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京楽産業.株式会社 九州支店 | LIGHTING STYLE Vol.6 | P.L.A.M. | 照明設計サポート製品を探す

LIGHTING STYLE Vol.6
05 京楽産業 株式会社 九州支店

Lighting Method(エントランス)

間接光のみの斬新なエントランス空間 LSR+Feuで実現した明るいサプライズ空間


業界のパイオニアとしてのポリシーを建築へも反映

大手パチンコメーカー京楽産業の支店拡大による新築ビル工事に伴い、パナソニック株式会社は2009年より主要部位の照明計画に携わった。 パナソニック株式会社では設計側からのプランをもとに、省エネ、長寿命などの特性をもつLED器具の採用を提案。お施主様側からもLEDでの検討を視野に入れてほしいとの要請が入り、方向性は固まった。お施主様にはLED器具の説明や展示会へ同行いただくなど、LEDのPRからスタート。LEDの安全性やメリットなど技術的根拠の提示も含めて進行した。


落ち着いた雰囲気と明るさを求められたエントランスホール

動線上、お客様が必ず利用するエントランスホールの照明計画では、シンプルな建築空間に、落ち着きのある光のグラデーションを取り入れた、斬新なイメージが空間コンセプトとなった。全てLED照明での構想となっており、当初天井の間接照明をLED1000形相当器具とLEDダウンライト、壁面間接照明をLED100形相当器具で計画(1-1)。LSRで照度設定を行い、徹底的な省エネ効果を得るため、Feuによる照明計画を導入した。
またLSRでの照度検討と合わせて内装材の色選定を行い、反射率の高いホワイトとすることでFeu値の向上を試みた。この段階での照明計画でのFeu値は6.4(1-2)。しかし、天井のダウンライトが一般的な照明であったため、意匠的な面でさらに突きつめたものを目指した。これらは全て間接光によるもので、壁面の照明を1000形器具相当まで引き上げ、明るさ感も向上させた(2)
本プランによりFeu値は9.4まで向上(1-3)。お施主様に了解を取り次ぎ、実施設計へコマを進めた。

(1)計画の変更とFeuの向上 Feu 6.4

(1-1)設計側からの空間イメージ

(1)計画の変更とFeuの向上 Feu 6.4

(1-2)当初の照明計画 LSR+Feu  Feu 6.4
ダウンライト+間接照明

(1-3)最終案の照明計画LSR+Feu  Feu 9.4
ダウンライトを排除した計画

(2)器具の変更

(2)器具の変更
すべて間接光にし、壁面の照明を1000形器具相当に変更、明るさ感をアップさせた


Lighting Method(大会議室/執務室)


LSRによる照明検討で訪れたLED採用のキッカケ

パナソニック株式会社は当ビル施設の大会議室、ショールーム、執務室などの照明計画を進めるにあたって、LSRを使用。主に大会議室と執務室の照明を決定するためにLEDベースライトとWエコを候補に挙げ、LSRによる照度分布や経済性の比較などを実施した(3)
その結果、総面積が広く長時間に渡り使用するという理由から、執務室は明るさや省エネ性で当時の主流であったWエコの採用となった。大会議室においては天高4.1mの空間に対応すべく、効率的に机上面照度が確保できる指向性の高いLED光源を採用。さらに同じ天高となるショールームに関しても、パチンコ台の展示演出にふさわしい、指向性のある光がガラス面などにきらびやかに反射するLEDベースライトが採用された。
それぞれの部位において、スリムな器具をライン状配置とすることにより、スッキリとした天井面イメージをつくり、高照度の光で空間を演出。さらに省エネ効果を狙った照明計画となった。

(3)WエコとLEDの比較

(3)WエコとLEDの比較


企業イメージを想起させる明るく斬新な空間の誕生

2010年3月に本ビル施設は竣工となり、コーポレートアイデンティティを具現化した空間が誕生した。LEDを採用した大会議室の平均照度は実に900lx以上を確保し、消費電力は蛍光灯比で約26%削減を達成。また執務室においても充分な明るさである900lxを確保している。また特にこだわったエントランスホールは、スペース内に一直線に伸びた天井面のコーブ照明と壁面のコーニス照明のみからなる光のグラデーションが広がり、今までにない斬新なイメージを醸し出している。
そんな非現実的ともいえる空間をエントランスホールとして使用することの"驚き"や"感動"は、同社が企業理念で提唱する「More Surprise !!」に共通する心憎い演出となっている。連日ここを訪れるお客様の心の中には、新鮮な「!!」が湧き起こっているに違いない。


