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LIGHTING STYLE Vol.6
04 大林組技術研究所 本館 テクノステーション

Lighting Method(ワークスペース)

実物大モックアップと、平面図から3次元空間をビジュアル化するLSRによる確かな照明計画


CO2 55%削減を目指した本館テクノステーション

大林組技術研究所は、プロダクティビティ向上と省CO2を両立する知的創造拠点として、技術の実証や展開、情報発信を行っている。本館テクノステーションは、「大林組の持つ様々な最新建築技術を採用した建物」として、2010年9月、その敷地内に完成した。この施設は、太陽光や地中熱などの自然エネルギーの利用と、最先端の次世代設備を巧みに組み合わせる技術により、CO2排出量を一般的な事務所ビルに比べて55%削減することを目標としている。

ワークスペースのアンビエント照明とタスクライトを検討

中でも施設の約30%の電力量を占める照明の省エネ対策として、自然光を利用したアンビエント照明とタスクライトの照明計画を検討した。つまり、晴天時、昼間のアンビエント照明を無点灯化することで大幅な消費電力のカットを狙い、さらに夜間や曇天時の人工照明においても、省エネ器具の採用で最小限のエネルギー消費に留めること。天井高6mのワンルーム型の大空間であるワークプレイスは、夜間のアンビエント照明で平均照度300lx、机上面照度は700lx確保し、かつ省エネ化を目指した。

執務室夕刻

執務室夕刻 ※1

執務室夜間

執務室夜間 ※1


LSRと実物大モックアップによる照度計算の検証

ワークスペースでのアンビエント照明に採用する器具は、ライトチューブとHf32×2灯、Wエコ63W×1灯を検討した。ランプからの直接的な光ではなく、天井仕上げ材の反射を利用した間接光で照明するため、各条件を基にLSRを使用して照度分布を算出。この結果から、高効率、ハイパワーなWエコをベースに検討を進めた。
また、間接照明の建築内装部材を使った実物大のモックアップに、実際の器具を設置して床面照度を測定。あわせて、Hf32とWエコの器具の照度を検討した。間接照明のため下からランプが見えない位置に3段階で設置し、それぞれの照度を確認。LSRの照度計算とモックアップの実測値との検証による結果、光束の高いWエコの採用に至った(1)

モックアップによる照度と内装建築材料の反射率のシミュレーション

(1)モックアップによる照度と内装建築材料の反射率のシミュレーション
実物大モックアップを作成、実際の設計条件に合わせてモデルを配置し、床面照度の測定に加えて、LSRによる照度計算との検証を実施した。
また効率的な直下照度確保のための建築内装材(反射板)の角度調整と、間接照明における直接グレアとならない光源位置(カットオフ角度)を検討。
これらは調整段階において、都度照度を確認しながら結論を導いていった。

Lighting Method(タスクライトとハイサイドライト)

タスクライトの検討

もう1つの照明条件として、机上面照度を環境光を含んで700lx以上確保することやコンパクトさとスリム感を強調した器具設計を要望された。省エネの観点からLEDの採用が条件で要望事項に沿って打ち合わせを重ね、特注による器具設計を進めていった。

LEDタスクライト

LEDタスクライト ※1
Wエコの間接照明と併用し、700lx以上の照度を確保


先端技術導入の照明設備の実現

数々のシミュレーションを実施した結果、タスク&アンビエント照明による、すっきりとした開放感のある執務室の大空間が誕生した。
昼間はハイサイドライトによる自然光によって700lx以上確保。夜間は組み込まれたWエコの間接照明(平均照度300lx)としLEDタスクライトとの併用で昼間と同じ700lx以上の照度を得ることができた。またWエコ(平均演色評価数Ra84)により色の再現性が良く、さらに色温度5000Kとすることで、自然光との親和性に配慮するとともに、研究環境に適した自然な雰囲気の光環境とした。昼間の自然採光と夜間の人工照明の切り替えは、昼光センサにより自動的に行われ、ムダな電気代をカット。さらにハイサイドライトの反射面の傾斜が30°であることを利用し、屋外に太陽光パネルを設置。昼間でも点灯が必要な一部の照明への電源供給を行うことで、照明エネルギーの徹底的な削減を図っている(2)
このように照度計算ソフトLSRの採用や、原寸大でのモックアップなどでの検討により、先端技術の導入を試みた執務室に相応しい、最適な照明空間が実現できた。

