COLUMNZEB診断ツール「WEBPRO」入力ガイド【完全版】2026.04.01
「WEBPRO」は、国立研究開発法人建築研究所が公表している建築物のエネルギー消費性能を計算するプログラムです。建築物省エネ法の一次エネルギー消費量(設計値/基準値)やBEIなどを算出して、適合性判定・届出・BELS等の根拠資料のために使います。
WEBPROは、省エネ法適合性判定や ZEB評価を行う際に必要となる一次エネルギー消費量を算出するための必須ツールです。
しかし、初めて利用する人からは必ずと言っていいほど、次の声が上がります:
そこで本記事では、
WEBPROの入力方法 → 画面別ガイド → よくあるつまづきポイント
を 1 つの記事にまとめて解説します。
■まずは「WEBPRO」を利用するステップ
1)公式サイトにアクセス
下記に計算プログラム群が集約されています。
2)入力シート(Excel等)をダウンロード
いきなりWeb画面に手入力するのではなく、まず外皮・設備仕様入力シートなどの所定シートに入力してからアップロードします。
3)図面・設備表を手元に揃えて、入力シートを埋めます
面積(延べ、階別、室別)、用途(室用途)、外皮仕様(U値等)、設備仕様(空調・換気・照明・給湯・昇降機など)を入れます。非住宅は特に室用途名がマニュアルの候補と完全一致していないとエラーになります。
4)Webプログラムにアップロード → 計算実行
非住宅標準入力法の場合は、入力シートをアップロードすると設計一次エネと基準一次エネが出力されます。
5)エラーや警告の修正対応
室用途不正、面積の整合、設備対象外の組合せなどが典型的なエラーです。
マニュアル(入力ルール)に戻って修正し、再アップロードを繰り返します。
6)結果出力(PDF等)を取得
申請・届出で求められる帳票に合わせて、出力を保存します。
WEBPROマニュアルはこちら
実践マニュアル
目次
第1章:WEBPRO入力方法の“全体像”をつかむ
第2章:WEBPRO 画面別・項目別の詳細入力ガイド
第3章:WEBPROで“つまづきやすいポイント”まとめ
第1章:WEBPRO入力方法の“全体像”をつかむ(最初に読むべきパート)
WEBPROの入力は、次の4つの大きな流れで構成されています。
STEP 1:建物情報の入力(基本条件)
- 建物用途(事務所・店舗など)
- 地域区分(1~8地域)
- 省エネ基準の対象範囲
- 外皮計算の有無
☆ ここを間違うと全体がズレるため最重要
STEP 2:室(ゾーン)情報を入力(計算のベースとなる部分)
- 室用途区分(執務室・会議室・倉庫など)
- 室面積・容積
☆ WEBPROは “室別の積み上げ方式” のため、ここが最重要項目。
☆ 設備入力はすべてこの室データに紐づく。
STEP 3:外皮(外壁・窓・屋根)を入力
- 壁の構成(断熱材、材質、厚さ)
- 屋根・床の断熱仕様
- 開口部(Low-E、複層ガラス、サッシ性能)
☆ 外皮性能はBPIや空調負荷に直結するため、ZEB対応では特に重要。
STEP 4:設備を入力(WEBPROの核心パート)
項目は以下の通り:
- 空調
- 換気
- 照明
- 給湯
- 昇降機
- 太陽光発電(必要時)
☆ 設備入力は BEI に直接反映されるため精度が必要
☆ 空調の系統設定ミスが最も多い部分。
第2章:WEBPRO 画面別・項目別の詳細入力ガイド
ここからは各画面を順に解説していきます。
1. 建物情報(プロジェクト設定)
入力内容
- 建物名称
- 地域区分
- 用途区分
- 外皮計算の有無
- 申請分類(新築 / 増改築など)
注意点(つまづき防止)
- 地域区分は建物所在地に合わせる(誤ると基準値が大きくズレる)
- 用途区分は後の室用途の候補変化につながる
- 外皮計算を「あり」にしないと外皮入力ができなくなる
表 1-1-1 都道府県と地域区分の関係
| 地域区分 | 都道府県名 |
|---|---|
| 1地域 2地域 |
北海道 |
| 3地域 | 青森県、岩手県、秋田県 |
| 4地域 | 宮城県、山形県、福島県、栃木県、新潟県、長野県 |
| 5地域 6地域 |
茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、烏取県、島棂県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県 |
| 7地域 | 宮崎県、鹿児島県 |
| 8地域 | 沖絕県 |
2. 室情報(最重要画面) WEBPROの中心となる画面です。
入力項目
- 室名称(任意)
- 室用途区分(執務室、会議室、トイレ等)
- 面積・天井高さ
- 必要換気量
様式1.(共通)室仕様 Rev.2
解説ポイント
- 用途区分に応じて内部発熱、使用時間、換気量が自動セットされる。
よくある失敗
- 用途区分を間違える(例:倉庫なのに執務室として登録)
- 使用スケジュールがデフォルトのままで実態と合っていない
- 換気量が過大のまま(よくあるBEI悪化原因)
3. 外皮入力(外壁・窓・屋根)
外壁入力
- 材料(RC・ALC等)
- 断熱材種類・厚さ
- 熱伝導率
WEBPROが U値を自動計算します。
様式8.(外皮)非空調外皮仕様
開口部(窓)
- ガラス種類(Low-E、複層)
- サッシ種類(アルミ、樹脂、複合)
- 日射遮蔽部材の設定
☆ ZEBでは Low-E 導入が BEI 改善に効く。
表 2-3-1 建具の種類の選択肢
| 選択肢 | 適用 |
|---|---|
| 樹脂製(単板ガラス) | 樹脂製建具(単板ガラスを使用する場合) |
| 樹脂製(二層複層ガラス) | 樹脂製建具(二層複層ガラスを使用する場合) |
| 樹脂製(三層以上の複層ガラス) | 樹脂製建具(三層以上の複層ガラスを使用する場合) |
| 木製(単板ガラス) | 木製建具(単板ガラスを使用する場合) |
| 木製(二層以上の複層ガラス) | 木製建具(二層複層ガラスを使用する場合) |
| 木製(三層以上の複層ガラス) | 木製建具(三層以上の複層ガラスを使用する場合) |
| 金属樹脂複合製(単板ガラス) | 金属と樹脂の複合材料製建具(単板ガラスを使用する場合) |
| 金属樹脂複合製(二層複層ガラス) | 金属と樹脂の複合材料製建具(二層複層ガラスを使用する場合) |
| 金属樹脂複合製(三層以上の複層ガラス) | 金属と樹脂の複合材料製建具(三層以上の複層ガラスを使用する場合) |
| 金属木複合製(単板ガラス) | 金属と木の複合材料製建具(単板ガラスを使用する場合) |
| 金属木複合製(二層複層ガラス) | 金属と木の複合材料製建具(二層複層ガラスを使用する場合) |
| 金属木複合製(三層以上の複層ガラス) | 金属と木の複合材料製建具(三層以上の複層ガラスを使用する場合) |
| 金属製(単板ガラス) | 金属製建具及び上記以外の建具(単板ガラスを使用する場合) |
| 金属製(二層以上の複層ガラス) | 金属製建具及び上記以外の建具(二層以上の複層ガラスを使用する場合) |
屋根・床
- 断熱材
- 熱貫流率
よくある失敗
- サイズだけ入れて性能値を入れ忘れる
- 断熱材厚さの単位(mm と cm)間違い
- 日射遮蔽の設定漏れ
4. 設備入力(核心パート) ここで ZEB の BEI が決まると言ってよいほど重要。
4-1 空調設備
入力内容
- 空調方式(EHP、GHP、チラー等)
- 室外機ごとの系統設定
- 定格能力(冷・暖)
- COP
- 室内機のファン動力
- 室との紐づけ
ZEB向け入力のポイント
- EHPは ZEB で最も有利
- 過大能力設定は BEI が悪化する最大要因
- 系統単位で“負荷率”を必ず確認
よくあるつまづき
- 設備を各室に割り当て先の間違い
- 空調の能力値入力時に、単位を間違える
表 2-7-1 空調機タイプ一覧
| 選択肢 | 適用 |
|---|---|
| 空調機 | 空調機、外調機等 |
| FCU | ファンコイルユニット、 ファンコンベクタ等 |
| 室内機 | パッケージ型空調機の室内機 (EHP, GHP等) |
| 全熱交ユニット | 個別に設置される全熱交換器ユニット (直膨コイル付全熱交換器ユニットを含む) |
