大地震と津波に耐えた「奇跡の一本松」を世界中の人たちが残そうとした
岩手県陸前高田市の高田松原は白砂青松の名勝として、市民はもとより県内外の来訪者から愛されてきました。約350年前に植林が行われ、市民の手で守り育たれてきた松原は、石川啄木など多くの歌人によってその美しさが詠まれています。
2011年3月11日に発生した地震と大津波が陸前高田を襲い、死者・行方不明者は2,000人近くにのぼり、市街地や海沿いの集落は壊滅状態となりました。約7万本と言われた高田松原もほとんどが流され、その中で唯一残ったのが樹齢およそ170年といわれる「奇跡の一本松」。しかし、津波に耐えて奇跡的に残った一本松も、海水により損傷を受け、2012年4月に枯死が確認されました。
陸前高田市は復興のシンボルとして、市民に希望を与えてきた一本松をモニュメントとして保存整備することを決定。その費用は全世界からの「奇跡の一本松保存募金」があてられることとなりました。
しかし、現在は廃墟となって周囲に明かりのないこの地は、夜には闇に包まれていました。