蓄電池を用いたLEDフルカラー投光器搭載の照明車によって普段見ることのできない神秘的な夜の氷瀑をライトアップ。
観光客は観光バスから昼とは異なる氷の絶景を鑑賞する(馬門岩)

環境に配慮したライトアップで地域の新たな観光資源を開発

国の特別名勝で天然記念物でもある奥入瀬渓谷は年間を通じた観光客の招致が課題だった。「奥入瀬渓流の新緑や紅葉の風景は多くの人に知られているが、冬の氷瀑や凍結した岩肌の魅力を知る人は少ない。ここは国立公園の特別保護地区なので照明器具が設置できず、夜の氷瀑を見ることは困難だが、手が付けられていないこの自然を堪能できないかと考え、照明車が奥入瀬渓流を移動してライトアップを行うツアーを計画した」と語るのは、十和田市観光商工部 部長 本宿 貴一氏。今回採用されたのは、LEDフルカラー投光器「ダイナペインター」を搭載した照明車で観光バスを先導し、6カ所のポイントで氷瀑や氷柱をライトアップする提案。照明車にはライトアップ投光器と照明コントローラに加え5kWhリチウムイオン蓄電池を搭載。蓄電池から電力を供給するため電源工事や発電機が不要で環境負荷も抑制。狭角と中角の投光器を組み合わせることで照射による生態系への影響も最小限に抑えるように配慮している。このプロジェクトには2017年度から冬期営業を開始した星野リゾート 奥入瀬渓流ホテルや地元観光事業者も参加。国立公園での幻想的な冬の自然景観による新たな魅力づくりが始まっている。

建築設計Report vol.26/2018年8月発行
※会社名、役職名などは掲載時のものです。

木の陰と川面の動きを光で演出している紫明渓

落葉した冬だけ見通せる白糸の滝

カルデラ湖の朝日の移ろいを表現した銚子大滝

投光器と蓄電池を搭載した照明車

中角・狭角・中角、3台のダイナペインター



奥入瀬渓流氷瀑ライトアップ

所在地/青森県十和田市大字奥瀬
施主/十和田市
照明設計/パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
施工/パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社
電気工事/パナソニックESエンジニアリング株式会社
実施期間/2018年1月〜3月中旬

主な設備

● LEDフルカラー投光器「ダイナペインター4」 ● LEDフルカラー投光器「ダイナペインター6」  ● コントローラM ● リチウムイオン蓄電池 5kWh

東北復興ソリューション

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