Owner's Comment

Feuによる検証で空間の目的に合わせた照明設計を実現

川崎 拓二様

川崎 拓二様

株式会社 日本設計 
建築設計部 主任技師

このプロジェクトでは、ビル全体で様々な環境負荷削減に取組んでいます。その中でも消費電力の大きい照明エネルギーについては、照明の80%にLEDを採用し積極的に省エネを図っています。併せて、LEDという新規性のある光源の新しい表現方法についてFeu+LSRを用いて取組んでいます。
まず、エントランスホールの照明計画については、お客様が最初に入る空間ですので、このビルのキャラクターを象徴するような空間にしたいという思いがありました。表現したかったのは、コーポレートアイデンティティの"驚き!感動!"と"環境への取り組み"であり、これを実現させるため照明計画の初期段階から明るさ感指標Feuと3DによるシミュレーションLSRを取り入れ、器具の明るさ設定と併せて建築の仕上色・素材・空間の在り方を立体的に検証し、省エネ効果、演出効果、空間特性を最大限活かせるよう空間をまとめていきました。エントランスの光源は全てLEDを採用し環境への取組みをアピールするものとしており、器具の配置はアプローチ動線と平行に並べ入口から受付までの導き手となるよう計画しています。空間全体としてはこの意図がわざとらしくなく、印象的になるよう、やわらかい間接光と、素材の切替えにより、調整を図っています。
執務室、会議室については、作業空間としての目的がはっきりとしているため、それに合わせた照明計画としています。
会議室は、4.1mの高天井のため指向性が高いLEDタイプのベース照明を採用し、効率的に机上面の明るさが確保できるようにしています。この部屋はお客様が利用される空間でもあるので、省エネ効果の高いLEDをベース照明で使うことはアピールポイントにもなっています。器具の配置やデザインは、外装のダブルスキンのパターンに合わせており、内外での見え方に統一感を持たせた計画としています。
執務室については、滞在時間が長いため快適なデスクワークを最優先に考えグレア防止ルーバーを備えたWエコを採用しました。窓際のゾーンは、昼光センサと連動し調光するWエコとし自然光を利用した省エネ計画としています。
その他、廊下やトイレ等の共用部でも、LEDと人感センサを組み合わせており、ビル全体で省エネを図っています。


EC's Eye

LSRとFeuの活用によるエントランスホール照明計画を終えて

小川 正

小川 正

名古屋照明EC

お得意様を最初にお迎えするエントランスホールは、建物全体にとって重要な空間です。特に京楽産業.株式会社九州支店様の場合、パチンコ店の空間設計など、照明演出にお詳しいオーナー様をお迎えすることが多いので、建物に最初に入られた時のインパクトを十分に考慮した空間設計にまとめました。
とりわけ今回は、いわゆる主照明がなく、間接光のみの空間想定を行うということもあり、LSRでの明るさ検証に加えて、Feu値による理論的な照明計画を入念に準備しましたが、それが成功につながったと思います。特に間接照明や壁面においての照明手法は、水平面照度分布の算出だけでは計り知れない未知の確認ポイントが生じます。そういった確認しづらい点を、LSRによる3次元での照明シミュレーションとFeu理論によって検討することで、人の感じる明るさ感を想定できる点が大きかったと考えています。
また、色温度5000Kの白い光で、インパクトのある明るい空間作りを目指したわけですが、内装の色や間接照明自体をどの位置に設置するかで、光の伸び方やグラデーションの付き方も変わってきます。LSRではそれらの設定した仕様に合わせて照度の検証ができるので、建築化照明の場合は建築設計側にその情報をフィードバックすることで設計の時短にもつながりました。
今回は、間接光主体ではあるけれど、エントランスホールとしての明るさ感をいかに損なわずにLEDで効果的な照明設計ができるか、それもFeu値に基づいてできるか、という視点で、さまざまな角度から検討を行ったわけですが、結果的に非常にイメージに近いものに仕上げられました。
この建物は、(財)日本産業デザイン振興会主催の2010年度Good Design賞を受賞、さらに照明普及賞も受賞しています。建物の中でも花形といえるエントランスホールで、新規性のあるすっきりとした空間を創造することができ、Feu+LEDでの空間演出においても新たな可能性を見い出せる事例となったのではないでしょうか。

エントランスホール

エントランス部/
空間の3次元化定義

 空間の光のイメージを表す
 LSRのシミュレーション画像

  空間の輝度解析画像