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従業員のウェルビーイングを高める働く環境とは?採用にもつながる快適なオフィスづくりをコンサルタントが解説!

従業員のウェルビーイングを高める働く環境とは。採用にもつながる快適なオフィスづくりをコンサルが解説
本記事の概要
  • 働く環境に対して、ウェルビーイングを重視する求職者が増えていることを解説します。就活・転職者のアンケート調査において約6割が「健康経営に取り組むことが就職先の決め手になる」と回答するなど、データも紹介します。
  • 快適なオフィスには、意匠性と機能性が求められています。それを兼ね備えたオフィスは従業員のエンゲージメントを高め、生産性向上につながります。また、就活生にも好印象を与えます。
  • オフィスづくりには、専門的な知見や経験、ノウハウが必要です。パナソニック株式会社がニーズ分析からコンセプトづくり、改善方法の提案までウェルビーイングなオフィスづくりをサポートしていることを説明します。
村上 昌史

監修者
パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社
ソリューションエンジニアリング本部
Wellエンジコンサルプロジェクト
村上 昌史
(MURAKAMI YOSHIFUMI)

近年は人的資本経営を推進する企業が増え、その一環としてウェルビーイング向上に取り組む健康経営に注目が集まっています。人的資本経営と健康経営の関連性はどのようなものでしょうか。ウェルビーイングなオフィスづくりは健康経営とも重なり、そこで働く従業員のエンゲージメントを高めます。また、人手不足が深刻化するなか、人材確保にもつながるため、多くの企業が着目しています。

本記事では、ウェルビーイング向上を目指す快適なオフィスをつくるにはどうしたらいいのかを、経験豊富なコンサルタントが解説します。

人的資本経営と健康経営の関連性

現在は人的資本経営の一環として、健康経営に注目が集まっています。背景には、投資家が人的資本経営に注目し、健康経営への関心が高まっていることが挙げられます。このテーマでは、健康経営と人的資本経営の関係性をひも解きます。

人的資本経営と健康経営とは

まずは人的資本経営と健康経営について、それぞれどのようなものなのか説明します。

人的資本経営とは

経済産業省は人的資本経営を、「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」と定義しています。人材は価値創造の源泉である「資本」であり、従業員への投資は経営戦略・施策の推進を支える基盤として財務指標の改善や資本効率の向上をもたらし、企業価値の向上につながるものだと認識されています。

経済産業省が「人的資本経営の実現に向けた検討会」の報告書として、2022年に公表した「人材版伊藤レポート2.0」では、人的資本経営の取り組みに向けたさまざまなアイディアが提供されています。なかには、「社員が能力を十分に発揮するためには、社員がやりがいや働きがいを感じ、主体的に業務に取り組むことができる環境の整備が重要である」と記され、それが従業員エンゲージメントにつながることが明記されています。

従業員エンゲージメントとは

健康経営とは

健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取り組みが将来的に収益性を高める投資であると考え、経営的視点を持って戦略的に実践することです。企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上など組織の活性化をもたらします。その結果、業績向上や企業価値向上にもつながる取り組みとして期待されています。

健康経営と健康投資の関係

健康経営の健康とは、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」、つまりウェルビーイングのことを指しています。

健康経営につながる
オフィス環境改善

人的資本経営と健康経営の関連性

人材版伊藤レポート2.0には、「健康経営への投資とWell-beingの視点の取り込み」も盛り込まれています。そこには、健康経営を実践することは社員の健康保持・増進によって生産性や企業イメージを高めるだけでなく、組織の活性化や企業業績の向上も期待されることから、経営陣に求められる重要な取り組みの1つであると述べられています。

そして、ウェルビーイングは心身を健康にするだけでなく、熱意や活力を持って働くことを実現し、社員のエンゲージメントの向上につながる重要な視点であると指摘されています。近年ではこうした認識が浸透してきており、従業員のウェルビーイング向上のための健康づくりを「コスト」ではなく「投資」として捉え、人的資本投資の一環として健康経営に取り組む企業も増えてきています。

ウェルビーイング投資

従業員の多くが働く環境のウェルビーイングを重視

現在は働く環境に対してウェルビーイングを重視する求職者が増え、それに伴ってウェルビーイングな職場環境へのニーズが高まっています。

求職者の多くは職場にウェルビーイングを望む

求職者が働く職場に望むことのトップは、心身の健康を保ちながら働けることです。また、就活・転職者に対するアンケート調査では、「健康経営に取り組んでいることが就職先の決め手になる」と約6割が回答しています。

就活・転職者に対するアンケート調査

就活・転職者に対するアンケート調査

「職場のウェルビーイング」実態調査

パナソニックが実施した調査でも、就職・転職者の「職場のウェルビーイング」重視度は高い傾向がありました。性別や年代に目を向けると男性より女性の方が重視度が高く、また20代と若い世代になるほど「職場のウェルビーイング」を重視する割合が大きくなっています。

