INTERVIEW 空間ごとのきめ細かな設計に適切な照明手法で応える技術力 設計者 金内 信二氏 株式会社日建設計 設計部門 設計部長

人の行為や用途に応じて最適な光環境を構築

「多くの人が利用する公共施設の各空間は、これまで均質につくられてきました。でも、各空間の用途や人の行為などに応じて、もっときめ細かな設計があってもよいのではないかと思います」。そう話す日建設計の金内信二氏は、今回、手掛けた成田国際空港第2旅客ターミナルビルのリニューアル設計で、まさにそれを実践した。例えば、同じ到着動線にある空間でも、到着コンコースと到着ロビーとでは、用途はもちろんのこと、旅客の心理状態や振る舞いも違う。
「サテライトの到着コンコースには、ほとんど窓がありません。そこを通り抜けた今回のエリアは長さ220mもの窓をつくれました。それならば、長いフライトを終えた旅客の体内時計が一気に戻るような開放的なコンコースにしようと考えました」と、金内氏は設計の意図を振り返る。一方、その先にある到着ロビーは、入国した旅行者が、日本らしさを感じられるような雰囲気の漂う空間として設計している。そうした空間の実現には、建築と一体的に構築する照明手法が必要だと考えた金内氏が相談をもちかけたのが、パナソニックの技術者だった。

人の行為や用途に応じて空間ごとに最適な光環境を構築

空間に応じた照明手法の選択に
独自の明るさ感指標「Feu」も活用

パナソニックでは、各空間の意図を汲んで、それぞれに適した照明のあり方を模索。空間全体の演出からディテールの設計までを、実験やデータの検証を繰り返しながら絞り込んでいった。なかには、金内氏とパナソニックに、建材会社などの関係者も加わったコラボレーションで知恵を出し合って創出した光環境もある。パナソニック独自の技術も、多くの空間で活用されている。その代表例が「Feu(フー)」と呼ばれる空間の明るさ感指標だ。
照度や輝度といった従来の指標で設計した空間は、必ずしも人間の感覚と一致しない。照明手法が異なると、床の照度が低い空間のほうが、照度が高い空間よりも明るく感じるということもしばしば起こる。そこで、実際に人間が感じる明るさを数値で示す空間の明るさ感指標として、パナソニックはFeuを開発した。「すごく分かりやすいですよね。最適な照明手法を決められるので、明るさをテーマとする空間設計ではとても有用です。クライアントともイメージを共有できます。クライアントも安心感を得られるでしょう」と、金内氏はその意義を話す。

空間に応じた照明手法の選択に独自の明るさ感指標「Feu」も活用

裏付けのある技術で想像を超える提案で応える

「技術力の高いことは、もうよく知っていますから」と言って、金内氏は笑顔を見せる。イメージする建築空間の具現化を試みる設計者にとって、照明は建築に付加する設備ではない。建築の一部を照明器具のように生かしたり、照明が建築の一部に溶け込んだりして空間をイメージする。しかし、そのイメージは本当に成り立つのか、どうすれば実現できるのか、という具体的な検討には、照明技術者の助けが欠かせない。「パナソニックさんならば、どんな課題でも解決してくれるだろうと安心しています。むしろ、いつも想像を超えた提案をしてくれるほどですから」と金内氏は言う。そのパナソニックの強みは、プロダクトの性能や品質はもとより、設計の意図を的確に読んだきめ細かな対応や、数値や実験をもとにした裏付けのある提案にある。

裏付けのある技術で想像を超える提案で応える

打合せで使用されたスケッチの一部

照明デザイナー 金内 信二氏

PROFILE

  • 設計者
  • 金内 信二
  • 株式会社日建設計 設計部門 設計部長

1963年8月5日生まれ。九州大学工学研究科建築学 修了。1989年日建設計入社。
主な実績は、成田国際空港第1旅客ターミナルビル増改築、成田国際空港第3旅客ターミナルビル、
熊本空港国内線第5期増築、九州大学稲盛財団記念館、ヒューリック本社ビルなど。

成田国際空港 第2旅客ターミナルビル LED 技術紹介ページ