2021年8月号 リニューアルコンテスト2020大賞ホームページ・SNSを中心に継続的な発信で地域の「電気の相談窓口」として新規客を開拓。

  • [埼玉県 川口市]
    有限会社 増渕電気
    今村 利絵子

  • [埼玉県 川口市]
    有限会社 増渕電気 取締役社長
    今村 勝也

評価のポイント
  • WEB・SNS、地域への広告を活用し、自社のお役立ちを理解していただく活動を継続的に実施。
  • 今村 利絵子様による情報の受け手の目線に合わせた発信で、お問い合わせが大幅に増加し、新規客を獲得。
  • エキスパート工事店のお仲間とのつながりの中で営業活動のヒントを得て、新たな取り組みにチャレンジ。

「ありがとう」と感謝の言葉を直接もらえる仕事を増やしたかった。

―このたびは大賞の受賞、誠におめでとうございます。まずは御社の抱えていた課題等につきましてお聞かせください。

今村様:弊社は社員数4名の会社です。増渕電気を創業した社長から2006年に跡を継ぎましたが、当時は直請けでない割合が8割を占めていました。直請けでないとお客様の顔が見えず、「ありがとう」と言ってもらえない。この状況を何としても変えたかった。地域の皆さんに喜んでもらい、「ありがとう」と思ってもらえる仕事を増やしたい、その一心でやってきました。

社屋
社屋

ホームページ「まちの電気屋さん」への参加が、“直請け・元請け受注”のきっかけに。

直請け工事店を目指すために、まずは2011年に自宅から徒歩で行ける距離に事務所を移転しました。地域密着にこだわり対応エリアを絞り込むことで、「今来てほしい」という要望に即対応できることがねらいです。対応が遅れるとお客様の大きな事故や損失になる恐れもあると考えました。
直請け仕事を増やすため次に行動したことは、2011年11月のフェイスブック開設です。しかしこれがうまくいかず、見ているのは社員だけという状態が続きました。
2014年にはエキスパート工事店※1に加入し、交流会で営業活動の様々なアイデアやヒントを得て、自宅で展示会を開催しましたが集客することができませんでした。
そこで、地元商店街が主催する地域イベント「SKIPふれあいフェス」にも出店してみました。飲食店や物販が多い中、電気工事店は珍しく、「子ども向け電気工事体験」などを通して親御さんたちの足をとめる工夫をして「電気工事店ができること」を知ってもらう機会をつくりました。というのも、一般の方の中には工事店と量販店の違いをご存じなかったり、電気のトラブルを東京電力に問い合わせたりする方もいらっしゃるからです。
こうした地道な活動を続ける中、転機となったのが、2017年に茨城県の福田電子様が運営されている「まちの電気屋さん※2」の協力店になったことです。福田電子様とはエキスパート工事店の会合で知り合いになり、川口エリアを中心に任されることになりました。
そこで驚いたのは、福田電子様は「まちの電気屋さん」のホームページからの集客が大半を占めていたことでした。改めてホームページの大切さを実感しました。

「まちの電気屋さん」
「まちの電気屋さん」
  • よりよい住まいの電気設備提案を通じてお客様の幸福なくらしを実現し、生涯にわたる信頼関係を構築することを目指す電気工事会社様の会。
    パナソニック株式会社エレクトリックワークス社の定める登録基準を満たし、倫理憲章に賛同する電気工事会社様により構成されます。
  • 茨城県の福田電子様、埼玉県の増渕電気様、神奈川県の田辺電業社様の3社からなる電気工事店グループ。
    ホームぺージを通じて依頼があったお客様をエリアごとに分担してカバーされています。

「人柄を見せて、安心感を持ってもらう」
ユーザー視点になって気づいたこと。

―「WEBサイトによる受注率98%」を目の当たりにして、どのような工夫をされたのでしょうか。

今村様:それまで弊社には自社のホームページがなかったので、2017年10月に開設しました。工夫したのは、スタッフの顔が見えるように、ということでした。電気工事の仕事は、お客様にとっては「家の中に知らない人が入ってくる」わけですから、どんな人か事前にわかれば安心なのではと考えました。顔写真に加え、趣味・プライベートまで見せ、「人柄」も見えるようにしました。ホームページだけだと集客は難しく、フェイスブックも同様に充実させていきました。私は現場で忙しいので、妻が更新を担当するようになりました。妻は女性にもわかりやすい文章で、写真もユーザー視点でお客様が知りたいこと、見たいことを発信していきました。また、フェイスブックは登録者数が約7000人の地域のグループ「いいね、川口」に2020年6月から参加することで、一気に閲覧数が増えました。また、「いいね」の数を見て、関心の高いものを分析。例えば施工事例では、火災一歩手前のコンセントなど、インパクトのあるものが反応が高いことがわかりました。こうした地道な情報発信は、ご覧になった方にとって今はご自身には必要のない情報でも、電気トラブルに直面された時には増渕電気を思い出していただけると信じて続けていきました。特にコロナ禍でSNSをご覧になる方が一気に増えたと実感したため、週2回ペースで施工事例や新商品の紹介などの情報を発信し、年間100件以上の投稿を続けていきました。
結果、SNSとホームページからの受注が倍増(112件)しました。また、事務所や店舗の改修工事が増えてきたことから、リニューアルクラブに加入し活動の幅をさらに広げました。