また、職場が建物・施設内にある業種では、転職先の職場に求めるウェルビーイング重視度が特に高いという特徴が見られます。そのグラフを確認すると、製造・鉄鋼や医療・福祉、卸売・小売、土木・建設・不動産などが挙げられます。

「職場のウェルビーイング」実態調査

職場のウェルビーイングへの取り組みに対する重視度

従業員のウェルビーイングが高まるといい人材採用につながる

就活生や転職者が働く環境にウェルビーイングを重視する傾向があることから、ウェルビーイングな職場を備える企業は、いい人材採用が期待できるといえます。また、健康経営度の高い企業の方が離職率も低い傾向にあります。

厚生労働省と経済産業省の調査によると、全国平均の離職率が11.1%なのに対して、健康経営に積極的に取り組んでいる企業の離職率は2.2%と、全国平均の約1/5にとどまっています。人手不足が深刻化する現在、職場のウェルビーイングに対する取り組みは人材確保につながるといえるでしょう。

働く環境のウェルビーイングとは

ウェルビーイングは広い概念で、肉体的・精神的・社会的な要素が絡んでいます。そうしたさまざまな要素をどのように把握し、ウェルビーイングにアプローチしたらいいのでしょうか。その答えの1つが、WELL認証です。

なぜならWELL認証の評価項目は「オフィス空間をウェルビーイングに紐づけている有益な指標」だからです。科学者の専門的な知見や研究結果を結集し、エビデンスを取り入れた客観性の高い評価システムです。

パナソニックの調査でも、WELL認証を取得したオフィスでは、全般的に社員満足度が大幅に向上しています。調査では、WELL認証の評価項目である空気質や飲料水、明るさ、音、温熱快適性、レイアウトの使いやすさなどについて満足度を質問しています。また、仕事への意欲や健康的に働けているか、仕事を通じて価値ある時間を過ごしているか、といった質問事項もあります。

それらの結果を見ると、社員満足度が大幅にアップしています。こうしたことからも、オフィスの改善・改修を実施する際には、WELL認証を軸にしたオフィスづくりをご提案し、お客様とともにウェルビーイングなオフィス環境にアプローチしたいと考えています。

ウェルビーイングとは

柔軟な働き方に対応し、従業員のウェルビーイングを高める『快適なオフィス』

現代に求められている快適なオフィスとは、どのようなものなのでしょうか。それは「意匠性」と「機能性」を兼ね備えたオフィスがポイントになっています。

快適なオフィスには「意匠性」と「機能性」が求められる

快適なオフィスには「意匠性」と「機能性」が求められる

例えば、就活中の学生が企業見学に来た場合を考えてみましょう。綺麗にデザインされた大学が、もし就活生がオフィスに対して意匠性や機能性に疑問を感じたとしたら、モチベーションを下げてしまう側面はあるかもしれません。

企業に対して好印象を持った就活生からよく耳にするのは、「ここで働いているイメージが湧いてきた」という感想です。これはオフィスづくりのヒントといえるのではないでしょうか。企業が従業員を大切にし、ウェルビーイングな職場づくりをしているからこそ、見学に来た就活生には「人が生き生きと働いている姿」が印象的だったのでしょう。

そういう光景は、就活生の心に響くはずです。そして、それが就活生のエンゲージメントにつながるのではないでしょうか。従業員が生き生きと働く環境を考えると、快適なオフィスには意匠性や機能性といった要素が含まれることは大きな要素と考えられます。

ハイブリッドワークやABW、オンライン会議などに対応するオフィスに求められる機能とは?

コロナ禍で、一気にテレワークが進みました。最近はオフィス回帰の動きがあり、ハイブリッドワークも珍しくありません。柔軟な働き方はウェルビーイングにつながりますが、同時に「ワークスタイルの多様化に伴うコミュニケーション機会の減少」といった課題にも対応しなければなりません。

そのブレークスルーの1つが、次のようなオフィスです。下記の例では、コミュニケーション空間をエントランス活動の動線上にある「活動の中心」に移動させました。近年は職場内の禁煙化の進展に伴って喫煙所を閉鎖する企業が増えており、そうした流れを反映し、喫煙所閉鎖後の場所を活かして従業員がリラックスできる空間をつくっています。

コミュニケーション空間をエントランス活動の動線上にある「活動の中心」に移動

機能性、人間が感じる快適性、従業員のウェルビーイングを叶えるオフィスとは?

