COLUMN【徹底解説】設備改修による既存建築物ZEB化2026.04.01

既存建築物の設備改修をする際には、ZEBに挑戦してみてください。

  • ZEB化すると国の補助金や地方債が活用できる場合があります。
  • ランニングコストが低減でき、短期間で改修費用が回収できる可能性があります。

ここでは、そのプロセスを徹底解説します。

1.設備改修のみならZEB Readyにチャレンジ

太陽光発電を新たに導入しなくても、設計BEIが0.50以下なら、ZEB Readyが実現できます。
実際に、パナソニック京都ビルでは、外皮改修なし・設備改修のみで ZEB Ready(BEI 0.42)を達成しています。
(設備高効率化・照明制御・空調最適化による削減によって認証取得)



ZEBプランニング事例

2.ZEB化可能性調査

まず、設備改修に前に「ZEB化可能性調査」を行いましょう。
調べるだけなら大きな費用は必要ありません。
ZEB化可能性は、建築研究所が提供しているWEBPROに、既存図面やエネルギー使用量を入力すれば確認できます。

WEBPROでは、次の項目が試算できます。

  • 現状BEIとBPI
  • 設備更新による削減効果
  • 外皮強化の必要性
  • 太陽光導入時の効果

■まずはモデル建物法で
WEBPROでは、2つのプログラムが提供されています。

1)標準入力法・主要室入力法

建物・設備の詳細な情報を入力して計算します。ZEB(BELS)申請や、補助金申請時に必要。
モデル建物法より入力が複雑ですが、良い結果が出やすい。

2)モデル建物法

標準入力法・主要室入力法より少ない情報で簡易計算が可能。
省エネ適判に使用します。

詳しく見る

コラムZEB診断ツール「WEBPRO」
入力ガイド【完全版】

■外皮性能が劣っていると補助金が申請できません

外皮性能とは、建物の外気と接する部分がどれだけ熱の出入りをコントロールできるかを示す性能のことです。つまり、冬に「熱を逃がさない」、夏に「熱を入れない」能力のこと。
外皮性能が悪いと、BPI値が低くなります。
BPI≦1.0を満たさないと、ZEB補助金を申請するすることができません。

BPI = 設計PAL* ÷ 基準PAL*
PAL* = 外皮による年間熱負荷指標(Perimeter Annual Load)

基準は用途・地域別に自動設定されます(WEBPROで算出)

BPI≦1.0を満たしていない場合は、外壁の高断熱化改修や日射を遮るルーバーの設置、窓の複層ガラス化やLow-Eタイプの採用など、躯体改修が必要になります。

●外皮性能を改善するには

日射不可を抑えるLow-Eガラスの採用が効果的です。

  • 低放射により赤外線を反射 → 熱の流入・流出を抑える
  • 放射率が0.1以下と非常に低く、断熱性が高い
  • サッシ性能も合わせて検討(複層ガラス・樹脂サッシなど)

→ 外皮性能を底上げすることは、ZEB Ready達成に直結します。


パナソニックにご相談いただけると…

既存建築物のZEB化が可能か、設備ごとにどのような改修をすれば良いかを、図面と現地調査に基づき、省エネ計算(WEBPRO)し、算出結果を報告。改修方法と費用対効果をアドバイスし、補助金申請のコンサルティングまでを行います。



パナソニックの
ZEBソリューション

3.ZEBプランニング

ZEBが達成できるかを左右するのが設備の選定です。
空調、換気、照明、給湯、昇降機、太陽光発電などの仕様を確定します。
設備メーカーの協力を得ながら、削減効果を定量的に見ながら最適構成を決めるのが成功のカギです。

■設備選定例(京都ビルの実例)

  • 高COP空調(室外機・室内機の最適化)
  • センサー制御付き高効率LED照明
  • 高効率換気
  • ソーラーカーポートによる創エネ

3-1.照明設備のZEB化ポイント

照明設備はZEBで大きな削減メリットがある項目で、制御の工夫しだいで削減率をさらに高めることができます。

■高効率LED照明の採用

  • 高効率なライトバーをベースライトとして利用し、500lx程度に照度を抑える
  • 照度不足を防ぐ為に、ダクトレール、スポットライトを活用した「タスク・アンビエント」照明を手法として取り入れる