発熱発火でコンセントが破損した事例お客様の了承を得て、フェイスブックやホームページに掲載されています。
発熱発火でコンセントが破損した事例お客様の了承を得て、フェイスブックやホームページに掲載されています。

「川口市商店改修事業補助金」情報のSNS発信が受注増加の大きな要因に。

―2020年の1年間に飛躍的に受注が伸びた理由について、詳しくお聞かせください。

今村様:「川口市商店改修事業補助金」の情報をSNSで発信したことが大きな要因だったと思います。この補助金は、市内で店舗を営む方が、店舗の集客力や店内環境を向上させるために行う店舗の改修、あるいは新型コロナウイルス対策を目的とした店舗の改修に対する事業補助金です。新型コロナウイルス対策に関連する改修工事と、工事と併せて購入した備品代に50%の補助が得られます。店舗や事務所の改修は空質環境の改善を意識した換気扇やエアコンなどを中心に、ウィズリモなど最新のLED照明からコンセント交換まで幅広く提案を行い受注をすることができました。
施工後は、補助金を活用した事例として、ビフォアアフターと共に、商品情報も掲載しました。これがさらなる受注を生む、という好循環となりました。
また、SNSを常に新鮮に保ち、検索で上位に上がるようにしたことで、お問い合わせいただくことが増え、分電盤の取り換え工事やEV充電コンセントの設置工事など、補助金改修案件以外にもお客様が増えました。おかげさまで、コロナ禍においても、SNSを活用した実績だけで前年比売上122%を達成。一日の問い合わせ件数は多い時で20件となり、直請け率は約60%となりました。
2021年1月からインスタグラムもスタートしました。ホームページやフェイスブックはビジネス寄りの情報発信、インスタグラムは若い方や女性など個人のお客様を意識して表現を変え、妻が日々、発信してくれています。

HPには「人柄」を伝えるべく顔写真に加え趣味も掲載
HPには「人柄」を伝えるべく顔写真に加え趣味も掲載。「この笑顔がよくて依頼しました」というお客様も。HP・SNSの更新は、奥様の利絵子様がご担当。SNSはスマートフォンで更新作業を行われています。
HPには「人柄」を伝えるべく顔写真に加え趣味も掲載。「この笑顔がよくて依頼しました」というお客様も。
HP・SNSの更新は、奥様の利絵子様がご担当。SNSはスマートフォンで更新作業を行われています。
市役所の封筒の広告にも社長の顔写真を掲載されています。
市役所の封筒の広告にも社長の顔写真を掲載されています。

補助金を活用した店舗改修事例

ホームぺージやSNSに掲載している補助金を活用した店舗改修施工事例。ビフォアアフター写真と共に採用した商品のご紹介も掲載されています。

補助金を活用した案件
補助金を活用した施工事例3
補助金を活用した施工事例4

SNSは、電気のトラブルのときに顔を思い浮かべてもらえる活動の一つ。

―直受け仕事を増やすために、他に必要と思われることはありますか。

今村様:工事の技術がいくら優れていても、お客様の気持ちになってコミュニケーションができなければ、直請けの仕事は増えないと思っています。直請け仕事を増やすためには、「接客マナー」をしっかり身につけることが大切です。お客様への気遣いをしながら仕事をしなければ最後に「ありがとう」とは言っていただけません。家の中の、他人には見られたくないところに入ってする仕事だからこそ、一層の気遣いが大切だと思っています。
SNS以外にも、「まちゼミ」での活動も継続しています。「人柄」の見える化を継続し幅広い接点をもっておくことで、電気のトラブルのときに顔を思い浮かべてもらえるようになりたいと思っています。
直請けの仕事が増えると、キャッシュフローが良くなるのもメリットです。小さなお仕事が多いので単価は高くはありませんが、利益率が比較的高いですし、その場で支払っていただけることはとても大きいです。スマホでのキャッシュレス決済にも対応しています。
また、工事日程などもお客様と直接ご相談できますので自社にとって最適な調整ができます。結果的に、日程が合わず他の仕事の機会をロスするということもなくなります。
フェイスブック開設時は閲覧数がわずかだったのが、今や2000を超え、多い時は3000にまで伸びました。SNSはお金をかけずとも、楽しみながら、宣伝・集客ができるアイテムです。これからも、SNSを活用しながら、地域密着型工事店として成長していきたいと思っています。皆様もぜひご一緒に、SNS活用にチャレンジしていきましょう。

継続して参加している地元商店街の地域イベント「まちゼミ」。コロナ禍ではオンライン開催となりZoomにて行っています。
継続して参加している地元商店街の地域イベント「まちゼミ」。コロナ禍ではオンライン開催となりZoomにて行っています。

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