従業員のウェルビーイングを叶えるオフィスとは、どのようなものでしょうか。下記を例に挙げて、コミュニケーション空間という観点で具体的に見ていきましょう。

SWITCH SPOT

パナソニックが提案する「SWITCH SPOT」では、照明や音響などの効果を活用しつつ、自然の要素を取り入れることで、人間の感じる快適性を追求しています。自然の心地よさを想起する演出によって、気分転換と交流を同時に促進することをねらっています。このコミュニケーション空間は、業務間の隙間時間における気持ちの切り替えや、雑談の場として活用されています。

オフィス改修でよくある間違い

オフィス改修には、難しい側面もあります。このテーマでは、よかれと思った取り組みが逆にウェルビーイングを損ねてしまう「よくある間違い」を紹介します。

落ち着いた雰囲気を演出した結果、オフィス全体の照度が落ちてしまった

従業員がリラックスして働けるよう、カフェ風の落ち着いた雰囲気にしようとして、オフィス全体の照度を落としてしまうことは、案外多くあるケースです。

休憩スペースに落ち着いた雰囲気を演出するのは理解できますが、仕事に集中したい執務エリアには不要で、生産性に影響を及ぼす可能性があります。執務エリアは仕事のためのエリアです。つまり、用途に応じてゾーンを明確に区分することが大切です。

自然の癒しをもたらそうと、オフィスに滝の音を流してしまった

よく見られるケースの1つには、音に関するものもあります。自然を感じさせる音、例えば滝の音を執務エリアで流してしまうなどです。働く側からすると、仕事に集中している人の様子を見ながら滝の音を聞くことになります。そうすると、視覚と聴覚との間にギャップが生じ、違和感を抱く人もいます。

仕事をする場所、コミュニケーションをとる場所、休憩する場所、それぞれに適した音や音量があります。快適なオフィスづくりにおいて「ゾ―ニング」の考え方は重要です。緑の多い休憩スペースでは照度を落とし、音もその環境に一致させるなど、人間の感覚が一致するような工夫が空間ソリューションの考え方の基本です。

ウェルビーイングなオフィスづくりやオフィス改修で困ったら専門家に相談しよう

「オフィス移転を機に、オフィスを見直したい」「オフィスを改修してウェルビーイングなスペースにしたい」と考えている企業も多いのではないでしょうか。ただ、オフィスづくりには専門性が必要です。

パナソニックもウェルビーイングなオフィスづくりのサポートをしており、そのコンサルティングの一端を紹介します。

ウェルビーイングなオフィスづくりの専門家とは

お客様からご相談を受け、最初に実施するのは「ニーズ分析」です。経営層や従業員にヒアリングして、企業全体の思いや考えを把握するところから始めます。そして、オフィスのコンセプトづくりや改善方法を一緒になって考えていきます。アンケート調査を定期的に実施した上で、長いスパンでよりよい改善点を一緒に見出していくことも可能です。

パナソニックは人間工学に強みがあります。老舗メーカーとしての長年の取り組みから培ったノウハウや知見の蓄積を生かして、空間ソリューションの分野でもウェルビーイング視点を取り入れたさまざまなアイディアや技術を用意しています。

私たちは自社のオフィスや空間でWELL認証を取得して知見を高めています。また、Well-Being視点で空間ソリューションをつくるために開設した「worXlab」を活用し、実証実験を繰り返しています。それらの経験をもとに、お客様の建物やオフィスでWELL認証を取得するサポートを行い、実績を重ねています。

それは「オフィスづくりのイノベーションをどうやって起こしていくか」というチャレンジであり、試行錯誤の連続でした。私たちはそうした経験もありのままにお客様にお伝し、「失敗しないオフィスづくり」を強力にサポートしたいと考えています。

それがパナソニックのオフィスコンサルの原点です。

導入事例を紹介

導入事例を紹介

どのようにワークプレイスを取り入れているのか他社様の導入事例を紹介いたします!

パナソニックでは、WELL認証取得支援サービスを実施しています。WELL認証の取得は空間の環境計測から設備改善、申請・審査と対応することが多岐にわたるため、この支援サービスでは測定業務や申請資料の作成など実務サポートも行っています。

創業から100年以上、生活家電など多彩な製品開発を通して、人々が快適に暮らす環境づくりをしてきました。暮らしの快適さを定量的に測り、住空間を改善してきた経験と技術を生かしてウェルビーイングなオフィス空間の実現を支援いたします。

村上 昌史

監修者
パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社
ソリューションエンジニアリング本部
Wellエンジコンサルプロジェクト
村上 昌史
(MURAKAMI YOSHIFUMI)

2002年にパナソニック株式会社(旧松下電工株式会社)に入社。環境心理評価のエキスパートとして居住者心理に配慮した省エネ防御システムの開発を行い、その現場評価を担当。国内にとどまらず、アジア地域にも推進している。その専門性を生かし、現在はWELL認証コンサルタントのリーダーとして取得支援とともに、Well-Beingな空間設備のあり方についてさまざまな提案をしている。

従業員が求めている快適なオフィス

従業員が求めている
快適なオフィス

ウェルビーイング向上を目指す快適なオフィスをつくるために必要な考え方を経験豊富なコンサルタントが解説

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オフィスは1日の大半を過ごす空間でもあるため、オフィス環境を整備することは従業員の健康維持にも直結する重要な取り組みです。働きやすいオフィスと一口にいってもさまざまな定義や基準がありますが、国際的な認証であるWELL認証を取得することで、ESG経営にも貢献できるでしょう。

オフィス移転や改装を考えている方は、健康経営実現のために、ぜひこの機会にWELL認証の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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