検討スケッチ

(2)検討スケッチ
ハイサイドライトのスケッチでスタッフと検討を重ね、
LSRの作成を進めていった

ハイサイドライト部のしくみ

(2)ハイサイドライト部のしくみ

ハイサイドライト

ハイサイドライト ※1
自然光を採り入れる事により効率的に700 lx以上の照度を確保

Cross Talk

タスク&アンビエント照明による省エネ空間の実現にLSRのシミュレーションが貢献。

水井 啓喜様

水井 啓喜様

株式会社 大林組
東京本社 設備設計部
電気設計課 課長

 

和田 克明様

和田 克明様

株式会社 大林組
東京本社 建築設計部
課長

 

中村 誠郎

中村 誠郎

東京照明EC

・CO2削減量55%を目標とした照明コンセプト

水井様: 技術研究所の本館テクノステーションの建設には、当初から「大林組の持つ様々な最新建築技術を採用した建築物」というミッションが挙がっていました。
シミュレーション実施後、一般のビルと比べてCO2排出量を55%削減する目標を掲げ、特に電力使用量で多くの比率を占める"照明"にポイントを絞って検討することになりました。
和田様: 施設の基本コンセプトのひとつに環境配慮を掲げ、ワークスペースにおいては、昼間は自然光を採り入れ、夜間は省エネ対応の器具で照明、そして太陽光パネルとのリレーションで快適な空間と最高水準の省エネを目指しました。

・照明計画を具現化する上で有効だったLSR

和田様: 天高6.4m、2000?の面積がある大空間を、実際に昼間の自然光と夜間の間接照明で演出できるのか、当初は想像することさえ難かったのですが、パナソニック株式会社さんのLSRを使った検証により、その不安も早いうちに解消されていきました。
水井様: 今回は間接照明という、建築構造や内装などの条件の組み合わせで成り立つ照明効果ですので、その想定が行いづらく、通常の光束法では照度分布が出しづらい状況にありました。
中村: そこで当社の3次元シミュレーション照度計算システムLSRと、ご用意いただいた実物大のモックアップの相互の使用で、照明計画の検証を行っていきました。
水井様: モックアップで必要照度を得るための反射率を決め、そのデータをLSRに反映、3次元の照度をシミュレーションして未知の空間の明るさをイメージしていきました。特に省エネを意識しながら必要照度を得るため、ハイサイドライトに何台照明を配置するかという重要なポイントでは、本当にLSRは有効だったと思います。言い替えればLSRでしか出せない空間想定でもあったわけです。
和田様: さらに照明の微調整による空間の変化も手にとるようにわかり、社内執務者によるグレアに関係した光源のカットオフ角の検討も、LSRによって空間イメージを確認しながら行えました。

・想定通り、実用的で快適な省エネ空間が誕生

和田様: 竣工後の目視確認では、夜間の間接照明の光源を直視した場合もグレアや明るさに対して不満はなく、快適な照明空間になっているといえます。ハイサイドライトは天井面が全体的に光っているイメージで、器具数は少ないけれど充分な明るさ感があります。
水井様: 加えていうならば、センサにより自動点灯することもその感覚を推し進めることにつながっており、実際に注意して影のつき方を見ないと自然光か人工光か判別できないほどです。天井が高く、間接照明であるにも関わらず、Wエコのハイパワーな光や内装の高反射により、10W/?以下の省電力で目標の机上面照度300lxを超えた視認性の良い空間に仕上がっています。
中村: 間接光により拡散された光が、直下だけではなくあらゆる方向へ飛んでいることにより、明るさ感を演出しています。またWエコの演色性がRa84ということもあり、色の再現性もよく、快適な執務空間構築に一役買っていると思います。
和田様: 昼間の照明の無点灯化と、夜間の少ない電力消費で充分な明るさ感を演出できていることが、CO2削減に貢献しているわけですが、さらにLEDのタスクライトの省エネ効果も大きく貢献しています。間接照明の300lxと合わせて、700lxの明るく快適な机上面環境を実現し、さらにコンパクトでスリムな点も、邪魔にならずすっきりとしたユーザビリティに豊むものとなっています。
水井様: このようにLSRによって想定したタスク&アンビエント照明は、計画通りの空間イメージを確立できました。特にWエコに搭載された初期照度補正機能は、初期の余分な明るさを制御するため、想定以上の省エネ効果につながっていると思います。当初この機能の活用は想定していなかったのですが、ハード側に付いたこの機能が、結果的に大幅な省エネに貢献しています。
完成されたワークスペースの自然で落ち着いた照明環境は、研究員同士が一堂に会し、互いに交流してコミュニケーションを誘発する場となり、当社の知的生産性の向上に貢献しています。