■明るさ感を上げて照度を抑える工夫

  • 壁・床の反射率を上げる
  • 明るい内装や什器で照度基準を下げても違和感のない空間をつくる

■調光・ON/OFF制御の徹底

ZEBを実現するためには照明制御は必須です。以下の手法を併用すると効果的です。

  • 明るさセンサー(昼光利用)
  • 人感センサー(廊下、倉庫、便所など)
  • スケジュール制御
  • 初期照度補正

→これらを組み合わせると約40%以上の削減効果も可能です。(例:約0.58に削減)

3-2.空調設備のZEB化ポイント(最重要カテゴリ)

空調は建物の一次エネルギー消費量の中でも最大です。
ZEB化では「方式の選択」と「能力の最適化」がカギとなります。

■ZEBで採用すべき空調方式

搬送動力が小さい方式ほどBEIの数値は良くなる事が多い為、セントラル空調方式よりも個別方式の方が有利になります。

■高COP機器の採用(APFではなくCOPを重視)

ビル用マルチの連結機種を採用すると、台数制御が適用されBEIの削減に繋がります。

■空調能力の適正化(ダウンサイジング)

ZEBでは負荷を減らすために、以下を必ず実施しましょう。

  • 断熱・窓性能を反映した正確な負荷計算
  • WEBPROで系統ごとの負荷率を確認
  • 過大能力を削り、室外機容量を適正化

→適正化するほどZEB評価値(BPI/BEI)が改善します。

■室内機の送風動力を小さくする

室内側の設備も省エネに直結します。
ダクト形(最も非効率)→ビルトイン→天カセ2方向→天カセ4方向(最有利)

  • 機外静圧が大きいと消費電力が跳ね上がる

→高静圧型は避けましょう。

3-3.換気設備のZEB化ポイント

■集中換気ではなく個別換気を採用

集中方式はファン動力が大きくなるため、ZEB評価で不利になります。

→個別換気(小型ファン)を選定。

■第3種換気の採用(第1種より有利)

第3種換気は、送風機動力が低く、省エネルギーです。
ただし空調負荷を減らす必要がある場合は全熱交換器が有効です。

■必要換気量の適正化(過大換気の削減)

  • 人員・用途ごとに換気量を見直す
  • 不要に大きい換気扇はZEBに不利

3-4.給湯設備のZEB化ポイント

■給湯栓の省エネ化

  • 自動給湯栓
  • 小流量水栓

→使用量そのものを削減。

■給湯配管の断熱

  • 配管断熱は既存建物でも有効
  • 熱損失を大幅に低減

■高効率給湯方式の採用

給湯方式はヒートポンプ方式のエコキュートが有利です。
電気温水器(最も非効率)→ガス給湯器→エコジョーズ→エコキュート(最有利)
利用人数が多いほど省エネ性が発揮される。

■太陽熱利用(場合により有効)

太陽電池モジュールと屋根面積を争うため計画時に調整が必要です。
ZEBでは太陽光とのバランスが重要です。


4.WEBPROによるBEI計算

ZEBプランニングで設計した仕様をWEBPROに入力して正確なBEIを計算します。

  • 設計仕様をWEBPROに入力
  • 設計BEIが 0.50 以下なら ZEB Ready

※ この段階で ZEB達成が難しい場合は仕様の見直しを行います。



ZEBを支える
エッジデバイス

5.施工(実際の設備導入フェーズ)

5-1.機器導入

計画で定めた高効率設備を設置します。

  • 高効率空調
  • センサー照明(明るさ/人感/スケジュール)
  • 高効率換気
  • 太陽光発電
  • BEMS:クラウド制御(必要時)

5-2. 制御調整(ZEBの効果を最大にする)

  • 空調のAI制御(HVAC CLOUD等)
  • 明るさセンサー・人感センサー調整
  • シーン制御(朝/昼/夜の照度)

ZEBは設備の運用によっても大きく左右されます。


6.BELS認証・ZEB認証取得(最終ステップ)

ZEBの達成状況は、BELSを通して正式に評価されます。

■BELS評価

BEI に応じて ZEB ランクが決定します。

ランク 条件
『ZEB』 BEI ≦ 0(創エネで収支ゼロ以下)
Nearly ZEB BEI ≦ 0.25
ZEB Ready BEI ≦ 0.50
ZEB Oriented 大規模ビル向け、部分的要件

京都ビルは ZEB Ready(BEI 0.42) を獲得しています。


いかがでしたか?
設備改修だけでZEB Readyを実現するには、WEBPROを使った省エネ計算や設備機器の選定は専門知識も必要になります。
お気軽にパナソニックにお問い合わせください。

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