食堂では健康的なメニューほど価格が安く設定されており、自然にバランスの取れた食生活が送れるようになっています。食を通じて社員の健康を支えるだけでなく、企業としての価値観を体現する場にもなっていました。さらに卓球台やカフェコーナーなど、従業員を職場へ惹きつけ、交流を促すためのポジティブな刺激と体験を盛り込んだ空間づくりが実践されています。
デザイン面では白と木材をベースにIKEAらしい青と黄色、そして明るい原色がアクセントに使われた北欧スタイル。エントランスや食堂など人が集まる場所には広がりを感じさせる配色が施され、軽やかで親しみやすい雰囲気。一方で、執務エリアは落ち着いた色合いとシンプルな家具で構成されていて、集中しやすい環境が整っていました。空間全体が、働く人の多様なニーズに応える柔軟性を備えており、企業のアイデンティティと社員の快適性が見事に融合していました。
今回の記事ではIngka Group (IKEA)の事例をご紹介しました。
今回訪れた3つのオフィスはそれぞれ異なる業種・文化背景を持ちながらも、共通して「人を中心に据えた空間づくり」を追求していました。企業の価値観や働き方の方針が空間設計にまで丁寧に反映されており、ウェルビーイングは単なる福利厚生ではなく、組織の根幹に関わるテーマであることを改めて実感しました。
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オランダ・アムステルダムの訪問レポートを3つのオフィス事例(Ingka Group、ING Bank、Uber)を交えてご紹介いたします。