| 送風機 | 空調計算で扱う送風機 (空調連動給排気送風機、空調と連動しないが 空調計算対象室の給排気バランスに影響を与える送風機等) |
| 放熱器 | パネルヒーター等 |
| 天井放射冷暖房パネル | 天井放射冷暖房パネル |
4-2 換気設備
入力内容
- 換気方式(1種、3種、全熱交換器)
- 風量
- 消費電力
- 空調との連動設定
ZEB向けポイント
- 個別換気はファン動力が小さい → BEI改善
- 全熱交換器は“空調負荷低減効果”が大きい
よくある失敗
- 換気量が過大
- 室割当ミス(換気されない室が発生)
- 消費電力の単位ミス(W / kW)
様式 3-1.(換気)換気対象室
様式 3-2.(換気)給排気送風機
4-3 照明設備
入力内容
- 室用途ごとの設計照度
- 器具効率(lm/W)
- 調光・制御(明るさ、人感、スケジュール等)
ZEB向けポイント
- lm/W が高いほど BEI が改善
- 調光制御は必須(昼光利用・人感など)
よくある失敗
- 調光制御を未入力のまま
- 照度が過大設定(事務所は 500 lx が一般的)
様式 4.(照明)照明
表 4-1-1 在室検知制御
| 選択肢 | 適用 | 係数 |
|---|---|---|
| 下限調光方式 | 連続調光タイプの人感センサーの信号に基づき自動で下限調光または点滅する方式 | 0.95 |
| 点滅方式 |
以下のいずれかに該当する方式
|
0.70 |
| 減光方式 |
以下のいずれかに該当する方式
|
0.80 |
| 無 | 上記以外 | 1.00 |
4-4 給湯設備
入力内容
- 給湯方式(電気温水器、ガス、HP給湯など)
- 必要湯量
- 効率値
ZEB向けポイント
- 最もBEIに有利:エコキュート(HP給湯)
様式 5-1.(給湯)給湯対象室
4-5 昇降機設備
入力内容
- 積載量
- 速度
- 制御方式
- 回生の有無
様式 6.(昇降機)昇降機
4-6 太陽光発電
入力内容
- 設置容量
- パネル角度
- 方位
- 発電量
☆ Nearly ZEB / ZEB 判定に必須
様式 7-1.(効率化)太陽光発電システム
表 7-1-1 太陽電池の種類
| 選択肢 | 適用 |
|---|---|
| 結晶系 | 半導体材料として単結晶シリコン、多結晶シリコンを用いた太陽電池 |
| 結晶系以外 | 半導体材料として単結晶シリコン、多結晶シリコン以外を用いた太陽電池 |
5. BEI(一次エネルギー消費量)の確認
出力される項目
- 基準一次エネルギー消費量
- 設計一次エネルギー消費量
- BEI(0.50以下でZEB Ready)
- 用途別の比較(空調・照明・換気・給湯・昇降機)
BEI改善の見方
- 空調負荷が大きい → 外皮強化、EHP効率の改善、能力見直し
- 照明が大きい → lm/W 見直し、照明制御を追加
- 換気が大きい → 換気量最適化、個別換気化
- 給湯が大きい → ヒートポンプ給湯への置き換えを検討
第3章:WEBPROで “つまづきやすいポイント” まとめ
1. 室用途の選定ミス
→ 内部発熱・スケジュール・換気量が自動設定されるため致命的。
2. 空調系統の設定ミス
→ 室割り当て漏れ/能力過大/COPの入力確認不足。
3. 換気量の過大設定
→ 換気設備だけで BEI を悪化させる代表的なミス。
4. 照明効率(lm/W)と照度の不一致
→ 不自然な照度は審査で指摘される。
5. 外皮断熱の厚さ入力ミス
→ mm と cm の誤りが頻発。
6. 設備と室の紐づけ漏れ
→ 設備が「未割当」扱いになり計算結果が異常値に。
この記事のまとめ
WEBPROの入力は、以下の4つのステップで整理すれば迷いません:
- 建物情報 → 全体の前提条件を設定
- 室情報 → すべての計算の基盤となる部分
- 外皮情報 → 空調負荷を決定する重要パート
- 設備情報 → BEI へ直接反映される核心
さらに、
つまづきポイント(用途区分・空調系統・換気量・照明効率)
を避けることで、正確なZEB評価につながります。
WEBPROの入力は専門的な知識だけでなく、ノウハウも必要です。お気軽にお問い合わせください。