「消滅可能都市」とは20~39歳の若年女性人口が半分以下になる都市。全国の自治体の半分が、これに該当する。そのうち特に小規模な1万人未満の自治体は2040年に本当に消滅する可能性が高い。この30年間で驚くほど女性の数が減ってしまう社会を迎えようとしている。こういう自治体では、社会保障が最初に崩壊し、医療・介護、子育ての政策が実施できなくなる。
2008年に1億2,800万人というピークを迎えた日本の人口は、2100年にかけて江戸時代に戻るくらい減ることになる。人口減少が下げ止まらないというのが日本の今の姿。
このままでは、地方が消滅して東京にだけ人が集まるという極点社会が生じ、国土利用が極めてアンバランスになる。東京に若者が集中するが、そこは、住宅が狭く、保育所数が足りない、出産、子育て、教育にものすごくコストがかかる場所。結婚できず、出産に踏み切れず、第二子や三子は持てない。こういう悪循環が続いている
20代後半の結婚割合40%を10年間で20%高めて60%にすれば、出生率が1.8になる。次の10年で2.1まで上げると、人口が維持できる水準になる。これがちょうど9,500万人ぐらいのライン。今から3,300万人少なくなるので、多くの地方は消滅の危機に瀕するが、日本全体の人口が安定する。一旦高まった高齢化率が戻り若返る。この若返りが地方から出てくる。地方都市はサイズは小さくなるが、若返った日本の姿が現れる。
もう1つは地方での「コンパクトな拠点」と「ネットワーク」を意識したまちづくり。東京一極集中ではない、地方の拠点に若い人たちの仕事の場を作る投資をして、地方の拠点をこれから強くすること。
コンパクトシティのコンセプトに基づいた市街区の作り直しは必要。職住30分は重要な要素で、そのぐらいの範囲で生活に関する多様な機能が構成されるまちづくりが求められる。地域によっては、今ある空き家を手直しして活用することも必要になる。
地方に若い人たちが残るかどうかは、その土地に「魅力」があるかどうか。地域の歴史や文化を踏まえて、東京に勝るだけの魅力を作り出していくことが重要である。
プロフィール1977年東京大学法学部卒業後、同年4月建設省入省。千葉県警察本部交通部交通指導課長、茨城県企画部鉄道交通課長、建設省建設経済局建設業課紛争調整官歴任後、1995年より岩手県知事を3期12年務めた後、2007年8月より安倍内閣で総務大臣として、国政の中枢として活躍。総務大臣退任後は、2009年4月に野村総合研究所顧問に就任。日本創成会議座長。また、東京大学公共政策大学院客員教授として現在も教壇に立っている。
電力システム改革には3本の柱があり、1本目が広域的運営推進機関をつくること。2つ目の柱が2016年に始まる小売の自由化。その後に来るのが、3本目の柱である発送電分離。
電力自由化とは、小売部門の自由化と発電部門の自由化。小売自由化と発送電分離というのは次元が違う話である。
2018年以降の発送電分離の後で発電会社が生まれるが、小売会社はその前に生まれる。小売側から自由化を始めるのは世界でも珍しく、欧米では先に発送電を分離して自由化してから小売市場を自由化している。日本の場合は順番が逆なので、それを考えて日本のビジネスを組み立てるべき。
電力小売業者の仕事は、ユーザごとの電力使用量データの取り扱いであり、データビジネス。小売会社は料金プランを作成するが、これは発電の選択肢を増やすと同時に、買電コストの上昇というリスクを発生することでもある。
電力自由化により需要のカーブや発電データが可視化できると、需要分析も必要になりデータウェアハウスやデータセンターなど、ICTのビジネスが大きくなる。欧米でも、電力システム改革ではITコストが急増している。
今後は電気だけでなく、サービスを販売することになる。電力小売りはサービスプロバイダーとなるだろう。
需要家向けビジネスとしては、安全・安心、防犯・防災、高齢者見守り、病院と診療所の連携が考えられる。
高齢者の情報を収集しビッグデータを扱うようになれば、住宅における多様なビジネスも誕生する。
太陽光発電や電気自動車との連携も必要になり、新たなビジネスチャンスも訪れる。
プロフィール慶應義塾大学経済学部卒。バンク・オブ・アメリカ東京支店、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社、モルガンスタンレー東京支店等を経て、 1995年に独立系エネルギー・コンサルティング会社であるスプリント・キャピタル・ジャパン(株)、2004年には米国Sprint Capital NW Inc.を設立、現在に至る。三菱総合研究所客員研究員、オレゴン州立大学電気工学コンピュータ科学学部客員研究員などを歴任する一方、国内外のメディアへの寄稿やセミナー講演、日本や海外のエネルギー関係企業に対する助言や調査活動等を行っている。著書に「発送電分離は切り札か」「世界の電力市場の取引監視メソッド」、監訳書に「ヨーロッパの電力・ガス市場」(いずれも日本評論社)がある。
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